【育休中の給付金】正社員に満額支給!フリーランス・個人事業主は?

先月政府が発表した「異次元の少子化対策」のたたき台で、育休の給付金の引き上げが示されました。 将来的に、育休を取得した女性や「産後パパ育休」を取得した男性に支給される給付金が、休業前と同額程度になります。 では、パートタイマーや自営業・フリーランスなどの「正社員以外」への対応はどうなるのでしょうか?
梅沢 博香

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【育休中の給付金】「産後パパ育休」取得で給料と同程度の給付金がもらえる!?

政府は、昨年開始された新たな育休制度「産後パパ育休(出生時育児休業)」の給付金の水準の引き上げを行う予定です。

実質手取り

現在……休業前の8割程度
引き上げ後……休業前と同額の10割
 
※休業期間中は社会保険料の支払いが免除されます。
こども家庭庁の公式サイト
【産後パパ育休】育休期間中の給付金が“実質100%”に!引上げはいつから?
「産後パパ育休」給料の満額に引上げ?対象者は?

【育休中の給付金】女性も満額もらえるようになるの?

育休をとった女性も休業前の「手取り10割」が確保されるよう、給付率が引き上げられます。

実質手取り

現在……休業前の実質8割程度。(6か月以降は減額)
引き上げ後……休業前と同額の10割
※休業期間中は社会保険料の支払いが免除されます。

【育休中の給付金】非正規労働者・自営業・フリーランスの場合は?

雇用保険に加入している人は育休中に給付金がもらえるなどの経済的支援が受けられますが、雇用保険に加入していない非正規雇用労働者や自営業、フリーランスは支援の対象ではありません。

雇用保険の加入条件

  • (1)入社から最低31日間以上働く見込みがある
  • (2)1週間あたり20時間以上働いている
  • (3)学生以外(休学中の人は加入できるなどの例外があります)

なお、雇用保険に加入していても、休業前に一定以上の日数・期間就労していることが必要です。
たとえば、入社した翌月に育休をとっても育児休業給付金はもらえません。

非正規労働者の場合

労働時間が週20時間未満の非正規労働者は、雇用保険に加入できません。
育休に関する国の対応は次の通りです。
現状……雇用保険の適用外なので、育休がとれず給付金がもらえない
今後……給付の前提となる雇用保険適用拡大の検討
今後、20時間未満もパートタイマーでも雇用保険への加入が可能となるかもしれません。
もしそうなれば、育休を取得して給付金がもらえるようになります。
パートタイマーでも正社員と同じような待遇が受けられるようになれば、長く安定して仕事ができますね。

自営業・フリーランスの場合

現状……雇用保険の適用外なので、育休がとれず給付金がもらえない。産前産後に国民年金保険料の納付を免除。
今後……国民年金保険料免除の新たな仕組みを検討。(国民年金保険料免除を産前産後だけでなく、育児中にも拡大することを検討)給付はなし。
個人事業主・フリーランスは雇用保険に入れないので育休は取れません。
現状では産前産後に国民年金保険料の納付を免除する制度があるだけです。
国民年金保険料免除を産前産後だけでなく、育児中にも拡大することを検討しているが、今のところ給付金支給の案は出されていません

【育休中の給付金】改善されるのは「正社員」への処遇

今回の「異次元の少子化対策」のたたき台で示された育休中の給付金の方針ですが、男女ともに育休前と同額程度の給付金が支給されるようになるのは、正社員のみです。
育児休業が収入減に直結する自営業者やフリーランスへの支援策が不十分と言えます。
とはいえ、雇用保険の適用拡大を検討するなどの改善策も検討されているので、さらなる改善が期待されます。

【育休中の給付金】育休を取る人の職場の社員も働きやすくなる!

また、今回のたたき台の15ページには、以下のような文言があります。

男女ともに、職場への気兼ねなく育休を取得できるようにするため、現行の育児休業期間中の社会保険料の免除措置及び育休給付の非課税措置に加えて、周囲の社員への応援手当など育休を支える体制整備を行う中小企業に対する助成措置を大幅に強化する。

つまり、今後「両立支援助成金」が強化される予定です。
育休をとる本人だけでなく周囲の社員にとっても、働きやすい環境づくり整えられることになります!
「こども・子育て政策の強化について(試案) ~次元の異なる少子化対策の実現に向けて~」(たたき台)