持続化補助金の賃金引上げ特例とは?アルバイトの扱いや賃上げタイミングを解説
持続化補助金の賃金引上げ特例を活用すると、通常枠の補助上限額が最大250万円まで引き上げられます。本コラムでは、賃金引上げ特例の条件や注意点、必要書類、インボイス特例との併用条件などを分かりやすく解説します。

目次
ポイント
賃金引上げ特例は、一定の賃上げを行う事業者の補助額を引き上げられる制度
バイト・パートも「事業場内最低賃金」の対象になる場合がある
賃上げのタイミングや賃金台帳の管理を間違えると対象外になる可能性がある
持続化補助金の賃金引上げ特例とは?
持続化補助金の賃金引上げ特例とは、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる小規模事業者に対して、補助上限額を引き上げる制度です。
通常枠の補助上限額は50万円ですが、賃金引上げ特例を活用すると、上限額が最大200万円まで拡大します。
さらに、インボイス特例を組み合わせることで、最大250万円まで補助を受けることが可能です。
申請区分 | 補助上限額 |
通常枠 | 50万円 |
賃金引上げ特例 | 200万円 |
賃金引上げ特例+インボイス特例 | 最大250万円 |
この特例は、販路開拓や業務効率化に取り組みながら、従業員の賃上げも進める事業者を支援する目的で設けられています。
例えば、以下のような取組で活用されています。
新しいホームページ制作
ECサイト構築
チラシ・広告制作
店舗改装
自動販売機導入
業務効率化設備の導入
また、賃金引上げ特例を利用する赤字事業者については、補助率が通常の2/3から3/4へ引き上げられる優遇措置もあります。
事業者区分 | 補助率 |
通常事業者 | 2/3 |
赤字事業者(賃金引上げ特例利用) | 3/4 |
持続化補助金では、補助金額だけでなく「賃上げ達成」が重要な要件になります。
そのため、申請時には、
最低賃金の引上げ計画
従業員の給与計画
なども確認した上で申請する必要があります。
持続化補助金の賃金引上げ特例の条件は?
持続化補助金の賃金引上げ特例を利用するには、「事業場内最低賃金を+50円以上引き上げること」が必要です。
この要件を満たすことで、補助上限額の引上げを受けられます。
一方で、要件を達成できなかった場合は、特例分だけでなく補助金全体が対象外になるため注意が必要です。
条件 | 内容 |
最低賃金の引上げ | 申請時より+50円以上 |
地域別最低賃金以上 | 申請時・終了時とも必要 |
従業員がいること | 終了時点で従業員が必要 |
例えば、申請時の事業場内最低賃金が時給1,100円だった場合、補助事業終了時には1,150円以上へ引き上げる必要があります。
また、「基本給+歩合給」の給与体系の場合は、基本給部分で+50円以上引き上げる必要があります。
さらに、申請や実績報告では、以下の書類提出も求められます。
賃金台帳
雇用契約書
労働条件通知書
アルバイトも対象になる
賃金引上げ特例では、アルバイトやパートも対象に含まれます。
「事業場内最低賃金」は、役員や専従者を除く全従業員の中で、最も低い賃金を基準に判定されるためです。
例えば、最も時給が低い従業員がアルバイトの場合、その方の時給を+50円以上引き上げる必要があります。
また、以下のケースにも注意が必要です。
ケース | 注意点 |
最低賃金の従業員が退職 | 次に低い従業員で判定 |
従業員が0人になった | 特例対象外 |
補助事業終了時点で従業員が1人もいない場合は、特例自体が利用できなくなります。
賃金引上げのタイミング
賃金引上げは、「補助事業終了時点」までに完了している必要があります。
実績報告では、終了時点の賃金状況を確認するため、直近1か月分の賃金台帳提出が求められます。
そのため、遅くとも補助事業の最終月には、引上げ後の賃金を実際に支払っている状態にする必要があります。
例えば、
申請時 | 終了時 |
時給1,100円 | 時給1,150円以上 |
のように、終了時点で+50円以上になっていなければなりません。
もし要件未達となった場合は、特例加算分だけでなく、通常枠分も含めて補助金全体が交付対象外となる可能性があります。
そのため、
賃上げ時期
賃金台帳管理
従業員管理
は、事前にスケジュールを立てて進めることが重要です。
賃金引上げ特例とインボイス特例を併用できる条件は?
賃金引上げ特例とインボイス特例は併用可能です。
ただし、それぞれの特例要件を同時に満たす必要があります。
併用すると、通常枠50万円に加えて、
賃金引上げ特例:+150万円
インボイス特例:+50万円
が上乗せされ、補助上限額は最大250万円になります。
併用時の主な条件
特例 | 主な条件 |
インボイス特例 | インボイス発行事業者として登録 |
賃金引上げ特例 | 最低賃金を+50円以上引上げ |
インボイス特例では、免税事業者からインボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)へ登録していることが必要です。
一方、賃金引上げ特例では、補助事業終了時点で、
事業場内最低賃金を+50円以上引き上げている
従業員が在籍している
地域別最低賃金以上を支払っている
ことが求められます。
併用時の補助上限額
申請区分 | 補助上限額 |
通常枠 | 50万円 |
賃金引上げ特例 | 200万円 |
賃金引上げ特例+インボイス特例 | 最大250万円 |
例えば、
ホームページ制作
ECサイト構築
広告出稿
店舗改装
など、販路開拓費用が大きい事業では、特例併用によって自己負担を大きく抑えられる可能性があります。
ただし、注意点もあります。
特に重要なのが、賃金引上げ要件を達成できなかった場合です。
賃金引上げ特例では、「+50円以上」の要件を満たせないと、特例加算分だけでなく、補助金全体が交付対象外となる可能性があります。
そのため、
賃上げ時期
従業員管理
賃金台帳管理
を事前に整理したうえで申請することが重要です。
賃金引上げ特例の必要書類
賃金引上げ特例を利用する場合は、「実際に賃上げを行ったこと」を証明する書類提出が必要です。
特に重要なのは、
賃金台帳
雇用条件書類
の2つです。
事務局は、これらの書類をもとに、「事業場内最低賃金が+50円以上引き上げられているか」を確認します。
もし要件達成が確認できない場合は、特例加算分だけでなく、補助金全体が交付対象外となる可能性があります。
賃金台帳

賃金台帳は、「実際に引上げ後の賃金を支払っているか」を確認するために提出します。
提出対象は、役員や専従者を除く全従業員です。
実績報告では、補助事業終了時点における「直近1か月分」の賃金支払い状況が確認できる賃金台帳を提出します。
また、賃金台帳と雇用条件書類の内容に矛盾がないことも重要です。
例えば、
雇用契約書:時給1,150円
賃金台帳:時給1,100円
となっている場合は、要件未達と判断される可能性があります。
そのため、
賃上げ時期
賃金台帳
雇用契約書
をあわせて管理しておくことが重要です。
雇用条件書類賃金
雇用条件書類は、「賃上げ後の労働条件」を確認するために提出します。
主に以下の書類が対象です。
雇用契約書
労働条件通知書
提出時には、以下の点に注意が必要です。
確認ポイント | 内容 |
対象範囲 | 全従業員分が必要 |
賃上げ後条件 | 引上げ後の金額を記載 |
最低賃金 | 地域別最低賃金以上 |
また、「基本給+歩合給」の給与体系の場合は、歩合給を除いた「基本給部分」で+50円以上引き上げる必要があります。
例えば、
申請時 | 終了時 |
基本給1,100円 | 基本給1,150円以上 |
のように、基本給ベースで確認されます。
持続化補助金の賃金引上げ特例を利用する際の注意点
賃金引上げ特例は補助上限額が大きく増える一方で、通常枠より厳しい要件があります。
特に注意したいのは、「賃上げ要件を満たせないと、補助金全体が対象外になる可能性がある」という点です。
そのため、
賃上げ時期
判定対象となる従業員
必要書類
を事前に整理しておくことが重要です。
賃上げ要件未達は補助金全体が対象外になる
賃金引上げ特例では、補助事業終了時点までに「事業場内最低賃金を+50円以上」引き上げる必要があります。
要件を満たせなかった場合は、特例加算分だけでなく、補助金全体が対象外となる可能性があります。
ケース | 判定 |
時給を40円しか上げていない | 要件未達 |
引上げ予定のみで未支給 | 要件未達 |
終了時点で従業員が0人 | 対象外 |
補助事業終了直前ではなく、余裕を持って賃上げを進めることが重要です。
退職や最低賃金改定にも注意する
申請時に最も低い時給だった従業員が退職した場合は、「次に低い従業員」が判定対象になります。
例えば、
申請時:アルバイトAが最低時給
途中退職:Aが退職
終了時:パートBが最低時給
となった場合は、Bさんの賃金が「申請時の最低賃金+50円以上」になっている必要があります。
また、地域別最低賃金の改定にも注意が必要です。
毎年10月頃は最低賃金が引き上げられるため、「50円上げたが最低賃金を下回った」というケースもあります。
さらに、「基本給+歩合給」の場合は、歩合ではなく「基本給部分」で50円以上引き上げる必要があります。
ケース | 判定 |
基本給据え置き+歩合増加 | 対象外の可能性 |
基本時給を50円アップ | 要件達成 |
実績報告では、以下の書類提出も必要です。
賃金台帳
雇用契約書
労働条件通知書
特に、賃上げ後の内容が書類へ正しく反映されているか確認しておきましょう。
よくある質問
Q:小規模事業者持続化補助金の賃金引上げ特例とは何ですか?
事業場内最低賃金を50円以上引き上げる事業者に対して、補助上限額を引き上げる制度です。
通常枠の補助上限は50万円ですが、賃金引上げ特例を利用すると最大200万円、インボイス特例と併用すると最大250万円まで補助上限額が拡大します。
また、赤字事業者は補助率が2/3から3/4へ引き上げられる場合があります。
Q:賃金引上げ特例はアルバイトも対象になりますか?
はい、アルバイトやパートも対象です。
「事業場内最低賃金」は、役員や専従者を除く全従業員が対象となります。
そのため、最も低い時給の従業員がアルバイトの場合は、その方の時給を50円以上引き上げる必要があります。
Q:賃金引上げ特例は全従業員の賃上げが必要ですか?
全従業員の賃上げは必須ではありません。
ただし、「事業場内で最も低い賃金」を50円以上引き上げる必要があります。
また、最低賃金だった従業員が退職した場合は、「次に低い従業員」が判定対象になります。
実績報告では、役員・専従者を除く全従業員分の賃金台帳提出が必要です。
Q:2026年の場合、賃上げはいつまでに行う必要がありますか?
原則として、補助事業終了時点までに賃上げを完了している必要があります。
実績報告では、補助事業終了時点の賃金台帳提出が求められるため、最終月には引上げ後の賃金を実際に支払っている状態にしておく必要があります。
要件未達の場合は、特例加算分だけでなく、補助金全体が対象外となる可能性があるため注意しましょう。
おすすめの人気コラム

監修者からのワンポイントアドバイス
本補助金の賃上げ特例ですが全従業員の賃上げは必須ではありません。ただし、事業場内で最も低い賃金を50円以上引き上げる必要があります。また、最低賃金だった従業員が退職した場合は、次に低い従業員が判定対象になります。雇用契約書や賃金台帳等の必須資料が必要ですので準備しましょう。

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。 慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
