歯科医院は省力化補助金を使える?【2026年】
歯科医院は省力化補助金を使えるでしょうか?省力化補助金が活用できる歯科医院の条件や補助上限額、導入できる設備、活用事例、申請手順を分かりやすく解説します。


補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。 慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
ポイント
歯科医院は、省力化補助金の「一般型」を利用できる
受付・会計・診療工程などを省力化する設備やシステムが対象になる
交付決定前に契約・発注すると補助対象外になるため注意が必要
歯科医院は省力化補助金を使える?
歯科医院は、省力化投資補助金の「一般型」を利用できます。
省力化投資補助金には「カタログ注文型」と「一般型」がありますが、医療法人は原則としてカタログ注文型の対象外です。
一方、一般型では第7回公募から「歯科医業を営む医療法人」が対象に追加されました。
一般型は、医院ごとの業務に合わせた設備やシステムを導入し、省力化や生産性向上を図る取り組みを支援する制度です。
一般型の補助上限額・補助率
補助上限額は、常勤従業員数によって異なります。
従業員数 | 補助上限額 | 大幅賃上げ特例適用時 |
5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
6~20人 | 1,500万円 | 2,000万円 |
21~50人 | 3,000万円 | 4,000万円 |
51~100人 | 5,000万円 | 6,500万円 |
101人以上 | 8,000万円 | 1億円 |
補助率は、中小企業が原則1/2です。一定の特例を満たす場合は2/3となります。
また、常勤従業員20人以下の医療法人には、2/3の補助率が適用されます。
一般型に申請できる歯科医院の条件
歯科医業を営む医療法人は、以下の条件をすべて満たす必要があります。
都道府県知事の認可を受けて設立された医療法人である
常勤従業員数が300人以下である
認可証など、要件を確認できる書類を提出する
個人で歯科医院を営んでいる場合も、中小企業者の要件を満たせば申請できます。
歯科医院が省力化補助金で導入できる設備
省力化補助金の一般型では、歯科医院の業務に合わせて設計・構築する設備やシステムが対象です。
既製品を単体で導入するのではなく、複数の機器やシステムを連携させ、受付・診療・会計などの業務を省力化する必要があります。
機械装置・システム構築費
一般型では、単価50万円(税抜き)以上の設備投資が必要です。
対象となる設備の例は以下のとおりです。
AIやIoTを活用した専用システム
業務を自動化するロボットや機械装置
測定・検査機器
専用ソフトウェアや情報システム
複数のデジタル機器を連携させた設備一式
歯科医院では、受付から診療後の会計、次回予約までを連携・自動化するシステムなどが考えられます。
汎用設備を組み合わせたシステム
市販の設備でも、導入環境に合わせてカスタマイズしたり、複数の設備を連携させたりする場合は対象になる可能性があります。
例えば、自動受付機、電子カルテ、自動精算機、予約管理システムを連携し、一連の業務を効率化する取り組みです。
設備とあわせて申請できる経費
機械装置・システム構築費とあわせて、以下の経費も申請できます。
クラウドサービス利用費
技術導入費
外注費
専門家経費
ただし、クラウドサービス利用費は、原則として補助事業期間中の費用に限られます。
補助対象にならない設備
以下の設備や経費は、原則として対象外です。
パソコンやタブレットなどの汎用品を単体で導入する費用
既存設備の単なる買い替え
システムの更新やバージョンアップ
中古設備の購入費
設備を導入するだけでなく、医院の業務をどのように自動化し、作業時間や必要な人員を削減するかを示すことが重要です。
歯科医院の省力化補助金を活用した事例
ここでは、省力化投資補助金(一般型)を活用した歯科医院の事例を紹介します。
※以下は、実際の採択事例や歯科医院の業務を基に作成した活用イメージです。
事業者の属性
従業員10名の歯科医院です。院長のほか、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手、受付スタッフが勤務しています。
補助金活用前の課題
従来は、シリコン印象材で歯型を採取し、石こう模型を作製して歯科技工所へ発送していました。
模型の作製や梱包、発送に時間がかかるほか、歯型を正確に採取できなかった場合は、患者に再来院してもらう必要がありました。
補助金を活用した取り組み
省力化投資補助金を活用し、以下の設備を導入しました。
口腔内スキャナー
CAD/CAMシステム
ミリングマシン
患者情報や技工データの管理システム
取得した口腔内データを各システムで連携し、院内で詰め物や被せ物を設計・加工できる体制を整えました。
補助金活用後の成果
歯型の採取や石こう模型の作製、梱包、発送が不要になり、補綴物の製作時間を短縮できました。
歯型の取り直しや患者の再来院も減り、スタッフの負担軽減と患者の待ち時間短縮につながりました。
また、省力化によって生まれた時間を診療や患者への説明に充てられるようになりました。
省力化補助金【一般型】に申請する手順

省力化補助金(一般型)の申請から受給までは、以下の流れで進みます。
1.GビズIDプライムを取得する
申請は電子申請システムで行うため、GビズIDプライムが必要です。取得には時間がかかる場合があるため、早めに申請しましょう。
2.事業計画書と必要書類を準備する
歯科医院の課題や導入設備、省力化による効果、収支計画などを事業計画書にまとめます。主な必要書類は以下のとおりです。
直近2期分の決算書
納税証明書
設備の仕様書や見積書
医療法人であることを証明する書類
3.電子申請を行う
電子申請システムから事業計画書と必要書類を提出します。審査の結果、優れた計画が補助金交付候補者として採択されます。
4.交付申請を行う
採択後、設備や経費の詳細を記載した交付申請を行います。
採択だけでは設備を発注できません。契約・発注・支払いは、必ず交付決定後に行ってください。
5.設備を導入して実績報告を行う
交付決定後に設備を導入し、補助事業期間内に支払いまで完了させます。
事業完了後は、実績報告書や領収書などを提出します。事務局の検査を経て、補助金額が確定します。
6.補助金を受け取る
補助金額の確定後、請求手続きを行うと補助金が振り込まれます。
補助金は後払いのため、設備代金を一度立て替える必要があります。
また、事業完了後の翌年度から5年間、省力化の効果や賃上げ状況を毎年報告します。

監修者からのワンポイントアドバイス
歯科医業を営む医療法人は、これまで省力化投資補助金の主要類型(カタログ注文型)では原則として対象外とされていましたが、一般型の制度拡充(第7回公募以降)に伴い、正式に対象へと追加されました。これにより、歯科医院でも高額なデジタル設備の導入による本格的な業務効率化への挑戦が可能となっています。
