【インボイス制度】フリーランスはどんな影響を受けるの?インボイス登録の方法は?
フリーランス協会が2022年3月に発行した「フリーランス白書2022」のインボイスへの対応検討状況の調査結果では、43.2%の人が「わからない/答えたくない」と回答。
「インボイス制度」に対するフリーランスの理解度は低いようです。
10月の制度開始前までに、「インボイス制度」の影響や、対応について整理しておきましょう!
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「インボイス制度」開始でフリーランスが受ける影響とは?
(1)報酬額が下がる恐れがある
フリーランスの報酬は、仕事に対する対価と消費税の2つの合計額が支払われます。
発注者は報酬額から消費税などの金額を差し引いた報酬で発注することで、税額控除の損失を避けることができます。
そのため、消費税分の報酬値下げがおこなわれる可能性があります。
発注者から報酬の値下げ要求をすることは法律に違反しますが、受注するフリーランス側から値下げを申し出ることは法律上可能です。
そのため、「インボイス制度」開始後は、本来の消費税分の金額を差し引いた単価でも受注できるフリーランスを中心に取引される可能性があります。
このような状態になれば、フリーランスの単価相場が下がるかもしれません。
(2)クラウドソーシングのシステムが変わる
「インボイス制度」の導入によって、クラウドソーシングのシステムが変わる可能性が高いです。
詳細は後ほど解説します。
(3)課税事業者(インボイス発行事業者)のフリーランスに仕事の依頼が集中しやすくなる
「インボイス制度」開始後、課税事業者(インボイス発行事業者)のフリーランスの方が、免税事業者のフリーランスよりも仕事が依頼される可能性が高くなります。
インボイス(適格請求書)を受け取れないと、発注者が納める消費税を合理的な額に減らす措置が受けられないからです。
そのため、インボイスを発行できる課税事業者(インボイス発行事業者)の方が選ばれる可能性が高くなるのです。
フリーランスにおける免税事業者と課税事業者の考え方については次の章で説明します。
以下のコラムで「インボイス制度」について簡単に説明しています。
あわせてご覧ください!
フリーランスは免税事業者?課税事業者?
「フリーランス=免税事業者」と思う方も多いですが、実はそうではありません。
課税売上の金額によって、納税が免除される場合とされない場合があります。
前者が免税事業者、後者が課税事業者です。
自分が免税事業者であるか、または課税事業者であるかによって「インボイス制度」によって受ける影響が違うので、この点をはっきりとさせておきましょう!
免税事業者
消費税には課税期間の売上が1,000万円以下の事業者は、納税が免除される規定があります。
「免税事業者」を判定する基準は、前々年の課税売上です。
前々年の課税売上が1,000万円以下であれば「免税事業者」です。
新規開業した場合、2年間は自動的に免税事業者になります。
また、免税事業者である限り消費税が課税されませんが、特定期間中に1,000万円を超える課税売上が発生した場合は、その期間から課税事業者になり納税義務が発生します。
個人事業者であるフリーランスの特定期間は、前年の1月1日~6月30日までの半年間です。
この半年間に1,000万円超の売上があると、その年から課税事業者となり翌年には消費税の納税が必要になります。
課税事業者
前々年の課税売上が1,000万円を超えると納税義務のある「課税事業者」になります。
【インボイス制度】フリーランスは課税事業者(インボイス登録事業者)になった方がいいの?
「インボイス制度」開始後、免税事業者であるフリーランスは、このまま免税事業者のままでいるのか、課税事業者になってインボイス登録事業者になった方がよいのでしょうか?
また、課税事業者のフリーランスもインボイス登録事業者になるべきか迷うところです。
今の取引先の様子や将来のビジョンなどによって選択が異なるので、一概に「こうした方が得!」とは言い切れません。
たとえば、以下のような基準で考えることができます。
インボイス登録事業者に転身を検討してもよいフリーランス
- 将来的に法人化する予定でいる
- 色々な業者と取引をしている
【例】
免税事業者のフリーランス。会社員のかたわら副業としてハンドメイドのアクセサリーを個人に販売している。
➡免税事業者のフリーランスのままでも問題ないと思われます。
免税事業者のままでいてもよいフリーランス
- 副業でフリーランスをしている
- 競合事業者がいない
- ほとんど専属で、色々な業者と取引をしていない
- BtoCの取引しかしていない
- 出典:フリーランス協会
フリーランスがインボイス登録する方法は?
インボイス発行事業者になるためには、インボイス登録が必要です。
インボイス登録の手順は、以下のとおりです。
【インボイス制度】クラウドソーシング経由で仕事をしているフリーランスにはどうなるの?
直接契約ではなく顧客とクラウドソーシングを通じて仕事をしているフリーランスも多いです。
このような場合、発注主が取引先にどういった条件を求めるかによります。
「インボイス制度」開始後、発注主がすぐに「取引先をインボイス発行事業者に限る」とは考えにくいです。
また、クラウドソーシングを行うプラットフォームのシステムが変わることが予想され、それにともない報酬の相場も大きく変わるかもしれません。
大手プラットフォームの「クラウドワークス」「ランサーズ」では、「インボイス制度」について次のような対応を発表しています。
クラウドワークス
crowdworks.jp におけるインボイス制度に伴う対応につきましては、現在検討を進めております。
最新情報につきましては、マイページ、およびお知らせブログにて発表いたしますので、お待ちいただけますと幸いです。
ランサーズ
「ランサーズでは2023年10月1日のインボイス制度施行に向けて、ランサー・クライアントの皆さまがインボイス制度に伴い、複雑化が想定されている受発注及び請求業務のサポートができるよう各種対応を行います。
今回、ランサーズのインボイス制度対応の第一弾として以下の機能を実装いたしました。
【登録番号の登録機能】
インボイス制度施行に先立ちまして2022年12月よりマイページから登録番号を登録できる機能を提供しています。
「登録番号の登録機能」では、ランサーに登録番号の入力欄を設けるとともに、国税庁の適格請求書発行事業者公表システムと連携し、入力された登録番号の正誤チェックを自動化し、正しい「登録番号」の管理をサポートいたします。
登録番号を登録頂くと、ランサーズで発行される請求書等に自動で反映されるようになり、ランサー側、クライアント側それぞれの入力、確認作業を大きく軽減いたします。」
課税事業者(インボイス発行事業者)になったフリーランスはまた免税事業者に戻れるの?
「インボイス登録のために課税事業者(インボイス発行事業者)になったけれど、やっぱり免税事業者に戻りたい!」ということも考えられますよね。
課税事業者(適格請求書発行事業者)から免税事業者に戻ることは可能です。
「適格請求書発行事業者の登録の取消を求める旨の届出書(登録取消届出書)」を提出することにより適格請求書発行事業者の登録の効力を失わせて免税事業者に戻る手続きが必要になります。
【原則】
登録取消届出書の提出があった日の属する課税期間の翌課税期間から効力が失われる。
ただし、その年の12月2日以降に登録取消届出書を提出した場合は、その年の翌々年の1月1日より登録の効力が失われる。
【例】
令和6年11月1日提出→令和7年1月1日より登録の効力が失われる
令和6年12月3日提出→令和8年1月1日より登録の効力が失われる
翌年から登録事業者をやめたいときは、必ずその年の12月1日までに「登録取消届出書」を提出しましょう!
免税事業者に戻れない期間があるので要注意!
インボイス登録日が令和6年以降の場合、免税事業者に戻れない期間が決められているので要注意です!
以下、免税事業者に戻れない課税期間です。
・登録日の属する課税期間(令和5年を除く)の翌課税期間~登録日以後2年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間
【例】
令和5年10月1日を含まない課税期間の令和6年1月1日に登録しました。
すぐに登録取消の届けを提出し、翌課税期間の令和7年1月1日からインボイス登録が取消されます。
登録の取消はされても、免税事業者に戻れるのは登録日以後2年を経過する令和8年1月1日からです。
令和7年中はインボイスの発行をしなくても、課税事業者ということになります。
このように、課税事業者(インボイス発行事業者)なった後、また免税事業者に戻ることは可能ですが、すぐに戻れるわけではない点に注意しましょう。
免税事業者のフリーランスがインボイス発行事業者になった場合に使える制度は?
納税を免除されてきた売上高1000万円以下の事業者が、インボイス発行事業者になる場合、納税額を売上時に受け取る消費税の2割に抑える特例を設ける負担軽減措置などが2023年10月に導入されます。
この措置については以下のコラムで詳しく紹介しています。
まとめ
「インボイス制度」はフリーランスにも影響を与える制度であることをお伝えしました。
制度開始後、免税事業者のフリーランスは将来的なビジョンなどを基準にして、そのまま免税事業者でいるまたは、課税事業者(インボイス発行事業者)になるか選択します。
一度課税事業者(インボイス発行事業者)になってまた免税事業者へ戻ることも可能ですが、タイムラグが発生するので、その点も十分注意しましょう。
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