ドローン導入に「新事業進出補助金」は使える? | みんなの補助金コンシェルジュ

ドローン導入に「新事業進出補助金」は使える?

新事業進出補助金では、ドローンの機体本体は原則として補助対象にならないので、ドローンを活用した新事業に必要な専用システムやソフトウェアなどは、補助対象として認められる可能性があります。本記事では、ドローン関連費用が補助対象になるケースとならないケース、補助率・補助額の目安について解説します。

ドローン導入に中小企業新事業進出補助金は使える?
目次

ドローン本体の購入に新事業進出補助金は使える?

ドローンの機体本体の購入費用を補助金で賄うことは、原則として困難ですが、新事業に必要なシステムやサービスであれば、補助対象として認められる可能性があります。

ドローン関連費用が補助対象外になりやすい理由

「航空機」に該当する可能性がある

公募要領では、「航空機」に係る経費は補助対象外とされています。

ドローンは航空機、または航空機に類するものとして扱われる可能性があるため、この規定に抵触すると考えられます。

「車両及び運搬具」に該当する可能性がある

公募要領では、「車両及び運搬具」に該当する経費も補助対象外です。

ドローンが移動や運搬に使用される機器と判断された場合、この規定によって対象外になる可能性があります。

汎用性が高い機器は対象にならない

パソコンやカメラなど、汎用性が高く、補助事業以外にも使用できる機器は原則として補助対象になりません。

一般的な空撮や撮影に使用できるドローンは、目的外使用が可能な汎用品と判断される可能性があります。

そのため、ドローン本体の導入だけを目的とした申請は、補助対象として認められにくいと考えられます。

ドローン関連費用が補助対象になるケース

ドローンの機体本体ではなく、ドローンを活用した新事業に必要なシステムやサービスであれば、補助対象として認められる可能性があります。

主な対象経費は、以下のとおりです。

専用ソフトウェア・システムの構築費

ドローンで取得した画像や測量データを解析するための専用ソフトウェア、AI解析システム、情報管理システムなどの開発・導入費用は、「機械装置・システム構築費」として対象になる可能性があります。

例えば、以下のようなシステムが考えられます。

  • 空撮画像から建物の劣化箇所を検出するAIシステム

  • 測量データを三次元化する解析ソフトウェア

  • 農作物の生育状況を分析する管理システム

  • インフラ点検データを一元管理するクラウドシステム

ただし、既存事業で使用しているシステムの単なる更新や入れ替えは、原則として補助対象になりません。新事業の実施に必要であることを明確に説明する必要があります。

クラウドサービスの利用料

補助事業のために専ら使用するクラウドサービスの利用料も、補助対象になる可能性があります。

例えば、ドローンで取得したデータを保存・解析するクラウドプラットフォームや、顧客に点検結果を提供するオンラインシステムなどが該当します。

ただし、補助対象となるのは、原則として補助事業期間中に使用した費用です。

技術導入費

新事業に必要な特許権、実用新案権、ノウハウなどを外部から導入する費用も、規定の範囲内で補助対象になる可能性があります。

例えば、ドローン制御技術や画像解析技術に関するライセンス料などが考えられます。

外注費・専門家経費

自社だけでは対応できないシステム開発やデータ解析などを外部事業者へ委託する費用も、補助対象になる可能性があります。

また、ドローンやAI解析に関する専門家から技術指導を受ける場合は、専門家経費として計上できることがあります。

ただし、事業の大部分を外部へ丸投げするような計画は認められにくいため、自社が主体となって新事業を実施する体制が必要です。

ドローン関連事業でいくら補助を受け取れる?

中小企業新事業進出補助金の補助上限額は、企業の従業員数によって異なります。

従業員数

補助金額

補助率

20人以下

750万円~2,500万円
賃上げ特例:3,000万円

1/2
地域別最低賃金引上げ特例を適用する場合は2/3

21~50人

750万円~4,000万円
賃上げ特例:5,000万円

1/2
地域別最低賃金引上げ特例を適用する場合は2/3

51~100人

750万円~5,500万円
賃上げ特例:7,000万円

1/2
地域別最低賃金引上げ特例を適用する場合は2/3

101人以上

750万円~7,000万円
賃上げ特例:9,000万円

1/2
地域別最低賃金引上げ特例を適用する場合は2/3

補助率は原則として1/2です。

一定の要件を満たして地域別最低賃金引上げ特例を適用する場合は、補助率が2/3に引き上げられます。

また、大幅な賃上げに取り組む場合は、従業員数に応じて補助上限額が引き上げられます。

補助下限額は750万円

本補助金の補助下限額は750万円です。

補助率が1/2の場合、原則として1,500万円以上の補助対象経費が必要になります。

申請時に補助額が750万円以上であっても、審査や経費精査によって対象経費が減額され、補助額が750万円を下回った場合は、採択や交付決定が取り消される可能性があります。

そのため、ドローン関連のソフトウェアやクラウドサービスだけで申請する場合でも、一定規模以上の投資計画を立てる必要があります。

【事例】ドローンを活用した新事業の補助イメージ

ドローンを活用した新事業では、どのような経費が補助対象になり、いくら補助を受けられるのでしょうか。

ここでは、AIドローンを活用したインフラ点検サービスの事例を紹介します。

AIドローンによる老朽橋梁の自動点検サービス

企業の概要

従業員15名の建設コンサルタント会社が、新たに地方自治体向けのインフラ点検サービスを開始するケースです。

従業員数が20人以下であるため、通常の補助上限額は2,500万円となります。

新事業の内容

従来は作業員が目視で行っていた橋梁点検に、ドローン撮影とAI画像解析を導入します。

ドローンで撮影した画像から、ひび割れや腐食などの異常をAIが自動で検出し、点検結果をクラウド上で管理できるサービスを地方自治体などへ提供します。

主な補助対象経費

経費の内容

金額

ドローン撮影データを解析するAIシステムの開発費

1,500万円

データ蓄積用クラウドサーバーの利用料

200万円

専門家による技術指導費

100万円

合計

1,800万円

ドローンの機体本体は補助対象に含めず、自社資金で別途購入します。

補助金額の計算

補助対象経費1,800万円に補助率1/2を適用した場合、補助金額は以下のとおりです。

1,800万円 × 1/2 = 900万円

このケースでは、AI解析システムの開発を中心とした新事業であるため、900万円の補助を受けられる可能性があります。

ドローン本体は自社で調達する必要がありますが、費用負担の大きいシステム開発やクラウド環境の構築に補助金を活用することで、新事業の立ち上げコストを抑えられます。

ドローン関連事業で申請する際の注意点は?

ドローンを活用する事業であっても、関連費用がすべて補助対象になるわけではありません。

申請時には、特に以下の点に注意しましょう。

ドローン導入だけでは申請できない

本補助金は、設備やシステムの導入そのものを支援する制度ではありません。

既存事業で使用するドローンを購入したり、これまで人が行っていた撮影業務をドローンに置き換えたりするだけでは、新事業として認められない可能性があります。

既存の製品・サービスとは異なる新たな事業を開始し、新しい顧客や市場へ提供する計画が必要です。

新事業との関連性を明確にする

システムやソフトウェアを申請する場合は、なぜその経費が新事業に必要なのかを明確に説明する必要があります。

事業計画書では、以下の流れを具体的に示しましょう。

  • 現在の事業や経営課題

  • 新たに開始するドローン関連事業

  • 導入するシステムや技術の内容

  • システム導入によって提供できる新しい価値

  • 売上や付加価値額の見込み

単に「業務を効率化できる」という説明だけではなく、新しいサービスの提供や新市場への進出につながることを示すことが重要です。

補助対象になるか事前に確認する

ドローンに関連する経費は、機器の用途や仕様、事業内容によって判断が分かれる可能性があります。

特に、機体に付属するカメラやセンサー、制御装置、周辺機器などは、ドローン本体と一体の設備と判断されることがあります。

対象可否を自己判断せず、申請前に事務局へ確認することが重要です。

まとめ

中小企業新事業進出補助金では、ドローンの機体本体は、航空機や車両及び運搬具、汎用品などに該当する可能性があるため、原則として補助対象になりません。

一方、ドローンを活用した新事業に必要な以下のような経費は、補助対象として認められる可能性があります。

  • AI画像解析システムの開発費

  • 測量・点検データを処理する専用ソフトウェア

  • データ保存・解析用クラウドサービス

  • 技術や知的財産権の導入費

  • システム開発などの外注費

  • 専門家による技術指導費

重要なのは、ドローンの購入を目的とするのではなく、ドローンを活用して新しい製品やサービスを提供する事業計画を立てることです。

ドローン関連費用の対象可否は、機器の仕様や用途によって判断が異なります。

申請を検討する場合は、事務局のコールバック予約システムなどを利用し、具体的な事業内容や導入予定の設備が補助対象になり得るか事前に確認しましょう。

参考:中小企業新事業進出補助金

参考:公募要領

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監修者

監修者からのワンポイントアドバイス

新事業進出補助金ではドローン機体本体は原則対象外となりやすい一方、AI解析等の専用システム開発費やクラウド利用料などが主な対象です。補助下限750万円を満たすドローンを活用した新しいサービスなどを行っていく計画設計が、新事業成功に向けた実務上の鍵となります。

井上 卓也
井上 卓也カミーユ行政書士事務所 代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。 慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。