POSレジ導入に新事業進出補助金は使える?デジタル化・AI導入補助金との違いを解説
POSレジ導入に新事業進出補助金は使えるのでしょうか?本記事では、補助対象となる条件や対象経費、申請時の注意点を解説します。また、デジタル化・AI導入補助金との違いや、どちらを活用すべきかも分かりやすく紹介します。

目次
- ポイント
- POSレジ導入に新事業進出補助金は使える?
- POSレジ導入に新事業進出補助金を使う条件は?
- 新事業として認められる必要がある
- 事業計画の数値目標を達成する必要がある
- 一般事業主行動計画の公表が必要である
- POSレジは新事業専用として利用する必要がある
- POSレジ導入時に新事業進出補助金の補助対象になる経費
- 機械装置・システム構築費
- クラウドサービス利用費
- 据付け・運搬費
- 補助対象外となる経費に注意
- 新事業進出補助金でPOSレジを導入する際の注意点
- 1.交付決定前に契約・支払いをしない
- 2.パソコンやタブレットは対象外になる場合がある
- 3.支払いは銀行振込で行う
- 4.高額な設備は相見積もりが必要になる
- 5.計画した目標を達成できないと返還を求められる場合がある
- POSレジ導入にデジタル化・AI導入補助金とどちらを使うべき?
- 既存事業の効率化やインボイス対応ならデジタル化・AI導入補助金
- 新たな事業への進出なら新事業進出補助金
- よくある質問
- おすすめの人気コラム
ポイント
POSレジは新事業に必要な設備であれば、新事業進出補助金の対象になる可能性がある
既存店舗のレジの買い替えやDX化が目的なら、デジタル化・AI導入補助金の方が適している
POSレジ単体での申請は難しく、建物費やシステム構築費などを含む新事業全体の投資が必要になる
POSレジ導入に新事業進出補助金は使える?
POSレジは、既存事業とは異なる新事業の立ち上げに必要な設備であれば、新事業進出補助金の対象となる可能性があります。
例えば、これまで製造業を営んでいた企業が新たにカフェ事業を始める場合や、卸売業者が一般消費者向けの実店舗を開設する場合には、新事業に必要なPOSレジの導入費用を補助対象経費として申請できるケースがあります。
一方で、既存店舗で使用しているレジの買い替えや、老朽化した設備の更新のみを目的とした導入は補助対象になりません。
新事業進出補助金は、あくまでも新たな市場への進出や事業拡大を支援する制度だからです。
POSレジ導入を補助対象とするためには、以下の要件を満たす必要があります。
POSレジ導入に新事業進出補助金を使う条件は?
POSレジを補助対象とするためには、新事業進出補助金の要件を満たした事業計画を策定する必要があります。
主な条件は以下のとおりです。
新事業として認められる必要がある
新事業進出補助金を利用するためには、導入するPOSレジが「新事業」のための設備であることが前提です。
具体的には、以下の2つを満たす必要があります。
要件 | 内容 |
製品・サービスの新規性 | 自社がこれまで提供したことのない商品やサービスである |
市場の新規性 | 既存事業とは異なる顧客層や市場を対象とする |
例えば、飲食店が新たにテイクアウト専門店を開設する場合は既存事業の延長と判断される可能性があります。
一方で、製造業者が飲食事業へ参入する場合は新事業として認められる可能性が高くなります。
事業計画の数値目標を達成する必要がある
事業者は、3〜5年間の事業計画を策定し、一定の成長目標を達成する必要があります。
主な要件は以下のとおりです。
項目 | 要件 |
付加価値額 | 年平均4.0%以上増加 |
給与支給総額 | 年平均2.5%以上増加(または都道府県の基準以上) |
最低賃金 | 地域別最低賃金+30円以上 |
単にPOSレジを導入するだけでは採択されません。新事業によって売上や生産性を高め、企業全体の成長につなげる計画が求められます。
一般事業主行動計画の公表が必要である
申請する事業者は、次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」を策定し、公表している必要があります。
一般事業主行動計画とは、従業員が仕事と家庭を両立できる職場環境づくりに関する計画です。
申請前に公表が完了していない場合は要件を満たせないため、早めに準備を進めましょう。
POSレジは新事業専用として利用する必要がある
補助金で導入したPOSレジは、原則として補助事業である新事業のために使用しなければなりません。
例えば、新たに開設する店舗向けに導入したPOSレジを既存店舗へ転用したり、複数事業で共用したりすることは認められない場合があります。
事業計画書には、POSレジをどのように活用し、新事業の売上向上や業務効率化につなげるのかを具体的に記載することが重要です。
これにより、POSレジ導入の必要性を審査員へ明確に示せます。
POSレジ導入時に新事業進出補助金の補助対象になる経費
新事業進出補助金では、POSレジ本体だけでなく、システム構築や設置に必要な費用も補助対象となる場合があります。
ただし、すべての関連費用が対象になるわけではありません。ここでは補助対象になる経費を紹介します。
機械装置・システム構築費
POSレジの導入では、「機械装置・システム構築費」として申請できるケースが一般的です。
具体的には、以下のような費用が対象となります。
経費区分 | 内容 |
POSレジ本体 | 専用ハードウェアの購入費 |
POSシステム | ソフトウェアの購入費・構築費 |
カスタマイズ費 | 自社向けに開発・改修する費用 |
例えば、新規出店する店舗向けにPOSレジを導入し、顧客管理や売上分析機能を追加開発する場合は、これらの費用も補助対象となる可能性があります。
クラウドサービス利用費
クラウド型POSレジを利用する場合は、補助事業期間中に発生する利用料も対象となる場合があります。
対象となる経費の例は以下のとおりです。
クラウドPOSサービスの利用料
システム利用に必要なサーバー利用料
POSシステム運用に必要な通信関連費用
ただし、補助対象となるのは補助事業の実施に必要な範囲に限られます。
事業終了後の継続利用費用は対象外となるため注意しましょう。
据付け・運搬費
POSレジを設置する際に必要となる費用も補助対象となる場合があります。
例えば、以下のような費用です。
POSレジの運搬費
設置作業費
初期設定費
配線工事費(軽微なもの)
これらはPOSレジ導入と一体で発生する費用として認められるケースがあります。
補助対象外となる経費に注意
POSレジとして利用する場合でも、汎用性が高い機器は補助対象外となる可能性があります。
主な例は以下のとおりです。
対象外となる例 | 理由 |
パソコン | 他の用途にも使用できるため |
タブレット | 汎用性が高いため |
スマートフォン | 目的外利用が可能なため |
例えば、iPadにPOSアプリをインストールして利用する場合でも、iPad本体は補助対象外となる可能性があります。
そのため、POSレジ導入を検討している事業者は、どの費用が補助対象となるのかを事前に確認したうえで事業計画を作成しましょう。
新事業進出補助金でPOSレジを導入する際の注意点
POSレジを補助金で導入する場合は、通常の設備購入とは異なるルールがあります。
要件を満たしていないと補助対象外になったり、補助金の返還を求められたりする可能性もあるため、事前に確認しておきましょう。
1.交付決定前に契約・支払いをしない
新事業進出補助金では、交付決定前に発生した経費は補助対象になりません。
例えば、採択発表後であっても交付決定前にPOSレジを発注したり、代金を支払ったりした場合、その費用は補助対象外となります。
POSレジの購入や契約は、必ず交付決定通知を受けてから行いましょう。
2.パソコンやタブレットは対象外になる場合がある
POSレジとして利用する場合でも、汎用性の高い機器は補助対象外となる可能性があります。
主な例は以下のとおりです。
対象外となる機器 | 理由 |
パソコン | 他の業務にも利用できるため |
タブレット | 目的外利用が可能なため |
スマートフォン | 汎用性が高いため |
例えば、iPadにPOSアプリを導入するケースでは、アプリ利用料は対象となっても、iPad本体は対象外となる場合があります。
3.支払いは銀行振込で行う
補助対象経費の支払いは、原則として銀行振込で行う必要があります。
現金払いのほか、クレジットカード決済や電子マネー決済、QRコード決済などは認められない場合があるため注意しましょう。
補助金の審査では支払い履歴も確認されるため、証拠書類が残る方法で支払うことが重要です。
4.高額な設備は相見積もりが必要になる
見積額が50万円(税抜)以上となる場合は、原則として3社以上から相見積もりを取得しなければなりません。
また、特別な理由がない限り、最も安い価格を提示した事業者を選定する必要があります。
POSレジだけでなく、システム構築や周辺設備をまとめて導入する場合は金額が高くなりやすいため、早めに見積もりを取得しておくと安心です。
5.計画した目標を達成できないと返還を求められる場合がある
新事業進出補助金では、採択後も事業計画に沿った運営が求められます。
特に以下のような目標を達成できない場合は、補助金の全部または一部の返還を求められる可能性があります。
賃上げ目標
事業場内最低賃金の維持
付加価値額の向上
そのため、POSレジを導入するだけでなく、新事業によってどのように売上や生産性を向上させるのかを現実的な計画として策定することが大切です。
POSレジ導入にデジタル化・AI導入補助金とどちらを使うべき?
POSレジの導入を検討している事業者の中には、「新事業進出補助金とデジタル化・AI導入補助金のどちらを利用すべきか分からない」という方も多いでしょう。
結論として、既存事業の業務効率化やインボイス対応が目的であればデジタル化・AI導入補助金、新たな事業への進出に伴う設備投資であれば新事業進出補助金がおすすめです。
どちらを選ぶべきか迷った場合は、まず「POSレジを何のために導入するのか」を基準に判断しましょう。
判断基準 | デジタル化・AI導入補助金 | 新事業進出補助金 |
主な目的 | 既存事業の効率化・インボイス対応 | 新事業への進出 |
レジの用途 | 既存店舗のDX化・買い替え | 新規事業専用 |
投資規模 | 数十万~数百万円程度 | 1,500万円以上の大型投資向け |
既存事業の効率化やインボイス対応ならデジタル化・AI導入補助金
現在の事業を効率化したい場合は、デジタル化・AI導入補助金の活用が適しています。
例えば、以下のようなケースです。
古いレジをインボイス対応レジへ更新したい
会計ソフトと連携して業務を効率化したい
売上管理や在庫管理をデジタル化したい
複数店舗のデータを一元管理したい
デジタル化・AI導入補助金では、POSレジや券売機などのハードウェアに加え、ソフトウェア導入費や設定費用も補助対象となります。
また、新事業への進出要件がないため、既存店舗のDXを進めたい事業者でも利用しやすい点が特徴です。
新たな事業への進出なら新事業進出補助金
POSレジを新規事業のために導入する場合は、新事業進出補助金の活用を検討しましょう。
例えば、以下のようなケースが該当します。
卸売業者が一般消費者向けの実店舗を開設する
製造業者が自社商品を販売するカフェを開業する
オンライン販売中心だった事業者が実店舗を出店する
新たな顧客層を対象とした店舗事業を始める
新事業進出補助金の特徴は、POSレジ単体ではなく、新事業に必要な設備投資全体を支援する点です。
POSレジのほかにも、
建物費
内装工事費
機械装置費
システム構築費
広告宣伝費
などをまとめて補助対象にできる可能性があります。
大規模な投資を伴う新規事業を計画している場合は、補助額の大きい新事業進出補助金の方が適しているでしょう。
よくある質問
Q:POSレジだけの導入でも新事業進出補助金を利用できますか?
難しいです。新事業進出補助金は補助額の下限が750万円であり、POSレジ単体の導入では要件を満たしにくいためです。通常は建物費や設備投資とあわせて申請します。
Q:新事業進出補助金ではスマレジは補助対象になりますか?
スマレジの利用料は補助対象となる可能性があります。ただし、iPadやパソコンなどの端末本体は原則として補助対象外です。
Q:個人事業主でも新事業進出補助金でPOSレジ導入に補助金を利用できますか?
利用可能です。ただし、申請時点で常勤従業員が1名以上いることなど、補助金の要件を満たす必要があります。
Q:新事業進出補助金ではPOSレジの購入費以外も補助対象になりますか?
対象になります。建物費、機械装置費、システム構築費、広告宣伝費など、新事業に必要な経費を幅広く申請できます。
Q:新事業進出補助金はいつ受け取れますか?
補助金は後払いです。事業完了後に実績報告を行い、審査を経て補助金が支払われます。事業実施中は自己資金や融資で費用を立て替える必要があります。
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監修者からのワンポイントアドバイス
既存店舗のインボイス対応や業務効率化が目的であればデジタル化・AI導入補助金が最適です。一方、異業種への参入や新たな実店舗出店を伴う場合は新事業進出補助金が視野に入りますが、本補助金は下限額が750万円と高額に設定されているため、POSレジ単体ではなく内装工事や大型設備を含めた新事業全体の投資計画として申請する必要があります。

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。 慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
