副業にインボイス制度は関係ある?副業をしている人が今すぐ確認すべき点3選!

副業にインボイス制度は関係ある? 「副業をしている人が今すぐ確認すべき点3選!」を、副業をしている人々に向けて、インボイス制度の重要性と影響を解説します。
中本 明日香

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インボイス制度とは

「適格請求書」、別名「インボイス」と呼ばれるものは、商品を買ったり売ったりする際に、的確な税金の情報を含んだ書類です。
具体的には、「区分記載請求書」という書類に、税金に関する情報が追加されたものやデータを指します。
そして、それを使用したのが「インボイス制度」です。
「売手」は、商品を購入する人たち「買手」が要求したときに、インボイスを発行しなければなりません。
加えて、発行したインボイスのコピーも保管しておかなければいけません。
「買手」は、商品を購入したときに、正しい税金をかけるために、原則的に「売手」から発行されたインボイスを保存する必要があります。
ちなみに、「買手」が自分で作った仕入れの明細書に、一部の情報(インボイスに書く必要がある情報)を入れ、「売手」が確認したものも保存することで、税金控除(仕入税額控除の適用)を受けることもできます。
つまり、インボイス制度は、商品を売ったり買ったりするときに、税金のことを正しく記録するためのあたらしいルールや仕組みです。
このインボイス制度を導入するためには、「インボイス発行事業者」に登録する必要がありあます。「インボイス発行事業者」に登録すれば、今まで免税事業者だった事業者も課税事業者となり、消費税の申告義務が出てきます。
そのため、「インボイス」に対応するか否かの判断に迷う小規模事業者が多いのです。
参考:国税庁

副業しているサラリーマンにもインボイス制度は関係ある!

会社員として働いている傍ら、副業を行っているという人にもインボイス制度は無関係ではありません。
本来インボイス制度は、事業者に求められるものであり、会社から給与を受け取るサラリーマンには、消費税の納税義務がないため、インボイス制度は無関係にあります。
しかし、副業の状況によってはインボイスの影響を受けたり、インボイスの発行を求められたりする場合があります。
たとえば、副業の依頼先や取引先が課税事業者である場合はインボイスの発行が必要となります。

副業をする人がインボイス制度で受ける影響とは?

では、副業をしているサラリーマンにとってインボイス制度はどのような影響があるのでしょうか。
インボイス制度開始後、「課税事業者になった場合の影響」と「免税事業者のままでいる場合の影響」を解説します。

1.課税事業者になった場合の影響

消費税の申告が必要となる

原則として2年前の売上げが1,000万円以下である場合は、免税事業者となり、消費税の申告は不要となります。
免税事業者である場合は、売上の消費税を税金として納める必要はありませんが、インボイスを発行するためのインボイス発行事業者に登録した場合、課税事業者となり、売上の消費税を申告する必要があります。
例:売上50,000円(税込み55,000円)の場合、国に5,000円を納めます。
ただし、個人事業主などの小規模事業者の場合は、簡易課税制度の対象となる可能性が高いため消費税の納税が免除される場合があります。

2.免税事業者のままでいる場合の影響

取引先が減る可能性がある

上でも説明したとおり、これまで、免税事業者は売上が1年間で1000万円以下なら消費税を支払う必要はありませんでした。
しかし、取引先が課税事業者の場合、免税事業者との取引では消費税免除が適用されなくなるなどのデメリットが生じ、取引を終了されてしまう場合があることが予測できます。
つまり、免税事業者の仕事が減る可能性があります。
免税事業者が製品の価格に消費税を含める方法もありますが、売上が減る可能性もあります。
免税事業者として続けるかどうかは難しいところであり取引相手により、課税事業者に変わる手続きも検討する必要がでてきます。

副業でインボイス制度の対象にならない・関係のない人は?

副業をしている人もインボイス制度に無関係ではないと説明しましたが、以下のような場合に当てはまる人は、インボイスの対応をしていなくても、インボイス制度の影響は生じません。

副業でインボイス制度の対象にならない人(1)売上先が一般の消費者

お客さんが一般の消費者のみの取引である場合は、通常インボイス制度の対象外となる可能性が高くなります。
消費者は仕入税額控除を行わないため、インボイスの保存を必要としないからです。そのため一般の消費者を売上の取引の対象としている場合、インボイスの発行は不要となります。

副業でインボイス制度の対象にならない人(2)売上先が免税事業者

お客さんが一般の消費者であるのと同様で取引先が免税事業者である場合、免税事業者は仕入税額控除を行わないため、インボイスの保存を必要としません。

副業でインボイス制度の対象にならない人(3)取引先が簡易課税事業者

取引先が簡易課税制度または2割特例の適用により申告する課税事業者である場合は、インボイスを必要としません。
簡易課税制度を選択している事業者は、インボイスを保存しなくても仕入税額控除を行うことができるからです。
※簡易課税事業者とは:簡易課税事業者は小規模な事業者で、簡素な手続きで税金を納める制度です。税金計算が簡単で、固定額課税が行われることがあります。国や地域によって対象業種や条件が異なるため、専門家の助言が重要です。

副業でインボイス制度の対象にならない人(4)提供するサービスが消費税の非課税対象

提供するサービスや商品が消費税の非課税対象とされている場合、インボイス制度の対象外となることがあります。例えば、一部の医療サービスや教育関連の提供などがこれに該当します。
参考:免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A

副業している人がインボイス制度について確認しておくべきこと3選

(1)売上先の確認

副業をしている人がインボイス制度に対応すべきがどうかは、まず売上先の状況を確認します。
たとえば以下のような状況が考えられます。
(1)売上先が一般の消費者だけ:
たとえば、個人向けの手作りアクセサリーショップやコーヒーショップなどが該当します。一般消費者に対して提供する小規模な店舗やサービス業が該当します。
インボイスを発行する必要がない
(2)売上先(取引先)が大手事業者:
大手スーパーマーケットや大手チェーンレストラン、大手自動車部品メーカーなどが該当します。大規模な企業との取引が主な場合、インボイス発行が要求されることがあります。
売上先が仕入れ税額控除を行うためにはインボイスが必要となるため、売上先と相談し、インボイス発行事業者に登録するかどうかを検討する必要がある
(3)お客さんが一般の消費者・事業者どちらもいる:
たとえば、お花屋さんやフィットネスジムがこれに当たります。一般の消費者だけでなく、ビジネス会員や法人顧客も利用する場合があります。
客によってインボイスの発行が求められる可能性がある場合、事業者の客の割合や消費税の申告などを考慮し、インボイス発行事業者に登録するかどうかの検討が必要
(4)売上先(取引先)が免税事業者:
免税店や外国の企業との取引が該当します。免税事業者同士の取引では消費税の免除が適用されず、正確な請求書が必要です。
インボイスを発行する必要がない

(2)提供するサービスや商品が課税対象・免税対象なのか

提供するサービスや商品が消費税の課税対象か、免税対象かによってもインボイス制度への影響が出てきます。例えば、以下のようなケースが考えられます

  1. 課税対象の例:
    • 販売商品: 電化製品、衣料品、家具などの一般的な商品は、通常は消費税が課税されます。
    • サービス提供: レストラン、美容室、エンターテイメント業など、一般の消費者向けに提供するサービスも課税対象です。

これらの場合、取引先によってはインボイス制度に従い、取引先への請求書に消費税を含めて計算し、正確な税額を示す必要が出てきます。

  1. 免税対象の例:
    • 医療関連: 病院や歯科医院の医療サービス、医薬品などは、一部の国や地域では免税対象とされることがあります。
    • 教育関連: 学校や教育機関による教育サービス、教科書なども免税対象の場合があります。

これらの場合、免税対象とされるため、インボイス制度の対象外となることがあります。ただし、国や地域によって免税対象の基準や条件が異なるため、正確な情報を確認することが重要です。

(3)収入の確認

収入の規模によってもインボイス制度への影響が出てきます。具体的には、課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者になり、消費税の申告を行う必要があります。
このため、副業の収入が増加すると、税務手続きや請求書の作成が必要になる可能性があるため注意が必要です。
自身の収入の規模に応じて、インボイス制度の適用範囲を理解しておくことが大切です。

副業でインボイス対応するときに使える補助金を紹介

副業で「インボイス対応」をする必要がある場合にかかる費用や登録者を支援する補助金を2つご紹介します。

IT導入補助金2023

IT導入補助金2023は、中小企業・小規模事業者などが自社の課題やニーズに合ったITツール(ソフトウェア、サービスなど)を導入するための事業費などにかかる経費の一部を補助してもらえます。

それにより、中小企業・小規模事業者などの生産性向上を図る目的があります。

IT導入補助金2023では、2022に引き続きインボイスの導入の促進と、PC・タブレット、レジ・券売機等の導入費用の補助も行われます。

その中で、「デジタル化基盤導入枠」は「インボイス対応」を見据え創設された枠ですが、2023年あらたに追加された「商流一括インボイス対応類型」は、さらにインボイス対応に特化した類型で、インボイス制度に対応をした受発注の機能を搭載するITツールのみが補助の対象となり最大で350万円の補助が受けられます。

具体的な内容は以下の記事をご覧ください。
【新枠創設!】インボイスを導入するならIT導入補助金2023のデジタル化基盤導入枠「商流一括インボイス対応類型」!
【専門家が徹底解説】IT導入補助金2023・令和5年度版
公式サイト

小規模事業者持続化補助金

「小規模事業者持続化補助金」とは、小規模事業者が持続的な経営を図るため、政府や地方自治体により実施される支援策です。

近年、経済の変動や新たな制度の導入など、小規模事業者にとってさまざまな課題が生じています。
(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス制度の導入など

この補助金制度は、小規模事業者が自ら作成した経営計画に基づき、販路開拓や商品改良・開発などに取り組む際に支援を行います。

具体的には、新たな市場への参入を目指すために販売戦略を工夫したり、新たな顧客層を獲得するために商品の改良や開発を行ったりすることが支援の対象となります。

また、販路開拓と同時に業務効率化や生産性向上にも取り組むことが奨励されています。

補助金は、補助事業に必要となる経費を一部補助する形で支給されます。
【専門家が徹底解説】小規模事業者持続化補助金2023・令和5年度版
公式サイト

まとめ

副業者にとってもインボイス制度が重要な影響を及ぼすことがあります。
売上先や提供するサービスの種類、収入の規模などによって、インボイスの対応が必要かどうかが変わることが分かりました。
副業者は自身の状況をよく理解し、適切な対応をすることが大切です。

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