ものづくり補助金の事業計画書の書き方
では、さっそくものづくり補助金の事業計画書の書き方について解説しましょう。
書き方POINT1.審査項目・加点項目にそった内容にする
ものづくり補助金には、大きく分けて4つの審査項目があります。
- (1)補助対象事業としての適格性
- (2)技術面
- (3)事業化面
- (4)政策面
審査項目
では、ものづくり補助金の4つの審査項目と加点項目を解説していきましょう。
(1)補助対象事業としての適格性
これは補助対象事業の要件を満たしているか、補助事業終了後3~5年計画で「付加価値額」年率平均3.0%以上の増加等を達成する取組みであるか審査されます。
(2)技術面
次に、「技術面では製品やサービスの開発が革新的であるか」「課題解決の方法が明確で具体的か」を次の4つの項目から審査されます。
- 取組内容の革新性
- 課題や目標の明確さ
- 課題の解決方法の優位性
- 技術的能力
(3)事業化面
次に事業化面では、実際に事業として成り立つものであり、「実現可能な状況である製品・サービスの市場性はあるか」「企業の収益性・生産性は向上するか」など次の4つの点をチェックされます。
- 事業実施体制
- 市場ニーズの有無
- 事業化までのスケジュールの妥当性
- 補助事業としての費用対効果
(4)政策面
4つめの政策面は、政治上の方針に沿った事業計画であるか、新規事業の内容や優良性をチェックされます。
- 地域経済への波及効果
- ニッチトップとなる潜在性
- 事業連係性
- イノベーション性
- 感染リスク低減に資する投資であるか(低感染リスク型ビジネス枠)
加点項目
ものづくり補助金には審査項目とは別に「加点項目」があります。
「加点項目」の内容は、年度によって異なります。
令和3年度のものづくり補助金の加点項目は以下のとおりとなっています。
1.成長性加点
「有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者」
2. 政策加点
・「創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)」
・「パートナーシップ構築宣言を行っている事業者」
3. 災害等加点
「有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した事業者」
4. 賃上げ加点等:
・「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均2%以上増加させ、かつ、事業場 内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者」または「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均3%以上増加 させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者」に対して従業員数の規模に応じた加点を行います。
・「被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合」
加点条件を満たすことで、ものづくり補助金で採択される可能性が高まります。
事業計画書作成の際に、必ず加点項目に当てはまるかどうかの確認をしましょう。
書き方POINT2.事業計画書に記載する項目
経済産業省が運営している「ミラサポplus」でものづくり補助金の事業計画書の記載項目の例を紹介しています。
事業計画によって、多少変更する点もあるとは思いますが、基本はこの記載項目に作成すると、基本の見出しが完成します。
その1:補助事業の具体的取組内容
記載要素
・事業の現状:補助事業の必要性などを念頭に置きながら、事業の状況、いままでの自社での取り組みなどを書きます。
・課題と解決策:具体的な取組内容については、「課題」と「解決策」という書き方が分かりやすいと思います。たとえば、課題の項目別に、課題に対応する解決策(取組内容)を箇条書きで書いていく方法があります。解決策(取組内容)については、明確に具体的に書きます。また、分かりやすくなるように、写真や図表を入れましょう。
・実施体制・スケジュール:設備等の型番、導入時期、実施体制などを具体的に記載します。
・その他:その他、当該年度の公募要領で記載が求められている事項について記載してください。
その2:将来の展望
記載要素
・市場:事業の市場、ユーザーなどについてについて記載します。事業により、市場において競争力・優位性が高まることを示しましょう。
・事業効果:事業効果(見込)について、算出根拠を示しながら、具体的な数字で記載してください
その3:会社全体の事業計画
記載要素
・5カ年の事業計画:5カ年の事業計画の目標を具体的な数字で記載します。
・積算根拠:「付加価値額」や「給与支給総額」などについて、算出根拠を示します。その際、その2の事業効果の算出根拠と整合させてください。
インボイス制度は、正式には「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」といいます。
このインボイス制度は、令和 5年10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式として開始される予定です。
適格請求書(インボイス)を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」に限られます。
この「適格請求書発行事業者」になるためには、事前に登録申請書を提出し、登録を受ける必要があります。
売手側、買手側にはそれぞれ以下のような決まりがあります。
参考:ものづくり補助金の書き方 | 経済産業省 中小企業庁
書き方POINT3.SWOT分析・全体戦略(ドメイン)・プロモーション戦略(4P)
ものづくり補助金に記載するべきである項目である、どういった経緯で既存の事業を行っていて、どんな「強み」があり、どんな新規事業を行うのか。
そこで現れる「事業の課題」「想定されるリスク」はどんなものがあり、どうやって解決するのか。
全てを紐づけて具体的かつ一貫性のある内容にすることが、ポイントとなります。
そのためにまず有効なのがSWOT分析です。
SWOT分析とは、「強み」「弱み」「機会」「脅威」の4つの項目を分析し、自社の現状を明確に把握することが出来ます。
SWOT分析とは
Strength(強み):自社の事業の強みとなっているものは何か?
Weakness(弱み):自社の事業の弱みとなっているものは何か?
Opportunity(機会):自社の強みが生きるときは、どのような場面?
Threat(脅威):弱みが不利となってしまう場面は?
この4つを分析し、強みを活かし、弱みをカバーする補助事業になっているとベストです。
また、SWOT分析を行うことで、ものづくり補助金の事業計画に求められる「課題」と「解決策」についても具体的に記すことができます。
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全体戦略(ドメイン)・プロモーション戦略(4P)
全体戦略(ドメイン)とは、事業を始める際に、事業をどの分野でどの範囲で行っていくかを決める必要があります。
それをドメインといいます。
事業のドメインを決める際に重要となってくるのが「だれに(どんな顧客に)」「なにを(どんな商品やサービスを)」「どうやって(どんな販売方法で)」の3つ。
また、プロモーション戦略(4P)とは、マーケティングの各戦略の4つのPの頭文字をとっています。
「Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)」の4つの戦略を組み合わせて最大の効果を目指していくものです。
事業計画書に、「全体戦略(ドメイン)」「プロモーション戦略(4P)」が含まれていると、より具体的で説得力のある事業計画書となります。
書き方POINT4.数値計画の妥当性
ものづくり補助金の事業計画書に記載する、その新規事業の事業効果(見込)、
5年間の事業計画の目標を記載する際に、「付加価値額」や「給与支給総額」などについて記載する数値には、その数値が妥当であるか、算出根拠を示しながら、具体的な数字で記載する必要があります。
書き方POINT5.誤字・誤植がないかチェック、伝わらない専門用語は避ける。
ものづくり補助金の事業計画書作成で1つ注意が必要なのが、誤字や誤植。
事業計画書に誤字や誤植があることで、伝えたいことがうまく伝わらない内容となってしまう可能性があります。
事業計画書を作成後は、しっかり誤字脱字などがないかチェックをしましょう。
また、業種や職種の間でしか伝わらない専門用語を使っていないか、誰が読んでも伝わる言葉で記載しましょう。
書き方POINT6.数値根拠・統計情報の根拠・出典情報
ものづくり補助金の事業計画書には事業の市場、ユーザーなどについてについて記載し、事業により、市場において競争力・優位性が高まることを示します。
その、市場規模の試算や分析の具体的な根拠と、それは何を参考に分析しているものであるか、出典元がどこであるかまで、明確に記載しておきましょう。