外国人を雇うときに使える助成金は?【2026年版】
外国人を雇用する際や雇用後の研修費用に活用できる助成金を分かりやすく紹介したします。


補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。 慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
ポイント
外国人の雇用で使える助成金には、厚生省のものと自治体のもの2種類がある
外国人の雇用・定着・人材育成にかかる費用が助成される
個人事業主でも条件を満たせば対象になる制度がある
外国人を雇うときに使える助成金は?
外国人を雇用する際に使える助成金は、国(厚生労働省)による制度と自治体が独自に設けている制度の2種類があります。
しかし、「外国人を雇うだけで自動的にもらえる助成金」は存在しません。雇用の維持や定着、能力開発などに取り組むなど一定の条件を満たした場合に、結果として助成金が支給される仕組みです。
また、法人だけでなく個人事業主でも対象になる助成金は多く、飲食店、小売店、介護事業所、農業分野など、幅広い業種で活用されています。具体的には、次のような場面で助成金が使われるケースがあります。
景気悪化や一時的な業務縮小時に、外国人従業員の雇用を維持する場合
外国人を一定期間試行的に雇用し、適性を見極めたうえで本採用する場合
有期雇用やアルバイトの外国人を正社員に転換する場合
日本語教育や業務研修など、人材育成に取り組む場合
外国人が働きやすい職場環境を整備し、定着を図る場合
このように、助成金は単なる採用支援ではなく、雇用後の定着や育成まで含めた支援制度として位置づけられています。
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助成額の目安
外国人雇用に関する助成金の支給額は、制度や取り組み内容によって大きく異なりますが、数万円から数十万円程度が中心です。
例えば、短期間の試行雇用や研修支援では、1人あたり数万円〜十数万円程度に設定されているケースが多く見られます。
一方で、正社員化や職場環境整備など、継続的な取り組みを行った場合には、数十万円から100万円を超える支給につながることもあります。また、支給方法にも違いがあります。
取り組み完了後にまとめて支給される制度
数か月ごとに分割して支給される制度
どちらになるかは助成金ごとに定められているため、事前に支給時期や条件を確認しておくことが重要です。
国と自治体どちらを選べばいい?
国と自治体の助成金は、支給額、業種、地域を基準に選ぶとよいでしょう。
国の助成金は、全国共通の制度であるため、業種や地域を問わず利用しやすく、支給額が比較的大きい傾向があります。その分、要件や手続きが細かく設定されている点には注意が必要です。
一方、自治体の助成金は、支給額は比較的少額なものの、特定の業種や目的に特化しており、条件が合えば使いやすいのが特徴です。
特に、介護や農業など人手不足が深刻な分野では、外国人雇用を前提とした制度が設けられているケースもあります。
区分 | 国の助成金 | 自治体の助成金 |
支給額の傾向 | 数十万円〜100万円超 | 数万円〜数十万円 |
対象範囲 | 業種・地域を問わず全国共通 | 特定業種・地域限定が多い |
使いやすさ | 要件はやや厳格 | 条件が合えば比較的柔軟 |
まずは国の助成金を軸に検討し、条件が合えば自治体の制度を併用する、という考え方が現実的です。
外国人を雇うときに使える国の助成金
外国人を雇うときに活用できる国の助成金は、雇用の維持や定着、人材育成などを支援する制度です。
在留資格を持ち、適法に就労している外国人労働者であれば、日本人と同様に対象になります。
外国人雇用で特に活用されやすい国の助成金は、主に次の5つです。
1. 雇用調整助成金
2. トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
3. 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
4. 人材開発支援助成金(特定訓練コース)
5. キャリアアップ助成金(正社員化支援・処遇改善支援)
これらの助成金は、雇用を守る場面、試しに雇う場面、育てる場面、長く働いてもらう場面で、それぞれ役割が異なります。
1. 雇用調整助成金
雇用調整助成金は、景気悪化や業務量の減少などにより事業活動の縮小を余儀なくされた場合でも、従業員の雇用を維持する事業主を支援する制度です。
項目 | 内容 |
目的 | 休業等を通じた雇用の維持 |
対象となる外国人 | 雇用保険に加入している外国人労働者 |
助成額の目安 | 休業手当の一定割合(時期・要件により異なる) |
雇用保険適用事業所であれば、個人事業主でも申請可能です。
2. トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
トライアル雇用助成金は、一定期間の試行雇用を行い、安定雇用につなげることを目的とした制度です。
項目 | 内容 |
目的 | 試行雇用を通じた安定雇用の促進 |
対象となる外国人 | 就労可能な在留資格を持ち、要件を満たす求職者 |
助成額の目安 | 月額最大4万円 × 最長3か月 |
外国人であっても、求職者要件を満たしていれば対象になります。
3. 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
この助成金は、外国人労働者が働きやすい職場環境を整備し、定着を促進することを目的とした制度です。国の助成金の中でも、外国人雇用に特化した数少ないコースです。
項目 | 内容 |
目的 | 外国人労働者の職場定着促進 |
対象となる外国人 | 就労中の外国人労働者 |
助成額の目安 | 最大72万円(要件達成時) |
就業規則の多言語化、相談体制の整備、日本語研修の実施などが助成対象です。
参考:人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
4. 人材開発支援助成金(特定訓練コース)
人材開発支援助成金は、従業員に対して職務に必要な訓練を実施した場合に、その費用や賃金の一部を助成する制度です。
項目 | 内容 |
目的 | 能力開発・生産性向上 |
対象となる外国人 | 雇用保険に加入している外国人労働者 |
助成額の目安 | 訓練費・訓練期間中の賃金の一部 |
外国人従業員への技能研修や日本語研修も、要件を満たせば対象になります。
5. キャリアアップ助成金(正社員化支援・処遇改善支援)
キャリアアップ助成金は、有期雇用やアルバイトなどの非正規雇用者を正社員に転換した場合等に支給される制度です。
項目 | 内容 |
目的 | 非正規雇用者の処遇改善・安定雇用 |
対象となる外国人 | 有期雇用・アルバイト等の外国人労働者 |
助成額の目安 | 正社員化1人あたり数十万円 |
外国人アルバイトを長期雇用したい事業者にとって、活用しやすい制度です。
参考:キャリアアップ助成金(正社員化支援・処遇改善支援)
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外国人を雇うときに使える自治体の助成金
自治体の助成金は10万円以下から100万円程度まで幅がある
平均的には20万円前後の制度が多い
介護や農業など業種を限定したものや、日本語能力向上・技術習得費用を助成する制度が多い
外国人を雇うときに使える自治体の助成金は、各自治体が地域課題に応じて独自に設けている制度です。
人手不足が深刻な分野を中心に、外国人雇用を後押しする内容が多く見られ、制度内容や条件は自治体ごとに大きく異なり、募集期間や対象者、補助対象経費もそれぞれ異なります。
国の助成金に比べると金額は小さめですが、条件が合えば申請しやすく、実務で使いやすいのが特徴です。
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山口県宇部市:宇部市介護人材確保紹介手数料等補助金
この制度は、市内の介護サービス事業所等が、人材紹介会社を通じて介護人材(外国人を含む)を採用した際に発生する費用などを支援するものです。
外国人介護人材の雇用に伴う経費も補助対象となり、介護人材の安定的な確保を目的としています。
項目 | 内容 |
対象となる事業主 | 介護施設/法人 |
補助上限額 | 100万円 |
補助率 | 10/10 |
長崎県南島原市:南島原市外国人雇用支援事業補助金
この制度は、農家の高齢化や後継者不足に対応するため、農業分野で外国人労働者を雇用する事業者を支援する助成金です。
特定技能外国人や技能実習生を農業従事者として雇用する場合が対象になります。
項目 | 内容 |
対象となる事業主 | 当該地域事業者 |
補助上限額 | 20万円 |
東京都葛飾区:葛飾区介護サービス事業所等外国人介護人材雇用定着事業
この制度は、葛飾区内の介護サービス事業所が、外国人介護人材の定着を目的として行う取り組みを支援する助成金です。
研修費や翻訳費、ICT機器の購入費など、現場での定着支援に直接役立つ経費が対象になります。
項目 | 内容 |
対象となる事業主 | 当該地域事業者 |
補助上限額 | 12万円 |
補助率 | 10/10 |
よくある質問
Q:アルバイトやコンビニの外国人雇用でも対象になりますか?
雇用形態や助成金の種類によっては、アルバイトやコンビニでの外国人雇用でも対象になる場合があります。
国の助成金は「外国人であるかどうか」ではなく、「雇用保険への加入状況」や「制度ごとの要件」を基準に判断されます。
そのため、雇用保険に加入しているアルバイトの外国人労働者であれば、キャリアアップ助成金や人材開発支援助成金などの対象になるケースがあります。
Q:外国人雇用助成金は申請から支給まで何ヶ月かかりますか?
助成金の種類や申請時期によって異なりますが、申請から支給まで2〜6か月程度かかるケースが一般的です。
多くの助成金では、取り組み実施後に実績報告を行い、その内容が審査された後に支給されます。そのため、資金繰りを考える際は、後払いであることを前提に計画する必要があります。
Q:介護施設で外国人を雇用する場合も助成金は使えますか?
介護分野は人手不足が深刻なため、国・自治体ともに外国人雇用を支援する制度が多い分野です。
国の助成金に加え、自治体独自の助成金では、外国人介護人材の採用費用、日本語研修費、定着支援費用などが補助対象になるケースがあります。
実際に、自治体助成金では補助上限10万円〜100万円程度の制度が設けられている例もあります。
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監修者からのワンポイントアドバイス
外国人雇用に関する助成金は、「採用すれば自動的にもらえる制度」ではなく、雇用の維持・定着・育成といった取り組みを行った結果として支給される点が重要です。国と自治体の制度を正しく理解し、要件確認と事前計画を行うことが活用成功のカギになります。
