現在事項全部証明書の取り方は?3つの取得方法を解説
現在事項全部証明書の取り方は、法務局を通じて、直接・オンライン・郵送といったそれぞれの取り方があります。
今回は、現在事項全部証明書の取り方について詳しく解説します。
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この記事を監修した専門家
補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
現在事項全部証明書の取り方とは?
現在事項全部証明書の取り方とは、法務局を通じて窓口、郵送、オンラインのいずれかでおこないます。
下記に3つの取り方を詳しく解説します。
- 郵送での取り方
- 法務局での取り方
- オンラインでの取り方
郵送での取り方
郵送で現在事項全部証明書を取得する場合、必要な書類を揃えた上で法務局に郵送する方法を取ります。
この方法は、近くに法務局がない場合や直接出向く時間が取れない方にとって便利です。
郵送手続きには、まず登記申請書を用意します。
この書類は法務局の公式サイトからダウンロードできるほか、法務局で直接入手することも可能です。
申請書には、請求する法人の情報や取得したい証明書の枚数を記載します。
また、郵便切手を貼った返信用封筒と、必要な手数料分の収入印紙を同封する必要があります。
証明書1通につき定められた収入印紙を購入し、台紙に貼り付けて同封します。
また、返信用封筒には郵便番号、住所、氏名を記載し、返送に必要な切手を貼付してください。
これらの書類一式を法務局の所在地へ送付することで、証明書が返送されてきます。
郵送での取得は時間がかかる場合があるので、余裕を持ったスケジュールで準備しましょう。
参考:会社・法人の登記事項証明書の郵送請求PDF
法務局での取り方
法務局で直接、現在事項全部証明書を取得する場合は、最寄りの法務局に出向いて手続きを行います。
まず、法務局の窓口で申請書を入手するか、事前に公式サイトからダウンロードして記入しておきます。
申請書には、法人番号や法人名、必要な証明書の種類や枚数を記入します。
その後、窓口で申請書を提出し、必要な手数料分の収入印紙を購入して申請書に貼付します。
ちなみに、混雑している場合や繁忙期には待ち時間が発生する可能性がありますので、時間に余裕を持って訪れると良いでしょう。
また、法務局の営業時間は平日の午前8時30分から午後5時15分までです。
上記の時間外では手続きができない点に注意してください。
オンラインでの取り方
オンラインで現在事項全部証明書を取得する方法は、最も便利で効率的な手段と言えます。
この方法では、インターネットを通じて手続きを完了させることができ、法務局に出向く必要がありません。
法務省が提供する登記ねっとを利用して手続きします。
まず、利用者登録を行い、システムにログインします。
その後、必要な情報を入力し、電子署名や認証を行った上で申請を進めます。手数料は電子決済で支払うことが可能です。
オンライン申請では、発行された証明書を郵送で受け取るか、電子データとして取得するかを選択できます。
ただし、電子データを利用する場合は、対応するシステムや電子証明書の知識が必要になることもあります。
初めて利用する場合はシステムの設定や操作に時間がかかることがありますので、事前に公式サイトで操作方法を確認しておきましょう。
さらに、オンライン申請の受付時間は平日の午前8時30分から午後9時までとなっています。
受付時間外だと申請ができない点も注意が必要です。
参考:登記ねっと(登記事項証明書の交付請求)
現在事項全部証明書の取得にかかる費用
現在事項全部証明書の基本的な発行手数料は、収入印紙を購入する形で支払います。
法務局での直接申請の場合は、1通あたり600円です。申請時に収入印紙を窓口で購入し、申請書に貼付します。
オンライン申請の場合は、証明書の受け取り方法によって金額が異なるのです。
オンライン申請後、法務局に直接取りに行く場合は480円、郵送で受け取る場合は500円と、金額に差があるのでよく確認しておきましょう。
郵送での申請では、1通あたり600円に加えて、返信用封筒や切手の費用がかかります。
また、返信用封筒には必要な郵便料金に見合う切手を正確に貼付する必要があります。
証明書が複数枚にわたる場合、重量が増えるため追加の切手代が必要です。
また、オンライン申請を行う場合は、電子証明書の取得費用やインターネット環境の整備にかかる費用の発生にも注意しましょう。
特に、初めてオンライン申請を利用する方は、システム設定や必要なソフトウェアに関する初期投資も考慮する必要があります。
このように、取得にかかる費用は取得方法や状況によって変動します。
そのため、自分の都合や予算に応じて適切な方法を選択することが大切です。
費用を抑えたい場合は、法務局での直接申請が適している場合もあります。
現在事項全部証明書の取得にかかる日数
現在事項全部証明書の取得にかかる日数は、申請方法によって異なります。
緊急性や自身のスケジュールに応じて、最適な方法を選ぶことが重要です。
法務局で直接申請する場合、ほとんどの場合で当日中に証明書を受け取ることができます。
この方法は即日発行が可能なため、急ぎで必要な場合に最適です。
ただし、窓口の混雑状況や受付時間によっては、待ち時間が発生することもあるため、法務局の営業時間内に余裕を持って取得をしましょう。
郵送による取得では、申請書類を法務局に送付し、発行された証明書が手元に届くまでに通常数日から1週間程度かかります。
この期間には、郵便の配送時間が含まれるため、地域や郵便事情によって日数が前後する場合があります。
また、書類不備があると手続きが遅れる可能性があるため、送付前に内容を十分確認することが大切です。
オンライン申請の場合は、申請後の手続きが迅速に進みます。
証明書を電子データで取得する場合は、申請が受理され次第、早ければ即日でダウンロード可能です。
ただし、郵送で証明書を受け取る場合は、郵送の時間が必要となるため、数日かかることもあります。
また、初めてオンライン申請を利用する場合は、利用者登録やシステム設定に時間がかかるでしょう。
このように、取得方法により日数に差があるため、スケジュールに合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。
特に、急ぎで証明書が必要な場合は、法務局での直接申請や電子データによるオンライン申請を検討してください。
現在事項全部証明書とは?
現在事項全部証明書は、法人の登記事項をすべて記載した公的な証明書です。
この証明書は、法人の基本情報や最新の状況を証明するためのもので、法務局が発行します。
会社設立後の登記事項変更や取引先への提出を求められる場面で使用されることが多い重要な書類です。
この証明書には、会社名、所在地、代表者名、資本金、設立年月日など、法人の登記事項に関するすべての情報が網羅されています。
これにより、法人の信用性や正当性を証明するための根拠資料として活用されます。
たとえば、新規取引の際には、取引相手に法人情報を開示する目的で提出することが一般的です。
また、現在事項全部証明書は、登記事項証明書の一種であり、法人に関する情報を確認するための最も完全な形の書類です。
証明書は紙媒体として取得するほか、電子データとしても取得可能で、用途に応じて適切な形式を選べます。
この証明書を取得することは、法人の信用力を高めるための手段の一つであり、取引や法的手続きにおいて不可欠な役割を果たします。
そのため、法人を運営する上では、この証明書の取得方法や使用用途を正確に把握しておくことが重要です。
履歴事項全部証明書との違いをまとめたコラムも参考にしてください。
現在事項全部証明書とは?履歴事項全部証明書との違いと取得方法を解説!
現在事項全部証明書の記載内容
現在事項全部証明書には、法人の基本情報から最新の状況まで、法人に関するすべての登記事項が記載されています。
この証明書は、法人の実態を明確にするための重要な書類であり、以下のような内容が記載されています。
まず、法人の基本情報として、会社名や本店所在地、法人番号が記載されています。
これらは法人を特定するための基本的な情報であり、取引や手続きにおいて欠かせない要素です。
また、設立年月日や法人の目的、事業内容も記載されており、法人の活動内容が一目でわかるようになっています。
次に、代表者に関する情報も含まれています。
代表取締役や代表社員の氏名や住所が明記され、法人を代表する人物の詳細が確認できます。
これにより、法人の責任者が誰であるかを明確に把握することができます。
さらに、法人の資本構成や株式に関する情報も記載されています。
資本金の額や発行可能株式総数、発行済株式総数などが明示され、法人の財務的な規模や株式の状況がわかるようになっています。
また、株主や出資者の情報が含まれる場合もあります。
その他、役員や監査役の氏名および住所、事業年度、定款に定められた事項など、法人の運営に関する詳細な情報が記載されています。
これらの情報は、法人の内部構造や運営体制を把握する上で重要です。
現在事項全部証明書は、このような詳細な情報を網羅しており、取引先への提示や法的手続きでの使用など、信頼性の証明に役立ちます。
そのため、必要な場面に応じて最新の情報を反映した証明書を取得することが求められます。
現在事項全部証明書が必要な場面
現在事項全部証明書は、法人の信用性や法的正当性を証明するために、多くの場面で必要とされます。
まず、銀行口座の開設時には、現在事項全部証明書の提出が求められます。
銀行は法人の実態や信用性を確認するために、法人の基本情報や運営体制が記載されたこの証明書を必要とします。
同様に、融資を受ける際にも法人の財務状況や代表者の確認のために提出を求められる場合があります。
また、不動産取引の場面でも必要です。
たとえば、法人名義で不動産を購入・売却する場合や、賃貸借契約を結ぶ際に、法人の実在性や代表者の権限を証明するために使用されます。
こうした場合、相手方にとって重要な意思決定の材料となるため、最新の情報が反映された証明書が求められます。
さらに、法人が新規の取引先と契約を結ぶ際にも、提出を求められることが多いです。
特に、取引規模が大きい場合や長期にわたる契約の場合、取引先は相手方の信用力を確認するために現在事項全部証明書を活用します。
この証明書によって、法人の事業内容や運営状況を正確に把握できるため、信頼関係の構築に役立ちます。
その他、法的な手続きや許認可申請の場面でも必要となることがあります。
たとえば、商業登記の変更手続きや行政機関への申請書類に添付することが求められる場合があります。
こうした公的な場面では、法人の最新情報を証明する役割を果たします。
このように、現在事項全部証明書は法人の活動において重要な場面で幅広く活用されます。
必要な場面では事前に準備を行い、正確で最新の証明書を取得することが大切です。
現在事項全部証明書の現在事項一部証明書との違い
現在事項全部証明書と現在事項一部証明書は、どちらも法人の登記事項を証明するための公的な書類ですが、その記載内容や用途に明確な違いがあります。
現在事項全部証明書は、法人に関する全ての現在事項を網羅的に記載した証明書です。
法人の状況を包括的に確認する必要がある場面で利用されることが多く、新規取引の開始や法的手続きでの提出書類として使用されることが一般的です。
一方、現在事項一部証明書は、法人の登記事項のうち、特定の項目に絞って記載された証明書です。
たとえば、法人の代表者に関する情報だけが記載された証明書や、本店所在地のみを証明する証明書を発行できます。
この証明書は、特定の情報だけを必要とする場面で用いられ、特定の手続きや契約に全ての法人情報を開示する必要がない場合に適しているのです。
よって現在事項全部証明書は法人の全体像を把握したい場合に、現在事項一部証明書は特定の情報だけを確認したい場合にそれぞれ適していると言えます。
たとえば、銀行融資の際には法人の全体的な信用状況を確認するために全部証明書が必要ですが、特定の契約では一部証明書で十分な場合があります。
適切な証明書を選ぶことで、手続きを円滑に進めることができるでしょう。
現在事項全部証明書の相談場所
現在事項全部証明書に関する相談をする際は、適切な機関や専門家に問い合わせることが大切です。
この証明書に関する疑問や手続き方法、書類の不備などの問題については、以下の相談場所でサポートを受けることができます。
まず、最も基本的な相談窓口は法務局です。
法務局は現在事項全部証明書の発行を行う機関であり、手続きに関する詳細な説明を受けられます。
最寄りの法務局の窓口に直接出向くか、電話で問い合わせることで、必要な書類や手続きの流れを教えてもらうことができます。
また、法務局の公式ウェブサイトには、申請書の書き方や手続きに必要な情報が記載されていますので、事前に確認することでスムーズな準備が可能です。
次に、行政書士や司法書士といった専門家も相談先として適しています。
これらの専門家は、法人登記や証明書取得に関する手続きの代行やアドバイスを行っており、複雑な案件や初めての申請で不安がある場合に心強い味方となります。
また、行政書士や司法書士に依頼することで、手続きの効率化や正確性を高めることができます。
ただし、依頼には手数料が発生するため、事前に料金やサービス内容を確認しておくことが重要です。
最後に、法務省の登記・供託オンライン申請システムを利用してオンライン申請を行う場合は、システムのサポートデスクが用意されています。
操作方法や技術的な問題についての質問がある場合は、専用の問い合わせ窓口を活用することで解決策を得られます。
これらの相談場所をうまく活用することで、現在事項全部証明書の取得に関する不安を解消し、手続きをスムーズに進めることができます。
参考:商業・法人登記の申請書様式
現在事項全部証明書の取り方に関するよくある質問
現在事項全部証明書の取り方に関するよくある質問を3つ取り上げました。
Q.現在事項全部証明書は誰でも取得できますか?
A.現在事項全部証明書は誰でも取得できます。
法人に関する登記事項は公開情報とされており、特定の法人について証明書を取得したい場合は、法務局で申請手続きを行えば取得可能です。
ただし、法人名や法人番号など正確な情報を把握している必要があります。
Q.必要な書類を忘れてしまった場合、申請は可能ですか?
A.申請に必要な書類が揃っていない場合、申請手続きが受理されないことがあります。
郵送や窓口申請では、申請書、収入印紙、返信用封筒(郵送の場合)などの書類が必須です。
オンライン申請の場合も、電子署名や必要な情報の入力が求められます。事前に公式サイトや法務局で必要書類を確認することをおすすめします。
Q.証明書を複数枚取得することは可能ですか?
A.同じ法人に関する証明書を複数枚取得することは可能です。
申請時に必要な枚数を指定することで、希望する枚数分の証明書を発行してもらえます。ただし、その分の手数料が必要になります。
【まとめ】現在事項全部証明書の取り方をしっかり確認しよう!
今回は、現在事項全部証明書の取り方について解説しました。
現在事項全部証明書は会社の証明書としての役割が大きく、自社の信用を確認したい場合に求められるケースが多いです。
重要な役割を担っていますが、法務局の窓口やオンライン、郵送で書類が取得できるので、ご自身の好きな取り方を選びましょう。
今回の記事を参考に、現在事項全部証明書の取り方をしっかり確認して、重要な契約や取引をスムーズにおこなってください。