法人の印鑑証明書を取得する4つの方法を解説!

法人の印鑑証明書は、郵送やオンライン、法務局窓口や証明書発行請求機で取得が可能です。 今回は法人の印鑑証明書の取得方法について解説します。
井上 雅也

更新日:

印鑑証明書 法人

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

法人の印鑑証明書はどう取得する?

法人の印鑑証明書は、下記4つの方法で取得できます。

  • 郵送
  • 法務局窓口
  • 証明書発行請求機
  • オンライン(登記ねっと)

郵送

郵送での取得は、法務局に書類を送付して取り寄せる方法です。この手段は、近くに法務局がない場合や外出が難しい場合に有効です。

メリットは、自宅や事務所から移動する必要がない点にあります。

一方、デメリットとしては、郵送の往復に時間がかかるため、緊急で必要な場合には不向きであることが挙げられます。

法務局窓口

法務局窓口での取得は、最も一般的な方法のひとつであり、直接職員に確認しながら手続きが行える点が利点です。

書類不備のリスクをその場で減らせるという安心感があります。

ただし、平日の限られた時間内に窓口へ足を運ばなければならず、忙しいビジネスパーソンには不便に感じられる場合もあります。

証明書発行請求機

証明書発行請求機は、一部の法務局に設置されており、窓口を介さずに自動機で印鑑証明書を取得できる方法です。

この方法のメリットは、混雑時でも比較的スムーズに発行できることにあります。

一方で、設置場所が限られているため、近隣に対応機がない場合は利用が難しい点がデメリットです。

オンライン(登記ねっと)

オンライン(登記ねっと)による取得は、インターネット環境が整っていれば申請可能であり、利便性が高い方法です。

特にデジタル証明書を保有している法人にとっては、手軽に利用できる手段です。

ただし、初回利用時には事前の環境設定や登録手続きが必要なため、IT環境や操作に慣れていない場合には導入に時間がかかることもあります。

このように、法人の印鑑証明書はさまざまな手段で取得できます。それぞれの特徴を踏まえて、自分にピッタリな方法を選びましょう。
参考:登記ねっと

法人印鑑証明書の取得に必要なもの

印鑑証明書 法人
法人印鑑証明書を取得する際には、申請者の立場(法人代表者本人か代理人か)や申請方法によって必要なものが異なります。

法人代表者本人が取得する場合、基本的には法人の印鑑カードが必要です。

印鑑カードとは、法人設立時に法務局へ印鑑届出をした際に交付されるカードであり、これがないと証明書の発行はできません。

オンラインで申請する場合は、加えて代表者個人の電子証明書や、申請用総合ソフトを使用する環境が必要になります。

また、法務局窓口では本人確認書類の提示が求められることもあります。

代理人が取得する場合は、印鑑カードに加えて、法人代表者からの委任状が必要です。

この委任状には、代理人の氏名や取得目的、代表者の署名押印などが記載されている必要があります。

法務局窓口での申請では、代理人自身の本人確認書類も合わせて提示する必要があります。オンラインでの代理申請は通常認められていません。

また、申請方法によっても準備すべきものは変わります。

たとえば郵送での申請では、印鑑カードと申請書のほかに、返信用封筒(切手を貼付し、宛先を記載したもの)が必要です。

この封筒がない場合は、証明書が返送されないため注意が必要です。

証明書発行請求機を使う場合は、印鑑カードのみで取得可能ですが、利用時間に制限があるため、スムーズな利用のために事前に手順を確認しておくと安心です。

法人印鑑証明書の申請・取得方法

ここでは法人印鑑証明書の取得方法を解説します。

  • 郵送
  • 法務局窓口
  • オンライン(登記ねっと)
  • 証明書発行請求機(一部設置)

郵送

法人印鑑証明書を郵送で取得するには、必要書類を整えたうえで管轄の法務局宛に送付する手続きが必要です。
申請手順

  1. 法人の印鑑カードを準備し、登記印鑑証明書交付申請書を記入
  2. 必要な手数料分の収入印紙を用意する(1通あたり450円)
  3. 収入印紙を申請書に添付(このとき返信用封筒も同封する)
  4. 郵送後、印鑑証明書が返送される

まず、法人の印鑑カードを準備します。次に、登記印鑑証明書交付申請書を記入します。

この申請書には、法人の商号・本店所在地・登記番号・印鑑カード番号・必要枚数などを記載します。

法務局のウェブサイトから用紙をダウンロードできるほか、市販の定型用紙を使用することも可能です。

さらに、必要な手数料分の収入印紙を用意し、申請書に貼付します。

法人印鑑証明書の交付手数料は1通あたり450円です。現金を同封することは認められていないため、必ず収入印紙を利用する必要があります。

また、返信用封筒(切手貼付済・返送先住所明記)も忘れずに同封します。これにより、法務局から証明書が返送される仕組みとなります。
参考:郵送による登記事項証明書,印鑑証明書等の送付の請求について

法務局窓口

法人印鑑証明書を法務局の窓口で取得する場合は、事前に必要書類を準備した上で、平日の開庁時間内に直接出向く必要があります。
申請方法

  1. 法人の印鑑カードを本人確認書類を持参し、法務局へ向かう
  2. 印鑑証明書交付申請書に必要事項を記入
  3. 申請書と印鑑カードを窓口に提出し、収入印紙で手数料を支払う(1通あたり450円)
  4. 問題なければ証明書が交付される

まず、申請には法人の印鑑カードが必須です。

このカードは、法人が登記した際に法務局から交付されるもので、印鑑証明書の発行には必ず提示する必要があります。

印鑑カードを所持していない場合は、窓口での即時発行はできません。

また、代表者本人が申請する場合は、本人確認書類。代理人が申請する場合は委任状と代理人の本人確認書類も忘れないようにしましょう。

窓口での手続きでは、専用の印鑑証明書交付申請書に必要事項を記入します。

申請書には法人名、法人番号、印鑑カードの番号、申請部数などを記載する欄があります。

不明点があれば窓口職員に確認しながら記入できるため、初めての申請でも安心です。

次に、申請書と印鑑カードを窓口に提出し、申請内容に問題がなければ数分で証明書が交付されます。

通常はその場で即日発行されますが、混雑状況や書類の不備がある場合には待ち時間が発生する可能性があります。

取得にかかる手数料は、1通につき450円です。

この手数料は収入印紙で支払う形となり、法務局内に設置されている印紙販売所などで購入できます。

現金では支払えないため、印紙の購入手段もあらかじめ確認しておくと手続きがスムーズです。
参考:法務局

オンライン(登記ねっと)

法人印鑑証明書は、法務省が運営する登記ねっとを利用することで、インターネットから申請できます。
申請方法

  1. インターネットで登記ねっとのページを開き、会員登録、またはログインをする
  2. 印鑑証明書の交付申請をする
  3. 受け取り方法の指定をする(受け取り方法の指定後は、原則変更不可)
  4. 指定した方法で証明書を受け取る

まず、オンライン申請を行うためには「登記ねっと」に利用者登録をする必要があります。

登録には、電子証明書が必要であり、これは法人代表者の本人確認に用いられます。

また、パソコンには申請用総合ソフトをインストールし、推奨されているブラウザの設定を行っておく必要があります。

利用者登録が完了したら、システムにログインし、印鑑証明書の交付申請を行います。

申請画面では、法人情報や印鑑カードの番号、交付通数、受取方法などを入力します。

入力内容に誤りがないことを確認し、電子証明書を用いて電子署名を行ったうえで申請を完了させます。

オンライン申請にかかる手数料は、1通につき410円です。

オンライン申請は、窓口申請よりも40円安く設定されており、コスト面でも利点があります。

手数料の支払いは、事前に法務局に登録された預金口座からの自動引き落とし(予納)によって行われます。

申請後の受取方法は2種類あります。ひとつは、指定した法務局の窓口で受け取る方法であり、申請完了後に受取可能日が通知されます。

もうひとつは、郵送による受け取りです。この場合、申請時に送付先を入力し、後日、証明書が郵送されます。

郵送受取の場合には、返信用封筒の提出や切手の準備は不要です。

このように、登記ねっとを活用することで、時間や場所にとらわれずに法人印鑑証明書の申請が可能になります。

操作に慣れるまでは準備に時間がかかることもありますが、継続的な利用を考える法人にとっては、効率的な手段といえます。
参考:法務局

証明書発行請求機(一部設置)

証明書発行請求機は、一部の法務局に設置されている専用端末で、法人の印鑑証明書を自動的に発行できる機械です。
申請方法

  1. 法人の印鑑カードを持参し、証明書発行請求機のある場所まで向かう
  2. 整理券を発行し、証明書窓口にて申請書をもらう
  3. 必要事項を記入し、収入印紙を添付して証明書窓口へ提出する
  4. 申請書の提出後、印鑑証明書が受け取れる

利用にあたっては、まず法人の印鑑カードを持参します。

証明書発行請求機では、この印鑑カードを読み取り口に挿入することで、申請手続きが開始されます。

カードが読み取られた後、整理券を受け取り、証明書交付窓口にて申請書をもらいます。

その後、受け取った申請用紙に必要事項を記入し、収入印紙(1通あたり450円)を添付します。

最後に証明書交付窓口に申請書を提出すれば、印鑑証明書を受け取ることができます。

発行までの所要時間はおおよそ数分程度で、待ち時間が少ない点がメリットです。
参考:法務局(証明書発行請求機について)

法人の印鑑証明書が必要な場面

印鑑証明書 法人
法人の印鑑証明書は、企業活動における信頼性の裏付けとして、さまざまな場面で必要とされます。

この証明書は、法人が法務局に登録した実印が正式なものであることを証明する書類であり、重要な契約や行政手続きにおいて欠かせません。

まず、最も代表的な場面は、金融機関との取引です。

たとえば、法人名義での口座開設や、融資契約、当座取引の申込などの際には、法人の実印とその印鑑証明書の提出が求められます。

これにより、法人の代表者が正当な意思決定者であることを確認できます。

次に、不動産取引でも印鑑証明書は必須です。

法人が不動産を売買、賃貸借、担保設定などを行う場合には、契約書類に実印を押す必要があり、その正当性を証明するために印鑑証明書の提出が求められます。

これは登記申請においても同様で、登記の正確性を担保する役割を果たします。

法人間契約も、印鑑証明書の提出が必要なケースです。

たとえば、高額な業務委託契約や共同事業契約など、契約の内容が重大な法的責任を伴う場合には、契約相手の信頼を得るために法人印鑑証明書を添付することが一般的です。

これは、契約の相手方が代表者本人であることを証明するための措置です。

また、官公庁への提出書類にも必要となることがあります。

例としては、入札参加資格の申請や助成金の申請、法人設立後の各種変更届などが挙げられます。

公的機関では、提出書類の信頼性を確認する手段として印鑑証明書を求めることが多くあります。

このように、法人印鑑証明書は、法人が社会的な信用を得て円滑に事業を進めるうえで不可欠な書類です。

法人印鑑証明書の取得に関するよくある質問

Q.法人印鑑証明書の取得にかかる日数は?

A.各申請方法別の、取得にかかる日数は下記のとおりです。

  • 郵送:3~5営業日程度
  • オンライン申請:1~3営業日
  • 窓口・証明書発行請求機:即日発行

ただし、法務局の営業日は平日のみとなっています。

土日祝・年末年始は休みなので、余裕を持って申請してください。

Q.印鑑カードを紛失してしまった場合は?

A.印鑑カードを紛失した場合は、再度発行手続きが必要となります。

再発行の際は、実印や本人確認書類などを準備する必要があるのでご注意ください。

Q.印鑑証明書を取得する際の受付時間は?

A.印鑑証明書を取得する際の受付時間は、申請方法によって異なります。

  • 法務局窓口:9:00~17:00
  • 登記ねっと:8:30~21:00
  • 証明書発行請求機:8:30~17:15

いずれも土日祝日、年末年始は受付不可となります。

まとめ

今回は法人の印鑑証明書の取得方法について解説しました。

申請方法ごとに必要なものや受付時間、手数料や取得にかかる日数などが異なるので、ご自身の状況に合わせて取得方法を選びましょう。

今回のコラムを参考に申請方法を選択し、申請ミスが起きないようしっかりと準備することからはじめてみてください。

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