融資の返済を延滞した場合どう対応する?緊急時の対処法を解説

融資の返済を延滞してしまったとき、不安や焦りが出てしまいますよね。 返済に気を取られると、事業の運営が思うように行かず悪循環に陥る原因にもなりかねません。 今回は融資の返済を延滞した場合の対処法について解説します。
井上 雅也

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融資の返済が延滞した場合どう対応する?緊急時の対処法を解説

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

融資の延滞が信用情報に与える影響は?

融資の延滞が信用情報に与える影響は、信用度の低下を招き、その結果、新たな借り入れが困難になる点です。

信用情報は、将来の融資やクレジットカードの利用において重要な役割を果たし、融資の返済が遅れると、信用情報に悪影響を与えます。

たとえば、融資の支払いが1カ月以上遅れると、その遅延が信用情報機関に登録され、次回のローン申請時に審査で不利になる可能性があります。

それだけではなく、新たにクレジットカードの作成が難しくなるといった弊害も出てくるため、信用情報における延滞の影響は大きいです。

そのため、融資の返済は必ず期日を守り、延滞しないことが非常に重要といえます。
参考:CIC(貸金業法指定信用情報機関)

返済が遅れた場合の3つの対処法

ここでは返済が遅れてしまった場合の対処法を3つ解説します。

  • 窓口に相談する
  • 債務整理を行う
  • リスケジュール(返済計画の見直し)の相談をする

窓口に相談する

対処法の1つ目は、窓口に相談することです。まずは借入先の窓口に相談することから始めましょう。

理由としては、早めに金融機関や貸主に相談することで、柔軟な対応や返済期限の延長が可能になる場合があるからです。

相談すると、金融機関は事情を考慮し、一時的な支払い猶予を認めてくれることがあります。

返済が遅れたら、延滞してそのままにするのではなく、窓口に相談して対処可能な問題はしっかりと対処しましょう。
参考:日本政策金融公庫:予約相談

債務整理を行う

2つ目は債務整理を行うことです。債務整理をすることで、法的に返済額の減額や支払い期間の延長が可能となり、無理なく返済を続けることができます。

たとえば、個人再生や任意整理を行うことで、利息の一部が免除されることがあります。

また、任意整理や民事再生であれば事業を継続しつつ、負債の整理ができるので、必要に応じて債務整理も行いましょう。

リスケジュール(返済計画の見直し)の相談をする

3つ目はリスケジュール(返済計画の見直し)の相談です。返済計画を見直すことで、現在の収入や生活状況に合わせた返済プランを再構築できる可能性があります。

リスケジュールを通じて毎月の返済額を減らし、長期的に返済する形で負担を軽減できます。

リスケジュールをすると信用の悪化を最小限に抑えられて、無理なく返済できる状況が作れるので、一度検討してみましょう。
返済が遅れた場合の対処法

融資の延滞時に絶対やってはいけないこと

融資が延滞した際に絶対にやってはいけないことは、無視や放置をすることです。

無視や放置をすることは、借り手にとって非常に深刻な問題となり、その影響は時間と共に悪化します。

理由として、融資を無視すると、金融機関からの信頼を失うだけでなく、延滞利息やペナルティが加算され、返済総額が増えるリスクがあるからです。

遅延日数が長引くと、信用情報に悪影響を及ぼし、今後の融資が受けられない場合もあります。

具体的には、融資の延滞を無視し続けた結果、最終的には債権回収業者に移行され、法的措置を受けたケースが多数あります。

したがって、融資の延滞時には、無視や放置をせず、積極的に金融機関とコミュニケーションを取ることが重要です。

このような問題を早期に解決することで、将来の信用を守ることができます。

融資延滞時のペナルティ

融資の返済を延滞すると、日数に応じてペナルティが発生します。これは、金融機関からの信用を損ない、将来的な融資審査にも影響を及ぼします。

融資の延滞は金融機関に対して信頼性を損なう行為であり、金融機関はそのリスクを考慮して、延滞者に対してペナルティを課すことで返済を促しているのです。

返済が1日遅れるだけで、延滞金が発生する可能性があります。さらに日数が経過すると電話での督促や一括請求など、徐々にペナルティが重くなります。

そのため、融資の延滞は将来の金融取引に大きな影響を及ぼすため、返済は必ず期日通りに行うことが重要です。
延滞によるペナルティ

融資の延滞を防ぐ5つの方法

ここでは融資の延滞を事前に防ぐ方法を5つに分けて解説します。

  • 融資の一本化について
  • 返済スケジュールの管理
  • 自動引き落としの活用方法
  • 緊急時の対応策(返済猶予の申請方法)
  • 運転資金の調達(事業融資や助成金の利用)

融資の一本化

1つ目は融資の一本化です。複数の融資を一つにまとめることで、管理が簡略化され、返済の遅延を防ぐことができます。

逆に融資をいくつも抱えていると、それぞれの返済スケジュールを把握し、タイミング良く対応することが難しいです。

たとえば、銀行や金融機関が提供している「おまとめローン」を活用することで、複数の借入れが一つにまとまります。

これにより、返済管理がスムーズになり、延滞リスクが大幅に軽減されます。

融資の一本化は、返済の複雑さを軽減し、計画的な返済が可能になるため、延滞防止に大いに役立つでしょう。

返済スケジュールの管理方法

2つ目は返済スケジュールの管理についてです。返済スケジュールを適切に管理することも、融資の延滞を防ぐ重要な方法です。

特に、返済期日をきちんと把握し、スケジュールに従って計画的に資金を確保することが求められます。

たとえば、カレンダーアプリや管理ソフトを利用して、返済日をリマインダーで設定するなどの管理が効果的です。

これにより、返済日を忘れることなく、しっかりと資金を準備することができます。

返済スケジュールの管理を徹底することで、延滞を未然に防ぎ、スムーズな返済が可能になります。

自動引き落としの活用方法

3つ目は自動引き落としの活用です。手動での振り込みだと支払いを忘れるリスクが生じますが、自動引き落としを設定しておけば、期日通りに返済が行われます。

毎月の返済金額が自動的に引き落とされる口座を設定し、残高不足が生じていたら不足分を補うと、資金繰りの計画が立てやすいです。

この方法で、返済忘れによる延滞を未然に防ぐことができます。

このように自動引き落としを活用すれば、確実に期日通りの返済が行われ、延滞のリスクを軽減できるでしょう。

緊急時の対応策(返済猶予の申請)

4つ目は緊急時の対応です。緊急時には支払いが厳しくなる前に、返済猶予の申請が有効な対策です。

理由としては、事業を運営するにあたって、経済的な予期しないトラブルにより一時的な資金不足に陥る可能性があります。

近年だと、新型コロナウイルスが流行で経済的打撃を受けた際、多くの企業が返済猶予を利用し、資金繰りを維持することができました。

したがって、緊急時の対応策として返済猶予の申請は極めて有効な手段であり、早めに金融機関と相談しておくことが重要です。
参考:日本政策金融公庫:ご返済や資金調達でお困りのお客様へ

運転資金の調達(事業融資や助成金の利用)

5つ目は運転資金の調達をすることです。運転資金を調達するためには、事業融資や助成金を積極的に利用しましょう。

なぜなら、こうした外部資金を確保することで、安定した資金繰りが実現できるからです。

たとえば、中小企業向けの事業再構築補助金やIT導入補助金を活用することで、企業は必要な資金を得て事業を継続し、成長させることが可能です。

その結果、事業の安定運営に大きな助けとなるでしょう。事前に対策を講じておくことで、融資の延滞を防ぎ、企業の信用を守ることができます。

運転融資について解説しているので、こちらもご覧ください。

【リスクを減らせる】運転資金の融資を受けるための流れを解説!

返済計画を立てる際の注意点

返済計画を立てる際は、現実的で持続可能な計画を作成することが重要です。

返済が無理のない範囲で行えるように計画を立てることで、資金繰りが悪化するリスクを回避できます。

無理のある返済計画は、経営の安定を脅かし、最終的には延滞につながる可能性が高まります。

月々の売上が安定していない場合でも、固定費や不測の事態を見越して、余裕を持った返済スケジュールを組むことが望ましいです。

具体的には、余剰資金ができたときに追加返済する形を取ることで、月々の返済負担を軽減できます。

返済計画は余裕を持ったものにして、無理なく続けられることが最も重要です。

【まとめ】融資の返済が延滞した場合は焦らず対処しよう!

今回は融資を延滞してしまった場合の対応と、事前に防ぐ方法を解説しました。

信用問題に関わることは、すぐにでも対処し、解消するべきです。そのためには対処する方法を知らなければ対処はできません。

債務整理や窓口相談、リスケジュールや補助金の活用など、できる対処は豊富にあるので、無視や放置をせずに、しっかりと焦らず対処しましょう。

補助金や助成金を活用して返済負担を軽減!

延滞した場合でも、補助金や助成金を申請して返済の負担を軽減することができます。

申請には多少時間はかかるものの、将来の返済負担が軽減できることはとても大きな恩恵を受けられるでしょう。

ご自身が受けられる補助金や助成金の確認は、下記のリンクからできます。ぜひチェックしてください!