【無理のない返済を】融資の正しい返済計画の立て方を紹介!

融資の返済シミュレーションを使い、返済の目安を立てる方は多いですよね。 しかし、無理な返済プランを立ててしまっては元も子もありません。 今回は無理のない融資の返済方法をわかりやすく解説します。
井上 雅也

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この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

融資の返済方法とは?

はじめに融資の返済にあたって、どのような返済方法があるのかを解説します。返済方法は主に下記の2つです。

  • 元利金等返済:毎月の返済額が一定の返済方式
  • 元金均等返済:毎月の元金返済額が一定の返済方式

どちらも似たような名前ですが、実際には返済方法がかなり違ってきます。

元利金等返済は、返済の開始から終了までの間、毎月の返済額が常に一定となります。この方法は返済計画が立てやすく、返済当初の負担が少ないのが特徴。

しかし、総返済額が多くなる可能性や、返済当初において元金の減りが比較的遅くなるといった注意点もあるので注意しましょう。

一方、元金均等返済は、あらかじめ返済回数で均等に割った元金と、元金に応じた月々の利息の合計額になるようにした返済方法のことです。

返済が進むにつれて返済の負担が軽くなりますが、返済開始当初は支払いの負担が重くなることが特徴として挙げられます。
融資返済方法の比較

融資返済シミュレーションの活用方法

今回は日本政策金融公庫の返済シミュレーションを用いて活用方法を解説します。活用方法は下記の通りです。

  1. 借入希望金額を入力する
  2. 元金均等返済・元利金等返済のどちらかを選択
  3. 返済期間・金利を選択する
  4. シミュレーション結果を元に返済計画を立てる

シミュレーション結果には、総返済額と利息、1回ごとの返済額が表示されます。

あくまでもシミュレーションなので、実際に受けるときの条件や金額とは差異があります。

より現実的なシミュレーションを行いたい場合は、借入金額を最低限にしてみたり、逆に可能な限り高く設定してみたりする。

金利や返済回数、などの条件を最大値にしたり平均値にしたりするのも良いでしょう。返済方法も変えてみると、いろいろなシミュレーションが可能です。

このように、返済シミュレーションはあくまで目安ですが、より現実的に近づける工夫ができます。
参考:日本政策金融公庫(事業資金用返済シミュレーション)

やってはいけない返済計画の立て方

次にやってはいけない返済計画の立て方について解説します。

それは、返済を急ぐあまり月の返済を多くしてしまうことです。下記で2つの例を詳しく解説します。

たとえば、1200万円を5年(60回払い)で返済計画を立てると、月の返済は約20万円です。

しかし、1200万円を1年(12回払い)だと。月の返済は約100万円となります。

前者は利息が増えますが、月々の返済負担が少なくなります。逆に後者は利息は少なくなりますが、月々の返済負担が増え、支払いが大変になるのです。

支払いを早く終えて不安を無くしたい気持ちはありますが、少し余裕を持たせて返済の計画を立てるようにしましょう。

無理のない返済計画の立て方

では無理のない返済計画を立てるにはどうすれば良いか解説します。

まず返済計画を立てる際は、キャッシュフローの計算をしてみましょう。計算式は下記の通りです。

  • キャッシュフローの計算式<経常利益+減価償却費ー法人税等>

この計算式を用いてキャッシュフローを算出し、算出した金額よりも少ない額であれば、無理のない返済といえます。

一例を出すと、このようになります。

  • 経常利益300万円+減価償却費50万円ー法人税等75万円=275万円

上記の計算で、275万円と出ました。この275万円よりも年間の支払額が小さければ、無理のない返済となるわけです。

しかし、創業者は計画したキャッシュフローを参考に資金計画や返済計画を立てなくてはなりません。

よって創業者の場合は、計画上のキャッシュフローよりも余裕を持たせて計画を立てると、リスクが減ります。

融資返済でよく聞く据置期間とは?

日本政策金融公庫などの融資シミュレーションを利用したとき、「据置期間」という単語がありますが、実際何のことなのかわかり辛いですよね。

据置期間を簡単に説明すると、金利の支払いのみ行い、元金は一時的に返済しなくても良くなることです。

据置期間を活用することで、その間の資金繰りが楽になったり複数の支払いを回避できるので支払いの負担が軽減されます。

創業者の場合は、事業の立ち上げてすぐは収益が不安定になりがちなので、返済の負担が減らせて事業に集中できるというメリットもあります。

しかし、デメリットとして据置期間が終了した後の返済に注意が必要です。

たとえば、7年の支払い期間を設定して、2年の据置期間を設定したとします。

そうすると、「2年の据置期間+7年の返済期間」というわけではなく、「2年の据置期間+5年の返済期間」となってしまうのです。

7年の返済期間から2年分の返済を猶予することになるので、据置期間が終了すると、5年間で残りの融資を返済しなくてはなりません。

また、据置期間を利用した場合、返済の実績がないと次回以降の融資が受けられない可能性があることも注意しましょう。
据置期間について

融資返済に困ったときは専門家に相談を!

先ほど解説した据置期間の件もそうですが、融資の返済計画を立てていくのは難しく、経営歴が長い方でも事前に返済計画を立てられている方は少ないといいます。

やはり融資の返済計画を立てるのは面倒な作業なので、銀行の提案を受け入れてしまう方が多いです。

自分で可能な限り返済計画を立て、銀行から提案された返済プランと比較する、専門家の力を借りてより良い返済プランを考えてもらう施策がおすすめです。

また、創業者の場合は初めて融資を受けるという方がほとんどだと思います。さまざまな要素を踏まえて返済計画を立てるのは不安でしょう。

そんな時こそ、専門家の力を借りて、事業計画の背中を押してもらうことが何よりも支えになるのです。

専門家に相談する前に準備しておくべきこと3選

専門家に相談する際に、どんな準備をすれば良いかを3つご紹介します。

  • 自分の収支状況を明確にする
  • 現在の返済状況や借入状況を正確に把握する
  • 相談の目的や具体的な質問事項を明確にしておくこと

自分の収支状況を明確にする

融資返済に向けた相談を行う際、自分の収支状況を明確にしておくことは不可欠です。

これは、現在の経済的な余力を正確に把握し、返済計画を立てる基盤を整えるために必要です。

月々の収入額や支出額をリストアップし、どの程度の資金を返済に回せるかを明確にしましょう。

収入については、固定的な給与や事業収入の他、不定期な収入や補助金のような特例的な収入源も含めて記録しておくと、より現実的な計画が立てやすくなります。

一方で支出については、生活費、ローンの返済、事業運営費用、そして予測される突発的な支出を考慮に入れる必要があります。

特に、収入が不安定な場合や、将来的に支出が増加する見込みがある場合には、その点も事前に整理しておきましょう。

たとえば、収支を記録する際には、エクセルや家計簿アプリなどのツールを活用することで、計算ミスを防ぎ見直しをしやすくすることができます。

このような収支状況の整理が不十分だと、専門家が最適なアドバイスを提供しづらくなるため、可能な限り詳細なデータを揃えておくことが重要です。

現在の返済状況や借入状況を正確に把握する

専門家に相談する前に、現在の返済状況や借入状況を正確に把握することが、最初の準備として求められます。

これにより、専門家が現状を迅速に理解し、適切な助言を提供できるようになります。

特に重要な情報には、返済残高月々の返済額返済期限適用されている金利などがあります。

また、これまでの返済履歴も確認しておくと良いでしょう。

たとえば、過去に返済が遅れた履歴や、現在の延滞状況があれば、それらを正確に伝えることで、課題の優先順位を見極める手助けとなります。

特に、複数の融資を抱えている場合には、それぞれの契約内容を比較しやすいよう、まとめておくと便利です。

契約書類や明細書が手元にない場合、金融機関に依頼して再発行してもらうことも可能です。

特に、返済計画を立て直す際に具体的な契約条件が不明確なままだと、対応が困難になるケースもあります。

正確な情報を準備することで、相談の効果を最大化できるでしょう。

相談の目的や具体的な質問事項を明確にしておくこと

専門家に相談を依頼する際は、自分が何を知りたいのか、どのような解決策を求めているのかを事前に明確にしておくことが、効果的な話し合いにつながります。

目的があいまいなままだと、相談が長引いたり、適切な助言が得られない可能性があるためです。

「月々の返済額を減らしたい」「返済期間を延長したい」「借り換えローンを検討したいが、条件や手続きが分からない」など、具体的に洗い出しておきましょう。

特定の課題を抱えている場合には、その原因や背景についても整理しておくことが役立ちます。

さらに、相談の目的に応じて必要となる資料を準備することも重要です。

返済計画を見直したい場合には、現在の返済計画書や金融機関からの通知を持参すると、具体的な話が進めやすくなります。

また、解決策の幅を広げるために、自分自身の考えや希望条件も整理しておくと良いでしょう。

こうした事前準備を行うことで、相談が円滑に進むだけでなく、専門家が提案する解決策の精度も高まり、より満足のいく結果が得られる可能性が高まります。

【まとめ】融資の返済を無理なく行い支払いにおける不安をなくそう!

今回は融資の返済方法を解説しました。融資の返済には金利、返済期間だけでなく返済方法や据置期間など、さまざまな条件があります。

支払いを早く終わらせるために月々の返済を増やしてしまうと、事業に影響が出たり、ご自身が精神的にキツくなったりするので、余裕を持った返済を心がけましょう。

ご自身の返済計画を踏まえて判断するのが効果的ですが、必要に応じて専門家の判断も取り入れましょう。

そうすることで、より事業の運営が楽になったり、資金調達に余裕が出る可能性があります。

今回の記事を参考に、ぜひシミュレーションを用いて返済計画を立ててみてください。

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