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医療法人は省力化補助金を利用できる?活用条件や対象設備を解説

医療法人は省力化補助金を利用できるのでしょうか。介護事業・歯科医業で申請できる条件や補助額、対象設備、具体的な活用事例を分かりやすく解説します。

執筆: 梅沢 博香公開日: 2026-07-06
医療法人は省力化補助金を利用できる?活用条件や対象設備を解説
井上 卓也カミーユ行政書士事務所 代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。 慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

ポイント

  • 医療法人は原則対象外ですが、介護事業または歯科医業を営む場合は申請できる可能性がある

  • 介護事業はカタログ注文型、歯科医業は一般型を利用できる

  • 清掃・配膳ロボットや、自院向けに設計した省力化設備・システムなどが補助対象となる

医療法人は省力化補助金を利用できる?

医療法人は原則として対象外ですが、介護事業または歯科医業を営み、所定の要件を満たす場合は申請できます。

申請できる枠は、事業内容によって異なります。

  • カタログ注文型:介護事業を営む医療法人

  • 一般型:歯科医業を営む医療法人

内科や外科などの医科を営む医療法人は、原則として対象外です。

本コラムでは、医療法人が申請できる条件や、対象設備、補助額の違いを解説します。

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申請枠別の医療法人の条件

医療法人が申請するには、各申請枠で定められた要件を満たす必要があります。

【カタログ注文型】介護事業を営む場合

介護事業を営む医療法人は、以下の要件をすべて満たす場合に申請できます。

  • 法人格:医療法第44条に基づき、都道府県知事の認可を受けて設立された法人

  • 従業員数:常勤従業員数が300人以下

  • 事業内容:介護保険法に基づくサービスの範囲内で補助事業を実施する

【一般型】歯科医業を営む場合

歯科医院や歯科クリニックを運営する医療法人は、以下の要件を満たす場合に申請できます。

  • 法人格:医療法第44条に基づき、都道府県知事の認可を受けて設立された法人

  • 従業員数:常勤従業員数が300人以下

なお、どちらの枠でも、以下に該当する法人は対象外です。

  • 大企業が実質的に経営を支配する「みなし大企業」

  • 過去3年間の課税所得の年平均額が15億円を超える法人

「常勤従業員」の数え方に注意

従業員数には、労働基準法上の「あらかじめ解雇予告を必要とする労働者」を含めます。

一方、日々雇い入れられる従業員や、2か月以内の期間を定めて雇用される従業員などは、原則として含まれません。

補助額と補助率

補助額と補助率は、申請枠と従業員数によって異なります。

カタログ注文型|介護事業を営む医療法人

カタログ注文型の補助上限額は、従業員数に応じて500万~1,000万円です。一定の賃上げ要件を満たす場合は、最大1,500万円まで引き上げられます。

従業員数

補助率

補助上限額

大幅な賃上げを行う場合

5人以下

1/2以下※

500万円

750万円

6人~20人

1/2以下※

750万円

1,000万円

21人以上

1/2以下※

1,000万円

1,500万円

※製品価格が、製品ごとに設定された補助上限額の2倍を超える場合は、補助率が1/2未満になります。
※補助額が25万円未満となる申請はできません。借用する場合を除きます。

一般型|歯科医業を営む医療法人

一般型の補助上限額は、従業員数に応じて750万~8,000万円です。大幅な賃上げ要件を満たす場合は、最大1億円まで引き上げられます。

従業員数

補助率

補助上限額

大幅な賃上げを行う場合

5人以下

中小企業:1/2小規模・再生事業者等:2/3

750万円

1,000万円

6人~20人

同上

1,500万円

2,000万円

21人~50人

同上

3,000万円

4,000万円

51人~100人

同上

5,000万円

6,500万円

101人以上

同上

8,000万円

1億円

※中小企業でも、最低賃金引き上げ特例が適用される場合は、補助率が2/3に引き上げられます。
※上限額の引き上げには、給与支給総額や事業場内最低賃金に関する賃上げ要件を満たす必要があります。

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医療法人が省力化補助金で導入できる設備

医療法人が導入できる設備は、申請枠によって異なります。カタログ注文型では登録製品から選び、一般型では自院の業務に合わせた設備やシステムを導入します。

【カタログ注文型】介護事業を営む場合

カタログ注文型では、事務局の製品カタログに登録された汎用製品を導入できます。

介護事業を営む医療法人が導入できる主な設備は、以下の通りです。

  • 清掃ロボット・配膳ロボット:施設内の清掃や食事の配膳・下膳を自動化する

  • 飲料ディスペンサー・とろみ給茶機:飲料の提供やとろみ付け作業を効率化する

  • 再加熱キャビネット・配膳カート:食事の再加熱や温度管理、運搬を効率化する

これらの設備により、清掃や配膳などの付随業務を減らし、職員がケア業務に集中しやすくなります。

ただし、導入できるのはカタログに登録された製品に限られます。対象製品や利用条件を事前に確認しましょう。

【一般型】歯科医業を営む場合

一般型では、歯科医院の業務工程や現場環境に合わせたオーダーメイド設備を導入できます。

主な対象設備は、以下の通りです。

  • 自動化システム:AI・IoT・ロボット・センサーなどを活用し、業務工程を自動化する設備やシステム

  • カスタマイズ設備:汎用設備に周辺機器や機能を追加し、自院の業務に合わせて設計した設備

  • 専用ソフトウェア・情報システム:機械装置と連携して機能する専用ソフトウェアやシステム

汎用設備を単体で導入するだけでは、原則として対象になりません。複数の設備を組み合わせる、または自院向けに機能を追加するなど、オーダーメイド性が求められます。

また、一般型では、単価50万円(税抜)以上の機械装置・システム構築費を補助対象経費に含める必要があります。

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医療法人が省力化補助金を活用した事例

医療法人が省力化補助金を活用する場合、介護事業ではカタログ製品、歯科医業ではオーダーメイド設備の導入が想定されます。

ここでは、2つの活用例を紹介します。

【カタログ注文型】介護事業を営む場合

常勤従業員20名の介護老人保健施設が、配膳ロボットと清掃ロボットを導入するケースです。

導入前の課題

職員が配膳や施設内の清掃に多くの時間を取られ、利用者へのケアに十分な時間を確保できないことが課題でした。

導入した設備

カタログに登録された製品から、施設内を自律走行する以下の設備を導入します。

  • 配膳ロボット

  • 清掃ロボット

導入後の効果

配膳・下膳や廊下清掃の時間を削減でき、職員が本来のケア業務に集中しやすくなります。また、生産性向上の目標達成も見込めます。

導入コストの目安

従業員数20名の場合、補助上限額は750万円、補助率は1/2以下です。

項目

金額(税抜・例)

備考

設備導入総額

400万円

配膳ロボット・清掃ロボット各1台

補助金額

200万円

補助率1/2で計算

実質負担額

200万円

補助金により負担を軽減

【一般型】歯科医業を営む場合

従業員8名の歯科クリニックが、自動洗浄・滅菌管理システムを導入するケースです。

導入前の課題

診療器具の洗浄・滅菌・パッキングを手作業で行っており、特定のスタッフに負担が集中していました。また、作業効率の改善や事故リスクの低減も課題でした。

導入した設備

院内のレイアウトや業務工程に合わせて、AIやセンサーを活用したオーダーメイドの自動洗浄・滅菌管理システムを導入します。

導入後の効果

滅菌作業の時間を約80%削減でき、スタッフが診療補助に集中しやすくなります。労働生産性の向上や賃上げ目標の達成につながる環境も整えられます。

導入コストの目安

従業員数8名の中小企業の場合、補助上限額は1,500万円、補助率は1/2です。

項目

金額(税抜・例)

備考

設備導入総額

1,000万円

専用設計の自動洗浄・滅菌管理システム

補助金額

500万円

補助率1/2で計算

実質負担額

500万円

導入費用の半分を補助

※上記は、補助率や補助上限額に基づくシミュレーションです。実際の補助金額は、設備価格や審査結果によって異なります。
※消費税は補助対象経費に含まれません。
※大幅な賃上げ要件を満たす場合は、補助上限額が引き上げられることがあります。

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監修者

監修者からのワンポイントアドバイス

医療法人は原則として本補助金の対象外となっていますが、介護事業または歯科医業を営む場合に限り、例外的に省力化補助金を申請できるようになりました。医療機器は高額になるケースが多いため本補助金を有効活用して医療機器などの導入に繋げて行くことが期待されます。