コラムのポイント
- 加点項目は採択率を上げるコツ
- 枠によって加点できる項目数が違う
- 加点は5種類あり、証拠書類と記載内容がポイント
ものづくり補助金の加点項目とは、申請内容が公募要領で定められた特定の条件を満たすことで、審査時に点数が加算され、採択されやすくなる項目のことです。種類やポイントを理解し、申請書作成に役立てましょう。

カミーユ行政書士事務所代表・行政書士
補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
【2025年11月最新】ものづくり補助金の15の加点項目一覧
採択率を上げる秘訣は、加点項目です。
ものづくり補助金を申請する際、どの事業者も採択されたい!と思っているはずです。
加点項目が採択に与える影響は大きいので、ぜひ押さえておきましょう。
加点項目とは、ものづくり補助金の申請時、公募要領に定められた特定の基準を満たせば点数アップにつながる制度です。
加点項目を満たせば、採択審査で有利になります。
採択率を上げたければ、加点項目をうまく活用しましょう。
特に、ものづくり補助金は多くの企業が申請するため、競争が激しいです。
数多くの企業の中から選ばれるためには、加点項目を稼いで少しでも優位に立つ必要があります。
加点は稼いだほうがいいのですが、無限に稼げるわけではありません。
最大でいくつの加点項目を達成できるかは、申請する枠や類型によって異なるので、一概にはいえません。
たとえば、ものづくり補助金の種類の中で、
を利用したとします。
この場合、最大で6項目の加点が得られます。
とはいえ、これ以外の特定の枠では、追加の加点項目が設定されている可能性があり、6項目とは限りません。
例を挙げれば、デジタル枠では通常の6項目に加えて、デジタル技術の活用や、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進などの状況に基づき、さらに6項目が加算されます。
そのため、デジタル枠で得られる最大加点数は合計で12項目にもなります。
ちなみに、DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を使って、今までのやり方を新しく変えることです。
出典:在庫管理術DXとは?その意味とデジタルトランスフォーメーションの有効な進め方を解説
たとえば、これまでノートに手書きしていたことを、タブレットやコンピュータを使って管理するようになった場合、デジタルトランスフォーメーションと呼びます。
デジタル化することにより、より早く、効率良く、簡単に仕事ができるようになるでしょう。
企業でも、デジタル技術を使ってサービスをより良くし、仕事をよりスムーズにできます。
お店でお金を払う時に、現金ではなくスマホで支払えることも、DXの一例です。
まとめると、DXとは、新しい技術を取り入れ、より便利で進化した世界を構築して業務の効率化を高めるといえます。
参考:ものづくり補助金の書き方
加点項目は、大きく以下の5種類にわけられます。
新たな市場や、事業拡大に貢献する取り組みに対する加点です。
出典:DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?意味や背景について事例を交えてわかりやすく解説
DX推進やカーボンニュートラルなど、政府の重点施策に沿った取り組みに対して加点されます。
出典:カーボンニュートラルとは
自然災害や感染症に対する復興・対策を含む取り組みをした場合に加点されます。
社員の賃金引き上げや雇用拡大が認められる場合、加点可能です。
女性や高齢者の活躍推進に関する取り組みは加点されます。
こうした加点項目のうち、特別なものは審査時に証拠書類の提出が求められる場合があるので、気を付けましょう。
証明書として、
などが求められるでしょう。
証拠書類は申請内容の信頼性を高め、審査員が正確に評価することにつながります。当然、申請者側にとっても有利となります。
提出した証拠書類が各要件と整合していると判断されれば、加点対象です。
A 各項目を証明できる具体的な取り組みや書類を示してください。単に加点対象ですと書くだけでは、審査員に伝わりません。
A 各項目ごとに評価されます。重複しても点数は個別に加算されるので、可能な限りすべての該当項目を明記しましょう。
A 優先度は公式には示されていません。ただし、政策加点や災害加点など社会的影響の大きい項目は審査で評価されやすい傾向があります。
A 申請前に証拠が揃っていることが条件です。後付けの取り組みは基本的に評価対象にならないため、早めに準備をしましょう。
A よろず支援拠点や商工会議所、商工会などで専門家に相談すると安心です。申請書作成のコツも教えてもらえます。
参考:【公式】ものづくり補助金総合サイト
加点項目の達成がどの程度補助金の採択率に影響するかについて、残念ながら具体的な数値データはありません。
ただ、ものづくり補助金に申請する多くの事業者は、完成度の高い書類を提出することが予想されます。
そのため、わずかな点差が採否をわけると考えられるでしょう。
1点差で負けてしまった!ということにならないように、加点できる部分は加点できたほうが良いです。
過去のデータをみてみると、6つ以上の加点項目を達成した申請者の採択率は74.3%にも上ります。
高い確率ですので、加点項目を達成した事業者のほうが、審査を通過しやすいということがわかるでしょう。
とはいえ、加点を稼げばそれだけで有利になるとは限りません。
特定の加点が達成できる可能性があると判断したら、加点対象だと審査員に認めてもらうためにも、努力が必要です。
伝え方がポイントです。
どんなに加点できるところがあります!と主張しても、その言い分が認められなければ加点されません。
そのため説得する必要があります。
加点対象だと評価されるためには、事業計画書の記載内容と証拠書類の整合性が求められます。
厳しい審査がされるため、申請書の作成には時間と労力を惜しまないでください。
具体的な内容や成功事例を盛り込むことで、より魅力的で情報価値の高いものに仕上げることが可能です。
すべての加点項目をクリアしなければならない、ということはありません。
前述したように、加点項目は原則的には、最大6つまでです。
6つすべての項目をクリアするのは、時間がかかるでしょう。
6つ全部達成が難しければ、少なくとも2つの項目をクリアしておくことでも良いです。
当然ですが、加点がまったくないよりは、1~2個でも加点があったほうが有利です。
少しでも補助金をもらえる可能性を高めるためにも、すべてでなわずかでも、加点を増やしておきましょう。
加点項目を達成するには少し手間もかかります。
それでも、事前に余裕をもって準備をすれば、補助金をもらえるチャンスは大きくなるでしょう。
計画的に必要な書類を早めに揃えてください。
参考:【2025年11月最新】ものづくり補助金の15の加点項目一覧
特定の条件をクリアして点数アップになると、審査される際にプラスの評価がもらえるため、優位です。
加点項目を多くクリアするほど、補助金をもらえる確率が大きく上がります。それなら加点が多いに越したことはないでしょう。
前述したように、加点項目をたくさんクリアした人ほど採択率が高いことがデータからわかっています。
しかし、加点項目を多くクリアするのは容易ではありません。
ただ正しく手続きをするだけではなく、書類準備や、認められるまで待機することに時間を要するからです。
たとえば、成長性加点という項目があります。
この点数を稼ぐためには、経営革新計画という書類を準備し、補助金を申請する前にその計画が認められていなければなりません。
そのため、計画を立ててから申請するまでに余裕を持つ必要があります。
ここでは、加点対象となる項目にはどのようなものがあるか、具体的にみていきましょう。
経営革新計画は、会社が新しいアイディアでもっと良くなろう!という計画を作ることです。
この計画を都道府県や国に見てもらい、いいですね!と認めてもらうと、融資や補助金が得やすくなります。
とはいえ、この計画を立てるのはやや大変なので、加点がもらえるのは頑張った会社だけです。
新しくお店や会社を始めてから5年以内の会社は、加点対象です。
ちなみに第二創業とは、会社に新しい社長が来て、今までとは違う新しい仕事を始めることです。
加点してもらうためには、開業届という証拠書類が必要です。
出典:パートナーシップ構築宣言
パートナーシップ構築宣言とは、全員で仲良く協力して事業経営を頑張ります!と約束し、実践しようとする姿勢です。
この宣言自体は、ネットで書類を出せばすぐに認めてもらえます。
宣言するだけで加点してもらえるのですから、申請するなら早めにやっておきましょう。
出典:パートナーシップ構築宣言とは?
再生事業者とは、困った会社を助ける仕組みで、支援してもらっている会社のことです。
特別な加点が得られるのは、こうした会社だけです。
DX認定事業者は、デジタル技術をうまく使っている会社のことです。
会社がどんなデジタル技術を使っているか、ホームページなどで発信している必要があります。
健康経営優良法人というのは、社員が元気に楽しく働けるようにしている会社です。
この認定は、前に受けたことがある会社だけがもらえます。
出典:官民によるスタートアップ支援
J-Startupとは、新しいアイデアで頑張る会社を応援する制度です。
特別な審査を受けて認められた会社が点数をもらえます。
取引先が、環境に優しい活動をすると約束している場合、加点対象です。
出典:ロゴの使用許諾について
J-クレジット制度は、地球温暖化を防ぐための活動を頑張った会社がもらえる制度です。
GXリーグは、2050年までに地球にやさしい会社になります!と頑張る会社が集まるところです。
参加しているだけで点数がもらえるので、獲得しやすいでしょう。
出典:CFPについて
カーボンフットプリントとは、物を作るときに、どれだけ地球に負担をかけているかを調べることです。それを発表している会社は点数がもらえます。
出典:カーボンフットプリントについて
事業継続力強化計画とは、地震や台風が来ても仕事が続けられるようにする計画です。この計画を作った会社も点数がもらえます。
賃上げ加点というのもあります。
これには、主に以下の2つの項目があります。
事業計画期間中に、以下の条件を満たす計画を有し、事務局へ誓約書を提出している事業者に加点されます。
または、以下の条件を満たす場合にも加点の対象です。
中小企業が被用者保険の適用拡大に対応する制度改革に先立ち、任意適用に取り組む場合も加点の対象です。
減点されてしまう項目もあります。
減点項目に当てはまってしまうと、点数がマイナスになり、採択に不利になってしまいます。
それでは、どのような減点項目があるかをここで確かめていきましょう。
応募締切日から過去3年間に、類似の補助金で交付決定を1回受けていると、減点対象です。
短い期間で補助金交付を受けていると不利になるでしょう。
特に、過去3年以内に2回以上交付決定を受けた事業者は、ものづくり補助金への申請自体ができません。
回復型賃上げ・雇用拡大枠という特別なルールで申請をし、過去に損をした分(=繰越欠損金)を使って税金を減らしている場合は、減点です。
ただ、このルールは特別な枠だけに当てはまるので、必ずしも減点されるとは限りません。応募する前に確認しておきましょう。
まず、審査項目を意識して作成してください。
事業計画書が採択されるためには、審査項目を満たさなければなりません。
審査項目については、公募要領に記載されています。
年度によって若干の変更があるものの、大体の内容は変わりません。
事業計画書を作成する際には、審査項目を意識しながら進めていきましょう。
事業計画書は、ものづくり補助金の記載項目に基づいて作成する必要があります。
記載項目は年度によって異なるため、必ず最新の公募要領を確認してください。
記載項目を適切に整理し、事業計画の内容に合わせて適切な見出しをつけましょう。
特に以下の点に注意して計画を作成してください。
【技術についての記載】
【事業化についての記載】
【政策についての記載】
加点項目を確認することも大事です。
ものづくり補助金には、年度ごとに異なる加点項目が存在します。
前述したように、加点項目を満たすことで採択される可能性が高まります。
事業計画を作成する際には、加点項目についても確認し、条件を満たすと効果的です。
ものづくり補助金に関して不明な点がある場合、専門家のアドバイスを受けることがおすすめです。
特に、初めての申請で戸惑ってしまう事業者は、専門家に頼るのが得策です。大幅な手間を削減できるでしょう。
といっても、どこに相談すればいいかわからない方は、
などへの相談、専門家派遣制度の利用がおすすめです。
ただし、事業計画の作成は事業者の責任で行いましょう。
専門家はあくまでアドバイスを行い、計画作成を支援する立場です。
ものづくり補助金の申請において、加点項目をうまく活用することは成功の秘訣です。
加点項目を多くクリアするほど、採択率を大きく向上させることが可能だからです。
ものづくり補助金制度は特に競争が激しいため、少しでも有利な立場を取らなければなりません。それには計画的に準備を進め、必要な証拠書類をそろえることが求められるます。
加点項目にはさまざまな種類があります。
各項目に応じた対策を講じることで、申請書類の完成度を高めることが可能です。
加点項目にはどのようなものがあるか本記事でしっかり確認しておき、ぜひ申請書類に取り入れてください。
そうすれば、ものづくり補助金の採択に一歩近づくことができます。
上記のようなお悩みがある方は、専門家に相談することもひとつです。専門家をうまく活用しながら、今こそ一歩踏み出してものづくり補助金の採択を勝ち取りましょう。
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ものづくり補助金は加点の取得が多いほど採択に有利になりますが、全ての加点を取得することは難しいです。少なくともパートナーシップ構築宣言、成長加速化マッチングサービスへの登録は行うと良いです。それ以外に該当の加点を取得場合には一つでも多くの加点の取得を行うようにしましょう。