融資における金利について比較!金利以外のポイントも含めて解説

融資を受ける際は、なるべく低金利で受けたいですよね。 ですがさまざまな返済条件、返済期間によって金利が違うので悩みやすいと思います。 今回は融資の金利を比較した上で、金利以外のポイントも踏まえた融資の選び方を解説します。
井上 雅也

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融資における金利について比較!金利以外のポイントも含めて解説

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

融資の金利とは?

融資の金利とは、金融機関からお金を借りる際に支払う利息の割合を指します。

借りた金額(元本)に対して、この金利に基づいた利息を支払う必要があり、金利の高低が借入コストに大きく影響します。

金利は、融資の種類や借り手の信用力、市場の経済状況などによって異なります。

金利には「固定金利」と「変動金利」があります。

固定金利は契約時に決められた金利が返済期間中変わらないため、将来の支払い計画を立てやすいのが特徴です。

変動金利は市場金利の動向に応じて定期的に見直されるため、金利が下がれば支払額が減る可能性がありますが、逆に上昇すると返済負担が増えるリスクもあります。

融資の金利は、借入先や契約内容によって大きく異なります。そのため、事前にしっかり比較し、最適な融資を選ぶことが重要です。

なぜ融資の金利が重要なのか?

融資の金利は、借入コストに直結するため非常に重要です。

金利が高ければ総返済額が増え、資金繰りに影響を与える可能性があります。

一方、低金利で借りられれば、利息負担を抑えながら資金を活用できます。そのため、金利は融資を受ける際に慎重に検討すべき要素のひとつです。

例えば、1,000万円を年利2%で借りた場合、1年間の利息は約20万円ですが、金利が5%になると50万円に増えます。

この差は長期間の借入ではさらに大きくなり、事業資金や住宅ローンのような長期融資では金利のわずかな違いが数百万円規模の負担差につながることもあります。

また、金利は返済計画の立てやすさにも影響します。

固定金利であれば金利が変わらず、長期的な資金計画を立てやすくなります。

しかし、変動金利の場合は市場金利の変動によって支払額が増減するため、将来的なリスクを考慮する必要があるのです。

このように、融資の金利は返済総額や資金計画に大きく影響を与えるため、慎重に比較し、自分にとって最適な条件を選ぶことが重要です。

各融資の金利を比較!

次に各融資の具体的な金利の違いを解説します。

  • 銀行融資
  • プロパー融資
  • 信用金庫の融資
  • ノンバンク融資
  • 地方自治体の融資制度
  • 日本政策金融公庫の融資

各融資の金利早見表

銀行融資プロパー融資信用金庫の融資ノンバンク融資地方自治体の融資制度日本政策金融公庫の融資
約1%〜15%約1%〜3%約2%〜6%約6%〜18%約0.5%〜2.1%約1.5%〜2.3%

銀行融資

1つ目は銀行融資です。銀行融資は、銀行が企業や個人に資金を貸し出すことで、事業拡大のための資金調達や、個人の住宅購入など、様々な目的で利用されます。

金利は平均すると約1%〜15%ほどで、他の金融機関と比較すると少し高めであるのが特徴です。

プロパー融資

2つ目はプロパー融資です。プロパー融資とは、信用保証協会の保証をせずに行う融資のことを指します。

プロパー融資は、金融機関自らの判断で融資を行うため直接融資とも呼ばれており、融資の限度額がない場合が多いです。

よって借り手側の信用情報や担保の有無によって融資の金額が大きく左右されます。

金利は平均で約1%〜3%ほどで、借り手側の信用情報や事業の実績、担保の有無によっては1%を下回る金利で融資が受けられた事例もありました。

信用金庫の融資

3つ目は信用金庫の融資です。信用金庫は、地域に密着したサービスを提供しており、融資を受ける際は会員になる必要があります。

基準金利は約2%〜6%ほどで、金利は自治体や地域によって異なるため、ご自身の地域の信用金庫に確認するようにしましょう。

また、信用金庫は制度融資を設けていて、自治体によって変わりますが、約1%〜3%ほどの金利となる場合があるので、制度融資も確認してみてください。

ノンバンク融資

4つ目はノンバンク融資です。ノンバンク融資は審査が比較的早く、短期間で資金が必要な場合に利用されるケースが多いです。

また、担保や保証人がなくても利用できるので、急な資金調達に向いています。

しかし金利は約6%〜18%と高く、長期の融資にはあまり向いていません。

ノンバンク融資は、正しい使い方をすれば急を要する資金調達の味方となるでしょう。

地方自治体の融資制度

5つ目は地方自治体の融資制度です。この融資は、各自治体が独自に設けている融資制度で、自治体ごとに融資条件や金利が異なります。

融資を受ける際は、ご自身の地域の自治体を確認しましょう。返済条件や返済期間によって異なりますが、前年度の金利は約0.5%〜2.1%ほどでした。

地方公共団体金融機構が出している短期貸付と長期貸付の金利を載せておきますので、参考にしてください。
地方公共団体金融機構:過去の貸付利率(短期貸付)
地方公共団体金融機構:過去の貸付利率(長期貸付)

日本政策金融公庫の融資

6つ目は日本政策金融公庫の融資です。新しく事業を始める場合経営改善を図る中小企業または個人事業主を対象とし、比較的低金利で融資を行なっています。

日本政策金融公庫の中小企業事業の基準金利は約1.5%〜2.3%の幅で融資を行なっていました。

自分の想定している返済期間はどのくらいの金利なのかをよく確認するようにしましょう。
日本政策金融公庫:中小企業事業(主要利率一覧表)

融資の金利計算方法

融資の金利を計算する方法を知っていると、融資条件の比較がしやすくなったり返済計画を立てやすくなったりと、良いことがたくさんあります。

ここでは融資の金利を計算するときの計算方法についてご紹介します。

融資における金利の計算は、主にこのような計算式となります。

利息=元金×利率÷365日×借入日数

ちなみに、うるう年の場合は、366日として計算するようにしてください。

金利シミュレーションがない場合は、この計算方法を用いて計算するようにしましょう。

融資の金利が低いほど必ず得なの?

金利が低ければ低いほど返済の金額は少なくなるので、表面的には金利が低い方が有利に思えるかもしれません。

しかし、実際には金利以外にも融資のコストは存在するので、融資の金利以外で比較・検討しないのは危険です。

金利以外のコストを考慮せずに融資を受けてしまうと、支払いが遅れたり、後の信用情報に悪い影響を与える原因となってしまいます。

したがって、金利だけでなく他の条件やコストを総合的に判断していくことが大切です。
金利の判断基準

融資金利以外に考慮すべきポイント

では融資の金利以外に考慮すべき項目を詳しく解説していきます。

  • 担保
  • 返済期間
  • 返済方法
  • 手数料などの諸費用

担保

考慮すべきポイントの1つ目は担保です。担保とは、借りたお金の返済が困難になった場合の保険として、資産を提供します。

担保を提供することで、金融機関からの信用が高くなるので、金利が低くなったり返済期間を長くできたりします。

しかし、担保を提供したうえで融資の支払いが難しくなったら、担保としている資産を失うリスクも潜んでいるのです。

そのため、担保を提供する資産は慎重に判断しましょう。

返済期間

2つ目は返済期間です。返済期間が長いほど毎月の支払額が少なくなり、金利等の負担が大きくなります。

一方で返済期間が短いと金利等の負担は少なくなりますが、毎月の支払いが多くなるので、それぞれの特徴を理解しておきましょう。

このことから、ご自身のキャッシュフローに合わせた返済期間選びが重要です。

例として、安定した収益が見込める事業であれば短期間の融資を選んで金利の負担を抑えることができます。

逆に初期投資が大きく、収益がすぐにでない事業は長期の投資を選び毎月の返済額を少なくする方法などがおすすめです。

返済方法

3つ目は返済方法です。融資の返済方法には、主に元利均等返済元金均等返済の2種類があります。

元利均等返済では、毎月の支払額が一定となるため、収支の計算がしやすい反面、最初のうちは元金よりも金利の返済が多くなります。

元金均等返済は、元金部分の返済が毎月一定で、利息部分が徐々に減少していくため、トータルで見ると利息の負担が少なくなるケースが多いです。

初期の返済負担を減らしたい方は元利均等返済を、総返済額を抑えたい方は元金均等返済を状況に応じて選択しましょう。

手数料などの諸費用

4つ目は手数料などの諸費用です。融資は金利以外にも、手数料や保証料などの費用がかかります。

信用保証協会を通じた融資は保証料が発生します。諸費用を踏まえて融資を受けないと、返済総額が増えてしまうのです。

手数料などの諸費用は融資において大きな影響を与えるので、慎重に判断しましょう。

融資金利の決定要因と変動要素

ここでは融資の金利が決定するまでと、変動する要因をご紹介します。

  • 金融政策と市場金利の影響
  • 借り手の信用力による金利の変動

金融政策と市場金利の影響

融資の金利は、金融政策や市場金利に強く影響を受けます。中央銀行が金融政策を緩和する場合、市場に資金が流れやすくなるので、金利は下がります。

逆に金融政策が引き締められると、市場の金利が上昇し、金融の金利も引き上げられます。

金利が変動する時期には、固定金利と変動金利の選択が重要です。金利が下がる時期に変動金利を選択すると、より低い金利で融資を受けられます。

逆に金利が上昇する時期であれば、固定金利にすることで安定した返済の計画が立てやすくなるのです。

借り手の信用力による金利の変動

借り手の信用力も、融資の金利において大きな影響があります。信用の評価ポイントは、主に会社の財務状況、過去の返済歴、保証人の有無などです。

融資を行う人の信用を評価し、信用が高いと判断されれば、より低い金利で融資を提供します。

しかし信用が低いと判断されると、リスクを補うために金利が高く設定されることがあるので、信用保証協会等で信用を補う選択肢も視野に入れましょう。
金利に影響を与える要因

金利を踏まえた最適な融資の選び方

融資を受ける際は、金利の低さだけでなく、自身の資金計画や事業の状況に適した融資を選ぶことが重要です。

最適な融資を選ぶためには、金利の種類や条件を十分に理解し、総合的に判断する必要があります。

まず、固定金利と変動金利のどちらを選ぶかを決めましょう。

固定金利は契約時の金利が返済期間中ずっと変わらないため、将来の返済額を明確にできるメリットがあります。

一方、変動金利は市場金利の動向によって金利が変化するため、金利が下がれば返済負担が軽くなりますが、上昇すると支払い負担が増えるリスクもあります。

安定した返済計画を立てたい場合は固定金利、低金利時の恩恵を受けたい場合は変動金利を選ぶとよいでしょう。

次に、融資を提供する金融機関ごとの特徴を比較することが必要です。

一般的に、銀行融資は金利が低い傾向にありますが、審査が厳しく、融資実行までに時間がかかることがあります。

一方、信用金庫や地方自治体の融資制度は比較的金利が低く、中小企業や個人事業主でも利用しやすい場合があります。

ノンバンクの融資は審査が柔軟でスピード感があるものの、金利が高めに設定されることが多いため注意が必要です。

また、金利だけでなく、融資の条件も考慮しなければなりません。

担保や保証人の有無、返済期間、手数料などを総合的に比較し、長期的な返済負担がどの程度になるのかを試算することが重要です。

このように、融資を選ぶ際は金利だけに注目するのではなく、返済計画や資金の用途に応じた最適な選択をすることが大切です。

複数の金融機関の条件を比較し、自分にとって最も適した融資を選びましょう。

今後の金利情報について

2024年度の4月〜9月において、倒産件数が6半期連続で増加しており、2025年度は2024年以上に小規模事業者の倒産が見込まれています。

その原因の1つとして、金利の上昇が挙げられます。

資金力のある大企業に融資が多く流れ込む形となり、中小企業の資金調達がしづらくなっているのが現状です。

これらの現状を踏まえると、より一層、金融機関側との信頼関係や関係値が重要になってきます。

金融機関との関係値を深めるには、定期的な事業報告金融機関の担当者との接触を増やすなど、できることがたくさんあります。

金融機関との関わりを深めておきたい方は、こちらのコラムをご覧ください。

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参考:帝国データバンク|倒産集計 2024年度上半期報(4月~9月)

【まとめ】融資の金利をしっかり理解して返済計画を立てよう!

今回は融資の金利について解説しました。金利には2種類存在し、変動金利と固定金利があります。

金利は市場によって変動していくので、状況に合わせて固定金利にするのか、それとも変動金利にするのかの判断が重要です。

金利やそれ以外の項目で比較した後、次は審査に通るために事業計画書や財務諸表といった資料が必要なので、しっかり作成するようにしましょう。

この記事を踏まえて、ぜひご自身で金融機関の金利を比較してみてください。

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