短期融資とは?長期融資との違いを踏まえて利用方法を解説
急な資金調達が必要になった方へ向けて、短期融資の選び方や注意点を解説しています。
この記事を参考に、最適な融資先を見つけて資金調達を乗り切るようにしてください。
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この記事を監修した専門家

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
短期融資とは?
短期融資とは、借入期間が1年以内の資金調達方法を指します。
主に運転資金や一時的な資金不足を補うために利用され、迅速な資金調達が可能な点が特徴です。
長期融資と比較して返済期間が短いため、総支払利息を抑えられるというメリットがあります。
短期融資が選ばれる理由として、急な支出や売上入金のズレによるキャッシュフローの調整が挙げられます。
たとえば、仕入れ費用が発生するが売上の入金が後になる場合、一時的に資金が不足してしまうのです。
このような状況において、短期融資は迅速な資金補填を可能にし、事業の継続性を保つことができます。
短期融資の利用は資金繰りの柔軟性を高めるため、特に中小企業や個人事業主にとって有効です。
ただし、短期間での返済が求められるため、返済計画を綿密に立てることが重要です。
短期融資と長期融資の違い
短期融資と長期融資の違いについてです。
短期融資は通常1年以内の返済を前提としており、主に運転資金や一時的な資金不足の補填に利用されます。
具体的には、仕入れ費用の支払いや人件費の調整など、短期間で資金が必要なケースに適しています。
一方、長期融資は返済期間が1年以上に設定されることが多く、設備投資や事業拡大のための資金調達に向いているのです。
短期融資は、審査が比較的緩やかで迅速に資金調達できることが特徴です。また、返済期間が短いため総支払利息が低く抑えられます。
しかし、返済スケジュールがタイトであり、資金繰りに失敗すると経営を圧迫するリスクもあるので注意しましょう。
これに対して長期融資は、毎月の返済額が低く抑えられるため、資金繰りに余裕が生まれるが、長期間の返済を続けることで総支払利息が多くなる可能性があります。
短期融資は短期的な資金調整に、長期融資は長期的な成長戦略に活用することが重要です。
事業の状況や資金ニーズに応じて、適切な融資方法を選ぶことで、効率的な資金管理と経営の安定を図れます。
短期融資の種類
短期融資の種類をご紹介します。
- 金融機関の短期継続貸付
- 地方公共団体金融機構の短期貸付
金融機関の短期継続貸付(タンコロ)
短期継続貸付、通称「タンコロ」は、企業が安定した資金運用を実現するために金融機関が提供する融資形態の一つです。
この融資は、比較的短期間での返済を前提としつつ、契約更新を行うことで長期間の資金ニーズにも対応できる柔軟性が特徴となっています。
短期継続貸付の主なメリットは、契約更新を繰り返すことで長期融資に近い利用が可能となり、借り手が一定の資金を安定して利用できる点です。
たとえば、事業資金の一時的な不足を補うために融資を受け、期日が来るたびに返済と再借入を繰り返す形で運用することができます。
この仕組みによって、返済期間が短期であっても運転資金を継続的に確保することが可能です。
一方で、注意すべき点として、契約更新時に金融機関が再審査を行う場合があることが挙げられます。
この再審査では、借り手の信用状況や返済能力が改めて評価されるため、業績の悪化などによって更新が認められないケースも想定されます。
そのため、短期継続貸付を利用する際には、自社のキャッシュフローの状況を常に把握し、融資が打ち切られた場合の代替手段を検討しておくことが重要です。
参考:野村證券(短期継続貸付|証券用語解説集)
地方公共団体金融機構の短期貸付
地方公共団体金融機構の短期貸付は、地方自治体が一時的な資金不足を補うために利用できる融資制度です。
この仕組みは、地方税収の遅延や突発的な支出に対応するため、迅速に資金調達を行う手段として設計されています。
この貸付の大きな特徴は、地方自治体の財政運営を支えるために、比較的低金利で融資を受けられる点です。
また、短期間の利用を前提としているため、年度内の財源調整に利用されることが多いです。
たとえば、地方税の収入が見込める時期までの運転資金として活用され、適切な返済計画のもとで財政基盤を維持する役割を果たしています。
一方で、短期貸付であっても財政状況に応じた返済能力が求められるため、貸付を受ける際には事前に返済計画を明確に立てる必要があります。
また、地方自治体においても、過度な借り入れが長期的な財政負担につながるリスクを考慮し、慎重な利用が求められます。
適切な活用によって短期間での資金繰りを乗り切ることが、この貸付制度の最大の目的といえます。
参考:地方公共団体金融機構(短期貸付)
短期融資の4つのメリット
短期融資のメリットを4つ解説します。
- 金利が低くなる
- 審査に通りやすい
- 返済計画を立てやすい
- 赤字企業でも融資を受けられる可能性
金利が低くなる
短期融資は、一般的に長期融資と比べて金利が低い傾向にあります。
これは、短期融資の貸付期間が1年以内と限定されているため、金融機関にとって貸付リスクが少なくなることが理由です。
資金を短期間で返済できる場合、余分な利息を支払う必要がなくなるため、企業や個人にとって非常に有利な選択肢となります。
たとえば在庫購入や一時的な運転資金の確保など、短期的な資金需要に対応する場合は、短期融資を利用することで総支払額を抑えることが可能です。
また、金利が低いことで資金調達にかかるコストを削減でき、事業の収益性を維持しながら必要な資金を得ることができます。
そのため、資金の使い道が明確で、短期間での返済計画が立てられる場合には、短期融資は非常に効果的な資金調達方法といえるでしょう。
審査に通りやすい
短期融資は、比較的審査基準が緩やかな場合が多いのも特徴です。
このため、急な資金調達が必要な際に非常に役立ちます。
短期融資では貸付期間が短いため、金融機関がリスクを限定的と判断し、長期融資よりも柔軟な審査が行われることが多いです。
中小企業や個人事業主が短期融資を申し込む際には、直近の収支報告や簡単な事業計画の提出だけで審査が通る場合があります。
また、すでに取引のある金融機関に申請する場合は、過去の取引実績をもとに審査がスムーズに進むこともあります。
短期融資のこの特性は、予期せぬ出費や急な資金需要に対応するうえで非常に有効です。
ただし、返済能力を事前にしっかりと確認したうえで利用することが重要です。
短期融資を上手に活用することで、迅速かつ効率的に資金を調達することが可能です。
返済計画を立てやすい
短期融資は、返済期間が1年以内と限られているため、返済計画を立てやすいというメリットがあります。
長期融資の場合は、長期間にわたる返済スケジュールを考える必要がありますが、短期融資は期間が明確であるため、具体的かつ現実的な計画をすぐに作成できます。
季節的な需要増加に伴う在庫購入資金として短期融資を利用する場合、売上のピークが過ぎたタイミングで一括返済の計画を立てられるのです。
このように、返済期間が短いことで収支の変化に対応した無理のない計画を構築することが可能です。
また、短期間で完済することで、金利負担を最小限に抑えることができる点も魅力的です。
これにより、事業や個人の財務状況を安定させながら融資を活用することができます。
返済の見通しが立てやすいと、資金管理の負担軽減にもつながります。
赤字でも融資を受けられる可能性がある
短期融資は、赤字を抱えている場合でも融資を受けられる可能性がある点が大きな特徴です。
長期融資では、厳しい財務状況を理由に審査が通らないことが一般的ですが、短期融資では、返済期間が短いために金融機関がリスクを低く見積もることがあります。
そのため、現在赤字の状態でも、事業の将来性や過去の実績を評価されれば融資が実行されることがあります。
一時的なキャッシュフローの不足が原因で赤字となっている中小企業が、確定した受注や売上見込みを示すことで融資を受けられた事例があるのです。
このように、短期融資では将来的な返済能力が重視されるケースも少なくありません。
ただし、赤字での融資を受ける際には、返済能力をしっかりと見極めたうえで計画を立てることが必要です。
また、短期融資は短期間での返済が求められるため、無理のない範囲で利用することが大切です。
このように、赤字の状況でも資金調達の選択肢を提供してくれる短期融資は、経営の立て直しや急な資金需要に役立つ方法となります。
赤字に関するコラムも参考にしてください。
【根本解決】赤字決算でも融資が受けられる?資金不足の原因・対処法を解説
短期融資を受ける4つの注意点
ここでは実際に短期融資を受けるときの4つの注意点をご紹介します。
- 契約内容等をよく確認しない
- 必要書類の提出期限を守らない
- 1回あたりの返済額を把握しない
- 融資を断られるリスクを考慮しない
契約内容をよく確認しない
短期融資を受ける注意点の1つ目は、契約内容をよく確認しないことです。
契約内容には、返済期間や金利といった重要な事項が掲載されています。
契約内容の記載を確認せずに融資を受けてしまうと、金利などの影響で経済状況や経営状況が悪くなる可能性があります。
そうならないためにも、返済期間、金利といった重要な事項をよく確認するようにしてください。
必要書類の提出期限を守らない
2つ目は必要書類の提出期限を守らないことです。必要書類がない場合は大丈夫ですが、特にビジネス目的の短期融資を受ける場合は書類が必要となる場合が多いです。
提出期限に遅れてしまうと、本来借りたかった期間にお金を受け取れなくなってしまいます。
短期融資を受ける前に、必要な書類がないかよく確認するようにしましょう。
どの書類が必要なのか曖昧な場合や、わからないことがある場合は、短期融資を受ける予定の機関に前もって聞いておくと、スムーズに審査を受けることができます。
1回あたりの返済額を把握しない
3つ目は1回あたりの返済額を把握しないことです。急にお金が必要になって焦ってしまいますが、これから返す予定のお金をしっかりと把握しておくことが重要です。
どのくらいの金額であれば、無理なく返済ができるのかをチェックすることで、滞納や未払いに陥る可能性が下がります。
ご自身の収入を踏まえた上で判断するようにしましょう。
融資を断られるリスクを考慮しない
4つ目は融資を断られるリスクを考慮しないことです。融資はどんな人でも受けれるものではないので、条件や状況によっては融資を断られるリスクもあります。
そういったリスク回避のために、前もって融資を受けるところをいくつかリストアップしておきましょう。
これにより必要なタイミングで融資を受けれる可能性が高まります。しかし、どの融資先でも断られてしまう方も中にはいるでしょう。
そんな方は、まず自分の信用情報を見直したり、残っている返済がないか確かめることをおすすめします。
失敗しない短期融資の選び方
注意点を踏まえた上で、次は失敗しない短期融資選の選び方をご紹介します。
金利を比較する
失敗しない選び方の1つ目は、金利を比較することです。金利は借入額によってどれだけ利息がかかるかが決まる重要な項目です。
仮に変動金利の短期融資を選択した場合、現在の金利よりもっと金利が上がる可能性もあるため、将来的なリスクを踏まえた上で選ぶようにしましょう。
融資を受ける条件
2つ目は融資の条件を踏まえて選ぶ方法です。融資の種類のよって、審査が厳しかったり、条件をいくつか設けているところもあります。
あらかじめ条件や審査基準を調べておき、自分の収入や信用情報に合わせた融資を受けるようにしましょう。
一方で、審査基準が緩い場合や、条件が少ない融資先は金利が高いなどのデメリットがある可能性が高いので、慎重に選択するようにしてください。
目的に応じて選ぶ
3つ目は目的に応じて選ぶ方法です。急にお金が必要となった場合でも、その目的は多岐にわたります。
医療費を用意しないといけないケースや、致命的な損害を受けた住宅・車に必要なケース。ビジネスにおいては事業の運転資金が追加で必要になるケースも考えられます。
さまざまな目的に対して、カードローンやビジネスローンなど、目的沿った融資を適切に受けると、返済における負担軽減に繋がります。
自分に合った融資を選ぶ時のチェックリスト
自分に合った短期融資を選ぶために、以下の項目をチェックしておきましょう。
- いつまでに資金調達が必要か確認する
- 審査に落ちた場合も想定して第二候補の融資先も考えておく
- 自分の過去の返済状況を確認し、信用情報もできるだけ確認しておく
- 金利や審査基準、融資の条件を踏まえ、無理なく返済できる融資を探す
- 資金が必要な期日をもとに、短期融資の種類を選ぶ(例.緊急性が高い場合は即日融資、比較的低い場合は申請型の融資等)
このチェックリストでは、最低限確認しておきたい項目をまとめたので、ぜひ活用して冷静に融資先を見つけるようにしてください。
急な資金調達を乗り切るために必要な2つのこと
資金調達する期間に余裕があれば判断できますが「今日明日でお金が必要になった......」という方もいますよね。
そんな方へ向けて、ここでは急な資金調達を乗り切るために必要なことを2つに分けて解説しています。
即日融資の活用方法
1つ目は即日融資の活用方法についてです。急な資金調達をするときに、即日融資は名前の通り申し込んだ日に融資が受けられます。
ですが即日で借りれるからといって、無計画に借りないようにしましょう。
直近で必要になる最低限の金額を確認し、その場しのぎとして利用するようにしましょう。
最低限必要な資金を調達できたら、比較的金利の低い融資を受けて経済状況を立て直していくことがおすすめです。
即日融資については下記のコラムから確認できます。
即日融資のおすすめは?厳選した4社を口コミ付きで解説!
審査がない融資を受けるリスク
2つ目は審査がない融資を受けるリスクについてです。審査がない融資は即日融資に多い傾向にありますが、金利が特に高く、返済が難しくなる可能性があります。
短期的に見れば即日で審査がないところが心強いですが、長期で見ると金利によって返済額が多くなるケースがほとんどです。
即日融資と同様に、最低限の金額で融資を受け、なるべく短期間で返済していくのがよいでしょう。
そうすると、長期的に見た金利や返済におけるコストを抑えることができます。
【まとめ】短期融資を活用して急な資金調達を乗り切ろう!
今回は短期融資の概要や種類、失敗しない選び方や融資を受けるときの注意点を解説しました。
急な資金調達が必要になる場面はよくありますが、事前にリスクを把握しつつ融資を受けることで、返済のコストを減らす工夫ができます。
また、融資の条件や審査基準を比較検討すると、自分にあった融資先がきっと見つかります。
この記事を参考に短期融資を使いこなして、急な資金が必要になった場面でも焦らずに対応しましょう。
急な資金調達にも補助金が効果的!
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