「副業300万円以下は雑所得」は撤回!
当初の改定案では「副業所得が300万円以下は雑所得、300万円を超える場合は事業所得」というものでした。
この「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)について国税庁は、令和4年8月1日から8月 31 日までホームページ等を通じて意見公募を行ったところ、7,059 通もの意見は届いたとのこと。
そこで、反対意見を受け、あらたに見直しをされ出されたのは「副業所得300万円以下であっても、記帳・帳簿の保存を行っている場合は事業所得」というものでした。
意見公募で国税庁に届いた声
意見公募で国税庁に届いた意見の中には「300万円以下は雑所得」に反対する意見が多かったようです。
一部以下のような意見が出ています。
- 今回の通達改正は、副業を推進する政府の方針に逆行するも のではないか。
- 今回の通達改正は、増税ではないか。
- 会社を辞めずに起業した者は、給与所得を得つつ、事業収入 が 300 万円を超えない場合が多いが、こうした者も業務に係 る雑所得に区分されるのか。
- 真面目に記帳等をしている者は、収入金額 300 万円以下の副 業であっても事業所得と取り扱うべきではないか。
- 今回の通達改正により、記帳・帳簿書類の保存を行っていた 者が、記帳・帳簿書類の保存を行わなくなるのではないか。
- 通達では収入金額 300 万円以下の者について雑所得と取り 扱うこととしているが、300 万円という基準の根拠が不明で ある。
- 事業所得と業務に係る雑所得の判定について、収入金額 300 万円は大きすぎる。
参考:「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案) (雑所得の例示等)に対する意見公募の結果について
これらの意見を受けた所得税基本通達の一部改正(案)の修正
上記にあるように、「副業所得300万円以下は雑所得」という改正案に、多くの反対意見が寄せられました。
これを受けて、国税庁は「所得税基本通達の一部改正案」の「雑所得」か「事業所得」かの基準を以下のように修正しました。
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修正前は「所得に関わる収入金額が300万円を超えない場合には、特に反証のない限り、業務に関わる雑所得と取り扱って差し支えない。」というものだったのが、「その所得に関わる取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に関わる収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く)には、雑所得に該当する」に修正されています。
つまり、300万円が判断基準ではなく、「帳簿書類の保存」が判断基準とされる改定案になっています。
この修正により、収入金額が 300 万円以下であっても、帳簿書類の保
存があれば、原則として、事業所得に区分されることとなります。
そもそもなぜ「副業所得300万円以下は雑所得」という改定案が出たのか
多くの反対意見が出た「副業所得300万円以下は雑所得」という改定案。
そもそもこのような案が出た背景は、「事業としての実態がないに等しいものを事業に仕立て上げ、収入を大きく上回る経費を計上し、損失を給与所得と相殺して節税する」などの不正な節税が行われないための対策でした。
そのため、「記帳・帳簿の保存」をしているから必ずしも事業所得になるわけではないようです。
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