移動スーパーに使える補助金は?自治体と国の制度を分かりやすく解説

移動スーパーを開業する方は、補助金を活用します!本コラムでは、移動スーパーに活用できる国と自治体の補助金を紹介します。
梅沢 博香

更新日:

移動スーパーに使える補助金は?自治体と国の制度を分かりやすく解説

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

ポイント

  • 移動スーパー開業には「自治体の補助金」と「国の小規模事業者持続化補助金」の2種類が使える。
  • 活用しやすいのは自治体の補助金。
  • 自治体に該当制度がない場合は、小規模事業者持続化補助金で広報費やラッピング費を補助できる。

移動スーパーに使える補助金は?

移動スーパーに使える補助金には、地方自治体と国の補助金の2種類があります。このうち、最も活用しやすいのは地方自治体の補助金です。

地方自治体の補助金は、移動販売に特化した制度が多く、対象経費(車両改装・設備・販促費など)が明確で、初めて補助金を使う人でも申請しやすい特徴があります。

国の補助金では 小規模事業者持続化補助金 が移動スーパーと相性が良く、販路開拓や地域の買い物弱者支援につながる取り組みに幅広く活用できます。

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国と地方自治体の補助金の違いは?どちらを使えばいい?

このセクションでは、利用者が「どの補助金を使うべきか」を判断しやすいように、両者の違いを分かりやすく整理します。

地方自治体の補助金

地方自治体の補助金は、移動スーパー向けに設計された制度が多く、次のような特徴があります。

  • 移動スーパー向けに作られた制度が多い
  • 対象経費(車両の改装費・設備費・販促費など)が分かりやすい
  • 地域課題(買い物弱者支援など)に合致すれば採択されやすい

移動販売を始めたい事業者にとって、最も申請しやすい制度です。

国の補助金(小規模事業者持続化補助金)

国の補助金の中では、小規模事業者持続化補助金が最も使いやすい制度です。

  • 対象範囲が広く、販路開拓全般に使える
  • 制度理解や計画書の作成はやや複雑
  • 地域課題の解決(買い物弱者支援)を明確にすると効果的

移動スーパーの「地域密着型サービス」は、審査で好評価を得やすいポイントです。

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どちらを使えばいいの?

移動スーパーに補助金を活用する場合は、優先的に地方自治体の補助金を選択しましょう。自治体の補助金では、移動スーパーに特化した制度が多く、対象経費が明確で申請しやすいからです。

なお、弊社サイトでは移動スーパーに使える自治体補助金を地域から検索できます。該当する制度があるか知りたい方は以下から確認できます。

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移動スーパーに使える地方自治体の補助金

移動スーパーに使える地方自治体の補助金は、最も活用しやすい支援制度です。多くの自治体が、買い物弱者支援や地域の生活インフラ維持を目的に、移動販売の立ち上げを後押ししています。

このセクションでは、検索上位の自治体制度を例に、どんな補助金があるのか・何が対象になるのかをわかりやすく説明します。制度名は自治体によって異なりますが、支援内容は概ね共通しており、全国の自治体で似た制度が実施されています。

福岡県|福岡県移動スーパー参入促進費補助金

福岡県の補助金は、新たに移動スーパー事業へ参入する事業者を支援する制度です。車両の改装や販売用設備の整備など、開業に必要な初期投資を幅広くカバーします。

対象経費補助率対象地域
移動販売車の改装費、什器購入、販促物制作など1/2買い物弱者が多い地域(県内指定エリア)

福岡県では「買い物弱者支援」を重視しているため、申請者は販売ルートの妥当性や地域の実情(人口構成・交通課題など)を計画内で示すことが重要です。地域ニーズに合った運行計画を立てるほど採択の可能性が高まります。
参考:福岡県

南九州市|移動スーパー事業支援補助金

南九州市の補助金は、市内の高齢化が進む地域における移動販売の導入を支援する制度です。車両整備や必要備品、広報費など、開業準備に必要な経費が対象となります。

対象経費補助以下対象地域
車両整備費、備品導入費、チラシ制作費など1/2〜2/3市内の買い物弱者区域

南九州市では、移動スーパーを地域の生活インフラの一部として位置づけている点が特徴です。計画書では、住民との接点づくりや継続運営の仕組みを記載すると、制度目的との整合性が高まります。
参考:南九州市

宮崎県|令和7年度中山間地域移動スーパー等導入支援事業

宮崎県の支援事業は、中山間地域への物資供給を確保するための移動スーパー導入を支援する制度です。販売車両の改装や販売設備の整備など、事業開始に必要な経費が対象です。

対象経費補助率対象地域
移動販売車の導入準備、改装、販売備品など1/2中山間地域の県内指定区域

宮崎県では「中山間地域の生活環境維持」を重視しているため、申請者は対象地域の課題(交通不便・高齢化率など)を明確に示すことが重要です。販売頻度やルート設計など、実現可能性の高い運行計画が求められます。
参考:宮崎県

お住まいの自治体の補助金を探す方法は?

多くの自治体で、移動販売や買い物弱者支援を目的とした同じタイプの補助金が実施されています。制度名は「移動販売支援」「移動スーパー導入支援」「買い物弱者支援」などとさまざまですが、支援内容はほぼ共通しています。最新の募集状況は自治体ごとに異なるため、必ず最新情報を確認してください。

また、弊社サイトでは移動スーパーに使える自治体補助金を地域別に検索できます。

移動スーパーに使える自治体補助金を探す!

移動スーパーに使える国の補助金(小規模事業者持続化補助金)

小規模事業者持続化補助金は、移動スーパーの立ち上げ時に必要な広報・販促活動を補助できる国の制度です。販路開拓に関連する経費が対象となるため、既存事業者が新たに移動販売を始める場合に特に活用しやすい特徴があります。

小規模事業者持続化補助金が使える人の条件

区分該当内容補足
使える人・すでに事業を営んでいる事業者が、新たに移動スーパーを始める場合・移動販売を新しい販路として展開し、広報・販促活動を行う計画がある場合※既存事業の「新しい販路開拓」と認められるため、通常枠で申請可能
使えない人・開業前の創業予定者・従業員数が小規模事業者の要件を超える事業者※商工会議所・商工会の「事業支援計画書(様式4)」が必須のため、開業前の個人は申請不可

使える経費

補助対象経費は、公募要領の区分(広報費・機械装置等費・ウェブサイト関連費など)に基づきます。
移動スーパーで使える主な経費は次のとおりです。

  • 車両ラッピング費(広報費として対象)
  • チラシ・広告・ポスター制作費
  • ホームページ制作費(販売促進を目的とするもの)
  • 看板・のぼり・POPの制作費
  • 販促に必要な備品(機械装置等費に該当するもの)

※重要:車両本体の購入費は補助対象外と公募要領で明確に示されています。
※仕入れや運転費用など日常的経費も対象外です。

補助率・上限額

項目内容補足
補助率2/3赤字事業者は3/4の特例あり
上限額50万円インボイス特例+50万、賃上げ特例+150万OK
必要書類事業支援計画書など商工会議所の発行が必須

採択されるためのポイント

小規模事業者持続化補助金では、計画書の「事業の必要性」「経費の妥当性」「実現可能性」などが審査されます。移動スーパーの場合、次のような点を押さえると評価が高まりやすいです。

  • 地域の買い物弱者(高齢者・交通手段がない世帯など)の実態をデータで示す
  • 販売ルート・対象エリア・想定顧客を具体的に明記する
  • チラシ・ラッピング・HP制作など、経費の使い道が販路開拓に直結していることを説明する
  • 複数見積もりを取得し、経費の妥当性を示す(公募要領で妥当性確認が求められる)
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移動スーパーに補助金を活用する際の注意点

移動スーパーに補助金を活用する際には、制度ごとの条件や扱いが大きく異なるため、事前確認が非常に重要です。補助金は「申請すれば必ず受け取れるもの」ではなく、要件を満たさないと不採択になるケースもあります。このセクションでは、特に注意すべきポイントを整理します。
以下、活用時の4つの注意点です。

  1. 自治体の補助金は毎年内容が変わる
  2. 対象地域が限定されている場合が多い
  3. 車両の“購入”と“改装”で扱いが異なる
  4. 国と自治体の補助金は原則併用できない

1. 自治体の補助金は毎年内容が変わる

自治体の補助金は、年度ごとに募集時期・支援内容・金額が変動します。同じ市区町村でも、前年と条件が異なることが多いため、最新の募集要項を必ず確認する必要があります。

2. 対象地域が限定されている場合が多い

自治体補助金では、買い物弱者が多いエリアだけが対象になるケースが一般的です。
「販売ルートが対象区域に含まれているか」「その区域の実態をどう示すか」が申請の可否に直結します。

3. 車両の“購入”と“改装”で扱いが異なる

補助金の多くは、

  • 車両本体の購入:対象外
  • 車両の改装(棚・冷蔵設備など):対象になることが多い

という扱いになっています。
移動販売車を新規で購入すると補助対象外になりやすいため、経費区分の確認が不可欠です。

4. 国と自治体の補助金は原則併用できない

同じ目的に対して、複数の補助金から重複して支援を受けることは不可とされています。
そのため、移動スーパーで補助金を使う場合は、

  • 自治体の補助金を使うのか
  • 国の補助金(持続化補助金)を使うのか

どちらか1つを選ぶのが基本です。

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よくある質問

移動スーパーに使える補助金について、特に多い質問をまとめて回答します。

Q1:移動スーパーの車両購入に使える補助金はありますか?

自治体によっては車両購入が対象になる場合があります。ただし、国の小規模事業者持続化補助金では車両本体の購入は対象外です。そのため、車両購入を補助対象にしたい場合は、自治体の移動販売支援事業を優先して確認しましょう。

Q2:個人事業主でも申し込めますか?

はい。多くの自治体補助金・小規模事業者持続化補助金は個人事業主も対象です。ただし、持続化補助金の場合は、「すでに開業して事業実態があること(開業届の提出)」が必須です。開業前の個人は申請できません。

Q3:自治体補助金がなかった場合はどうすればいいですか?

国の小規模事業者持続化補助金を使うのが最も現実的です。自治体に移動販売向けの制度がない場合でも、持続化補助金の「販路開拓」の枠を使って、広報費・販促物・ラッピング費などを補助できます。

Q4:国の補助金と自治体の補助金は併用できますか?

原則、併用できません。同じ目的や同じ経費に対して、複数の補助金から重複して支援を受けることは禁止されています。どちらか一つを選んで申請する必要があります。
参考:小規模事業者持続化補助金

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監修者からのワンポイントアドバイス

移動スーパーに活用できる補助金を検討する際には車両本体の購入費用が対象外となっているケースが多く、現実的には改装費用が主な目的となってくることが多いと思われます。特に自治体の補助金では車両本体が対象か否かによって申請する内容も変わってくると思います。まずは公募要領で補助金の経費対象範囲を確認されることをお薦めさせて頂きます。