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業務改善助成金は農業でも使える?活用事例と対象設備を分かりやすく解説

農業が業務改善助成金を活用する際、どのような設備が対象になりやすいのでしょうか?設備の具体例と活用事例で分かりやすく解説します。

執筆: 梅沢 博香公開日: 2026-03-26
業務改善助成金は農業でも使える?活用事例と対象設備を分かりやすく解説
井上 卓也カミーユ行政書士事務所 代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。 慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

ポイント

  • 農業でも業務改善助成金は活用でき、生産性向上につながる設備投資が対象になる

  • 工作機械や自動化設備など、製造業特有の設備も対象になるケースが多い

  • 交付決定前の購入は対象外になるので注意する

業務改善助成金は農業でも使える?

業務改善助成金は、農業でも活用できます。

農業者が、生産性を高める設備投資と従業員の賃上げを同時に行う場合に、その費用の一部が助成される制度です。

例えば、長ネギの加工スピードを2倍に引き上げる「根葉切り機」や、出荷前の梱包時間を約30%削減できる「自動梱包器」などを導入して作業時間を大幅に短縮し、その結果生まれた利益や時間的な余裕を、働く仲間の賃上げに充てるといった、前向きな経営改善が可能です。

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対象となる事業者の基本要件

業務改善助成金を申請するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。主な要件は次のとおりです。

1.中小企業・小規模事業者であること
製造業の場合は、資本金3億円以下または常時使用する労働者数300人以下のいずれかを満たす企業が対象です。

2.事業場内最低賃金の要件を満たしていること
事業場内で最も低い賃金が、地域別最低賃金未満である事業場が対象となります。

3.一定期間以上雇用している労働者がいること
賃上げの対象となるのは、申請時点で雇入れ後6か月以上経過している労働者です。

4.労働保険に加入していること
労働保険に加入しており、保険料の未納がないことが必要です。

5.生産性向上につながる設備投資を行うこと
単なる老朽化による買い替えではなく、労働能率の向上につながる設備やシステムの導入が必要です。

製造業では、手作業で行っていた加工工程を自動化する機械や、事務作業を効率化する生産管理システムなど、幅広い設備投資が対象として認められています。

また、令和8年度は予算が約21億円規模に増額されており、例年よりも活用しやすい状況といえます。

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業務改善助成金で対象になりやすい設備投資は?

業務改善助成金では、生産性向上に資する設備投資等が助成の対象となります。

農業の場合、「重労働の機械化」や「加工・管理時間の短縮」に直結する設備が助成対象になりやすいです。

農業で対象になりやすい設備は以下のとおりです。

設備の種類

具体例

効果

自動化・加工設備

根葉切り機、自動梱包器、野菜計量器

加工・出荷作業の大幅な時間短縮

管理・省力化設備

ハンマーナイフモア(草刈り機)、ハウス警報装置

除草や見回り点検の負担軽減・効率化

耕作・搬送設備

高機能耕運機、フリーローラーコンベア、軽量管理機

排水対策や出荷積み込みの能率向上

自動化・加工設備

農業では、収穫した作物を商品として仕上げる「調製・加工」工程の自動化が非常に効果的です。

例えば、長ネギの根葉切り機を導入した事例では、手作業に比べて作業スピードが2倍となり、加工時間が半減しました。

また、野菜計量器により自動で最適重量を計測することで、袋詰め等の作業効率が1.5倍改善された例や、自動梱包器の導入で生産ラインの作業時間を30%削減した事例もあります。

さらに、芋洗い機や高圧ポンプの導入により、手洗いでは落ちにくかった汚れを短時間で落とせるようになり、月換算で約30時間の短縮を実現したケースも見られます。

管理・省力化設備

広大な圃場の維持管理や、ハウス内の環境監視を省力化する設備も多く活用されています。

肩掛け式の草刈り機で行っていた広範囲の除草作業に、トラクター装着型や歩行型のハンマーナイフモアを導入した事例では、作業時間を1/3以下に短縮することに成功しました。

また、ハウス内の異常をスマホ等に通知する警報装置を導入することで、定期的な見回りの手間を省き、点検時間を30%削減できた事例もあります。

電動高所用作業車の導入により、脚立の昇り降りや移動時間をなくし、作業効率と品質向上を同時に達成した例も報告されています。

耕作・搬送設備

生産現場での肉体労働を軽減し、回転率を高める設備も重要です。

高機能耕運機(2連機)の導入により、排水のための弾丸暗渠施工のスピードが上がり、労働能率が60%向上した事例があります。

また、出荷時の積み込み作業にフリーローラーコンベアを活用することで、それまで1時間かかっていた作業を1/3の20分まで短縮し、身体的負担を大幅に軽減させた実績もあります。

このように農業では、「人の手で行っていた長時間のルーチンワークや重労働を、どれだけ短縮・軽減できるか」が採択のポイントとなります。

対象外になりやすい設備

業務改善助成金では、「生産性向上に直結しないもの」や「私的利用も可能な汎用性の高い設備」は対象外となります。

  • 汎用パソコンやタブレット: 事務作業全般に使えるため原則対象外ですが、農業経営管理システム専用として不可欠な場合は例外的に認められることがあります。

  • 一般車両: 軽トラックや営業用の普通車は対象外です。助成対象となるのは、特殊な機能を持つ「特種用途自動車(8ナンバー)」に限られます。

  • その他: LED照明への交換(単なるコスト削減)や、エアコン設置、福利厚生目的の備品購入などは、生産性向上との関連が薄いため対象外と判断されます。

特例事業者の場合に認められる設備

一定の条件を満たす「特例事業者」に該当する場合は、通常は対象外となる設備も例外的に認められることがあります。

【特例事業者の要件】

  • 事業場内最低賃金が1,000円未満である

  • 原材料費の高騰などにより、最近3か月のうち任意の1か月の利益率が前年同月比で3ポイント以上低下している

特に「物価高騰の影響」を受けた特例事業者の場合は、パソコン、タブレット、スマートフォンなどの情報機器や、一定の条件を満たす貨物車両(トラック等)や乗用車の導入が認められるケースがあります。

これにより、生産現場だけでなく、事務や配送を含めた農業経営全体の業務改善が可能になります。

業務改善助成金の対象になる設備投資は?

業務改善助成金の農業の活用事例は?

機械化や自動化によって「作業時間の削減」と「人手不足の解消」が叶います。

ここでは、農業の業務改善助成金の3つの活用事例を紹介します。

事例1. 収穫後の加工・選別工程の機械化

収穫後の加工や袋詰めを機械化すると、出荷スピードが大きく向上します。

長ネギや葉物野菜の現場では、収穫よりも「加工工程」に時間がかかるケースが多く、作業効率のボトルネックになりがちです。

■改善前の課題

長ネギの生産現場では、収穫作業1時間に対して、その後の根・葉切り作業に3時間もの時間がかかっており、加工工程が大きな負担となっていました。

また、小松菜などの野菜でも、計量や袋詰めを一つひとつ手作業で行っていたため、多くの人手と時間が必要でした。

■導入設備

根葉切り機や野菜計量器を導入し、これまで手作業で行っていた工程を機械に置き換えました。

■導入効果

根葉切り機の導入によって作業スピードが約2倍に向上し、加工時間は半減しました。

また、野菜計量器により自動で適切な重量を計れるようになり、作業効率は約1.5倍まで改善されています。

■対象設備と効果

設備

効果

根葉切り機

加工スピード2倍・時間半減

野菜計量器

自動計量で効率1.5倍向上

掻出機(キノコ)

作業時間を約70%短縮

事例2. 広大な圃場管理の省力化(除草・耕作)

広い農地の管理は人手に頼ると限界がありますが、高性能な機械を導入することで、作業時間を大幅に削減できます。

■改善前の課題

40枚近くの畑の除草を肩掛け式の草刈り機で行っており、管理作業だけで月100時間以上を費やしていました。

また、排水作業も従来の機械では効率が悪く、作付け準備が計画通りに進まないという問題がありました。

■導入設備

トラクター装着型や歩行型のハンマーナイフモア、高機能な耕運機を導入し、広範囲の作業を効率的に行えるようにしました。

■導入効果

除草作業は一度に広範囲を処理できるようになり、作業時間は1/3以下に短縮されました。

また、耕運機の導入により排水作業の効率が約60%向上し、身体的な負担も大きく軽減されています。

■対象設備と効果

設備

効果

ハンマーナイフモア

除草時間を1/3以下に短縮

高機能耕運機

作業効率60%向上

芋洗い機

月30時間の作業削減

事例3. 出荷・運搬プロセスの最適化

出荷や積み込み、ハウスの見回り作業を機械やシステムに任せることで、人手を減らしながら作業の負担を軽くできます。

■改善前の課題

生産量が増加する一方で、梱包作業の一部を手作業で行っていたため、長時間労働が発生していました。

また、出荷時には1鉢ずつ手作業で積み込みを行っており、1回あたり約1時間、月13時間以上の時間がかかっていました。さらに、ハウス内の見回りも従業員の負担となっていました。

■導入設備

自動梱包機やコンベアを導入し、さらにハウス内の異常をスマートフォンで確認できる監視システムを導入しました。

■導入効果

梱包工程の自動化により作業時間は約30%削減され、コンベアの導入によって積み込み作業は従来の1/3まで短縮されました。

また、監視システムの導入により、見回り作業は必要なときだけ対応すればよくなり、点検時間も約30%削減されています。

■対象設備と効果

設備

効果

自動梱包機

作業時間30%削減

コンベア

積み込み時間1/3に短縮

ハウス警報装置

点検時間30%削減

農業の活用事例に共通するポイント

農業の事例では、機械化によって「短時間で安定した作業」を実現している点が共通しています。

特に、作業時間を半減させたり、1/3以下に削減したりといった具体的な数値で生産性向上を示している点が特徴です。

業務改善助成金では、このような定量的な改善効果が重要な評価ポイントになります。

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参考:業務改善助成金

参考:物価上昇を上回る賃上げの普及・定着に向けた三位一体の労働市場改革の推進と多様な人材の活躍促進

参考:業務改善助成金Q&A

監修者

監修者からのワンポイントアドバイス

農業分野での業務改善助成金は、収穫後の調整・加工(根切りや計量など)や見回り・除草といった、時間と体力を奪う手作業の機械化と非常に相性が良いです。審査では機械導入によって作業時間が何時間(何%)削減されるかという具体的な数値の根拠が求められます。