業務改善助成金は建設業も使える?対象設備と活用事例も紹介!
建設業が業務改善助成金を活用する際、どのような設備が対象になりやすいのでしょうか?設備の具体例と活用事例で分かりやすく解説します。


補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。 慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
ポイント
建設業でも業務改善助成金は活用でき、賃上げと設備投資が条件になる
対象設備は「生産性向上」が基準で、重機・工具・IT機器などが該当する
一般車両やトラックは原則対象外だが、条件を満たせば例外的に対象になる場合がある
業務改善助成金は建設業でも使える?
業務改善助成金は、建設業でも活用できます。
この制度は、「設備投資で生産性を高めること」と「従業員の賃金を引き上げること」をセットで行う中小企業を支援するものです。
そのため、現場作業の効率化が求められる建設業とは相性の良い助成金といえます。
建設業で活用されやすい理由は、「人手不足」と「作業効率の改善」という課題を同時に解決できるためです。
例えば、重機やITシステムを導入することで作業時間を短縮し、その分の利益を賃上げに回すという使い方ができます。
建設業で対象になりやすい具体的な設備
業務改善助成金では、「作業時間の短縮」や「人手削減」につながる設備が対象です。
「導入前と比べてどれだけ効率が上がるか」を具体的に説明できる設備であることが重要です。
【建設業で対象になりやすい設備一覧】
設備の種類 | 具体例 | 効果 |
電動工具・測量機器 | インパクトドライバー、レーザー測量機 | 作業時間を短縮・人員削減 |
小型重機 | ミニショベル、バックホウ | 手作業の削減・安全性向上 |
業務システム | 施工管理ソフト、積算ソフト | 事務作業の効率化 |
・電動工具・測量機器
最新の電動工具を導入することで、これまで手作業で30分かかっていた作業が15分に短縮されるケースがあります。
また、測量機器の導入により、従来2〜3人で行っていた作業を1人で対応できるようになり、人件費の削減にもつながります。
・小型重機
ミニ油圧ショベルなどの導入により、手作業で半日かかっていた掘削作業が1〜2時間で完了することもあります。
結果として、作業時間の短縮と労働負荷の軽減が同時に実現できます。
・業務効率化システム
施工管理ソフトを導入すると、現場と事務所の情報共有がリアルタイムで行えるようになります。
例えば、日報作成に1日30分かかっていた業務が、10分程度に短縮されるケースもあります。
・専門機械
型枠自動洗浄機などの専用機械を導入することで、1時間以上かかっていた洗浄作業を数分で完了できる場合があります。
こうした設備は「明確な時間短縮」が説明しやすく、審査でも評価されやすい傾向があります。
業務改善助成金で車両購入は対象になる?
業務改善助成金では原則として、対象となる車両はナンバープレートが『8』で始まる『特種用途自動車』(福祉車両等を含む)に限られ、一般の乗用車やトラックは対象外です。
ただし、物価高騰等の影響を受けた『特例事業者』に該当する場合は、例外的に一般のトラックや一定の乗用車も認められるケースがあります。
車両は原則対象外!
業務改善助成金では、一般的な車両は助成対象になりません。
理由は、業務以外にも使えるため「生産性向上との直接的な関係が弱い」と判断されるためです。
対象外となる代表例は以下の通りです。
乗用車
一般的なトラックやバン
営業車
一方で、以下のような車両は対象になりやすいです。
高所作業車
クレーン付き車両
これらは「作業そのものを効率化する設備」として扱われます。
例外的に対象になるケース
一定の条件を満たす場合、一般車両も例外的に対象になることがあります。
特に重要なのが「物価高騰等要件」に該当するケースです。
この場合、以下のような車両も対象となる可能性があります。
トラックやバン(資材運搬用)
一定条件を満たす乗用車
【対象となる条件の一例】
条件 | 内容 |
定員 | 7人以上 |
価格 | 車両本体200万円以下 |
業務改善助成金で車両購入する際の注意点などの詳細は、以下のコラムで分かりやすく解説しています。
業務改善助成金の活用事例は?建設業の成功パターンを紹介
ここでは、建設業で実際に効果が出ている代表的な事例を3つ紹介します。
事例1:パワーゲート付き車両の導入で搬入作業を1人化
建設業では、資材の積み降ろしに多くの人手と時間がかかるケースが少なくありません。
特にブロックや資材など重量物を扱う現場では、1回の搬入に2〜3人を配置する必要があり、その分ほかの作業に人を回せないという課題があります。
そこで、パワーゲート(昇降装置)付きの車両を導入したことで、積み降ろし作業を機械化しました。
項目 | 内容 |
課題 | 資材の積み降ろしに2〜3人必要 |
導入設備 | パワーゲート付き車両 |
効果 | 1人で作業可能・30〜60分短縮 |
これにより、これまで複数人で行っていた作業を1人で対応できるようになり、1回あたり30分〜1時間の時間短縮を実現しました。
例えば、1日に2回搬入がある場合、最大で2時間の作業削減。
空いた人員を別の現場作業に回せるため、全体の作業効率は約20%向上し、人手不足の解消にもつながります。
このように、「人を減らせる」「時間が短くなる」といった効果が明確な設備は、助成金でも評価されやすいのが特徴です。
事例2:建築積算システムで見積作成を5時間→30分に短縮
建設業では、見積作成に多くの時間を取られてしまい、本来の現場業務に集中できないケースがあります。
特にリフォームや新築案件では、図面を見ながら手作業で積算する必要があり、1件あたり数時間かかることも珍しくありません。
そこで、建築積算システムを導入し、図面入力から数量計算、見積書作成までを自動化しました。
項目 | 内容 |
課題 | 見積作成に5時間以上かかる |
導入設備 | 建築積算システム |
効果 | 作業時間を約90%削減 |
例えば、500万円規模のリフォーム案件では、従来5時間かかっていた見積作成が30分以内で完了するようになりました。
1件あたり約4時間半の削減となり、1か月に10件対応すれば約45時間の削減。
その結果、見積提出までのスピードが上がり、他社より早く提案できることで受注率の向上にもつながります。
事務作業の効率化も、生産性向上として評価されやすいポイントです。
事例3:型枠自動洗浄機で作業時間を100時間→5時間に短縮
型枠工事では、使用後の型枠に付着したコンクリートを落とす作業に多くの時間と労力がかかります。
従来はケレンやサンダーを使い、1枚ずつ手作業で清掃していたため、1現場あたり約100時間もの作業が必要でした。
そこで、型枠自動洗浄機を導入し、洗浄から油塗りまでを自動化しました。
項目 | 内容 |
課題 | 型枠清掃に約100時間かかる |
導入設備 | 型枠自動洗浄機 |
効果 | 作業時間を約95%削減 |
この機械は、1時間あたり約200枚の型枠を処理できるため、従来100時間かかっていた作業がわずか5時間に短縮されました。
作業時間は約95%削減され、現場の負担は大幅に軽減。
さらに、現場で型枠を外した直後にその場で洗浄できるため、運搬の手間も削減され、工期短縮にもつながりました。
このように「時間削減が明確に数字で説明できる設備」は、助成金の審査でも非常に評価されやすいです。
業務改善助成金の申請の流れ
業務改善助成金を活用して建設業の設備(重機・工具・システムなど)を導入する場合は、決まった順番で進める必要があります。
特に「いつ購入するか」を間違えると助成対象外になるため、流れを正しく理解しておくことが重要です。
1.事業場内最低賃金の引き上げ計画を立てる
まずは、従業員の賃金をどれだけ引き上げるかを決めます。例えば「時給を30円アップする」など、具体的な数値で計画を作成します。
2.設備投資を含む業務改善計画を作成する
次に、「どの設備を導入して、どの作業がどれだけ効率化されるか」を整理します。
例:
小型重機を導入 → 掘削作業が半日→2時間に短縮
施工管理ソフト導入 → 日報作成が30分→10分に短縮
3.都道府県労働局へ申請する
作成した計画をもとに、労働局へ交付申請を行います。この時点では、まだ設備は購入しません。
4.審査を受ける
労働局が「生産性向上につながるか」「賃上げが適切か」を審査します。通常、1〜2か月程度かかります。
5.交付決定通知を受け取る
審査に通ると、交付決定通知が届きます。ここで初めて設備の発注が可能になります。
6.設備を導入する
交付決定後に、重機・工具・システムなどを購入します。このタイミングを守らないと助成対象になりません。
7.事業完了後に報告・申請
設備導入と賃上げが完了したら、実績報告を提出します。その後、助成金が支給されます。
よくある質問
Q:業務改善助成金は建設業でも必ず申請できますか?
A:建設業でも申請は可能ですが、すべての事業者が対象になるわけではありません。
中小企業の基準(資本金や従業員数)を満たしていることに加え、労働保険に加入していることや、賃上げの対象となる従業員が6か月以上勤務していることなどの条件があります。
実際には、小型重機の導入や積算システムの活用など、建設業での活用事例も多くあります。
Q:業務改善助成金は600万円支給されますか?
A:600万円はあくまで上限額であり、必ず受け取れる金額ではありません。
助成額は「設備投資額 × 助成率」で決まり、そのうえでコースごとの上限額が適用されます。
例えば、賃金を大きく引き上げるコース(90円コース)で10人以上の賃上げを行った場合に、最大600万円が設定されています。
Q:業務改善助成金は自分で申請できますか?
A:事業者自身で申請することは可能です。
ただし、申請には事業計画や賃上げ計画の作成が必要になるため、初めての場合は難しく感じることもあります。
時間が取れない場合や不安がある場合は、助成金の申請サポート会社に代行を依頼することもできます。
業務改善助成金の申請を検討中の建設業の方はぜひ弊社にご連絡ください。
