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介護施設も業務改善助成金を使える!対象設備や活用事例を分かりやすく解説

業務改善助成金は、スタッフの賃金(事業場内最低賃金)の引上げと生産性を向上させる設備投資を行いたい事業者が使える制度です。本コラムでは、介護施設(医療・福祉業)が業務改善助成金を活用する場合の条件や事例などを紹介します。

介護施設も業務改善助成金を使える!対象設備や活用事例を分かりやすく解説
目次

ポイント

  • 業務改善助成金は、最低賃金の引き上げと設備投資を支援する制度

  • 助成対象となる設備は生産性アップを目的としたもの

  • 介護施設では電動式ベッドや勤怠・給与管理システムなどの導入に活用できる

美容室も使える!業務改善助成金とは?

業務改善助成金の概要.png

業務改善助成金は、中小企業が賃上げと設備投資を同時に行う場合に、その費用の一部を支援する制度です。

店舗内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を50円以上引き上げることと、生産性向上につながる設備投資を行うことが主な条件です。

例えば、美容室の場合、最低賃金を引き上げたうえで、POSレジや業務用洗濯乾燥機などの業務効率化につながる設備を導入する時に活用できます。

助成される金額は設備投資費用の一定割合で、最大600万円まで支給される可能性があります。

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参考:業務改善助成金

業務改善助成金に申請できる介護施設の主な条件

介護施設が業務改善助成金に申請するためには、賃上げと生産性向上の取り組みを行うなど、いくつかの条件を満たす必要があります。

主な条件は次の4つです。

  1. 中小企業・小規模事業者であること

  2. 雇入れから6か月以上の労働者がいること

  3. 賃上げと設備投資の計画があること

  4. 解雇や賃金引き下げなどの不交付事由がないこと

1.中小企業・小規模事業者であること

介護施設を運営する事業者が、中小企業または小規模事業者である必要があります。

ただし、大企業の子会社など「みなし大企業」に該当する場合は対象外となります。

2.雇入れから6か月以上の労働者がいること

事業場内最低賃金の引き上げ対象となる従業員が、申請時点で雇入れから6か月以上経過していることが必要です。

  • 地域の最低賃金未満であること

  • 美容室で最も低い時給(事業場内最低賃金)と、都道府県ごとの地域別最低賃金との差が50円以内であること

が、条件です。

3.賃上げと設備投資の計画があること

業務改善助成金では、

  • 事業場内最低賃金を50円以上引き上げること

  • 生産性向上につながる設備投資を行うこと

の両方を計画して申請する必要があります。

4.解雇や賃金引き下げなどの不交付事由がないこと

過去に、解雇や不当な賃金引き下げなどの問題がある場合は、助成金が支給されない可能性があります。

なお、業務改善助成金は介護施設の店舗(事業場)単位で申請します。

同じ年度に同じ店舗で申請できる回数は原則1回までです。

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介護施設で業務改善助成金の対象になる設備は?

業務改善助成金の対象となる設備は、生産性向上につながるものに限られます

「導入によって作業時間が短縮されるか」「人員配置が効率化するか」という点が基準になります。

そのため、生産性向上につながらない、単なる老朽化による買い替えは対象外です。

以下では、実際に介護・福祉現場で導入事例のある設備をカテゴリー別に整理します。

1. 介護・移動・診療支援設備

介護職員の身体的負担を減らし、作業時間を短縮する設備が対象になります。

設備例

改善効果

福祉車両(リフト付き等)

送迎時間の短縮・人員削減

電動式ベッド

移乗介助を2人→1人に

歯科用ユニット等

診療・清掃時間の短縮

たとえば、リフト付き福祉車両を導入すると、車椅子利用者の乗降時間が大幅に短縮されます。

1回あたり5分短縮できれば、1日10回の送迎で50分の削減になり、年間稼働250日とすると、約200時間以上の業務削減につながります。

2. ICT・管理システム

事務作業の自動化や情報共有の効率化も対象になります。

システム例

改善効果

勤怠・給与管理システム

事務作業時間の削減

診療予約管理システム

受付業務の効率化

WEB会議システム

移動時間の削減

勤怠管理を手入力からシステム化することで、月20時間かかっていた集計作業が5時間に短縮されるケースも。年間では約180時間の削減されます。

業務改善助成金では、こうした時間削減の根拠を示すことが重要になります。

3. 清掃・衛生・調理設備

施設内の環境維持にかかる負担を軽減する設備も対象です。

設備例

改善効果

自動床掃除機

広いフロアの清掃時間短縮

食器洗浄機

手洗い作業の削減

非接触型検温器

検温業務の自動化

たとえば、自動床掃除機を導入すると、1日1時間かかっていた清掃が30分に短縮される場合があります。

年間では約120時間の削減となり、その分を利用者対応に充てることが可能になります。

4. 共通設備・その他

  • POSレジシステム

  • 自動釣銭機

  • 生産性向上を目的としたレイアウト変更

パソコンや車は原則対象外

業務改善助成金では、パソコン・タブレット・スマートフォン、自動車などは原則として助成対象外とされています。

ただし、一定の条件を満たす特例事業者に該当する場合、通常は対象外の設備でも助成対象になる可能性があります。

設備

対象となる条件

パソコン・タブレット

新規導入であり、業務改善に直接必要な場合

自動車(貨物車など)

用途や価格などの条件を満たす場合

特例事業者に該当すれば、事務所で使うパソコンやタブレットが対象となるケースがあります。

特例事業者の要件には、次のような条件があります。

  • 事業場内最低賃金が地域別最低賃金+50円以内

  • 原材料費や光熱費の高騰などの影響を受けている

設備導入のタイミングは?

業務改善助成金では、設備の導入は申請し、採択された後に行います。

助成対象となる設備は、次の流れで導入する必要があります。

  1. 労働局へ助成金を申請

  2. 交付決定を受ける

  3. 設備の発注・契約・支払い

  4. 設備導入と賃上げの実施

交付決定を受ける前に設備を購入した場合、原則として助成対象にはなりません。

また、業務改善助成金は過去に利用した事業者でも、条件を満たせば再度申請できる制度です。

設備更新や新しいシステム導入を検討している美容室は、制度を活用できる可能性があります。

制度の詳細や最新の公募内容については、各都道府県の労働局の案内を確認してください。

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介護施設の業務改善助成金の活用事例

以下では、賃上げと生産性を上げるための設備を導入した飲食店の事例を紹介します。

介護施設における業務改善助成金の活用事例を、6つご紹介します。

事例1:福祉車両(リフト付・スロープ付)の導入事例

項目

内容

事業者

介護施設(通所介護事業)

導入前の課題

利用者の送迎に多くの時間がかかり、乗り降りの際に複数の従業員で対応しなければならなかったため、人員配置の負担が大きかった。

活用内容

業務改善助成金を活用し、車椅子に乗ったままスムーズに昇降できる「引き上げリフト付き」や「スロープ付き」の福祉車両を導入した。

導入後の成果

送迎にかかる人員を削減でき、全体の送迎時間も短縮されたことで、他の介護業務へ人員を充てられるようになるなど生産性が向上した。

事例2:電動式ベッド(調節機能付)の導入事例

項目

内容

事業者

介護施設(通所介護事業)

導入前の課題

利用者の移乗や起き上がり補助を複数名で行う必要があり、職員の身体的負担が大きく、効率的に作業を進めることが困難だった。

活用内容

助成金を活用して、高さ調節機能などが備わった最新の電動式ベッドを導入した。

導入後の成果

ベッドの高さを最適に調節できるようになったことで、従来は複数名で行っていた介助が1人でスムーズに行えるようになり、作業効率が大幅に向上した。

事例3:自動床掃除機の導入事例

項目

内容

事業者

介護・福祉施設

導入前の課題

施設内の全フロアを手作業で掃除機・モップがけしていたため膨大な時間を要していた。また、バケツの水を何度も交換する重労働により、職員の体力消耗が激しかった。

活用内容

業務改善助成金を活用し、広いフロアを自動で清掃できる「自動床掃除機」を導入した。

導入後の成果

床掃除にかかる時間が大幅に短縮され、職員の身体的負担の軽減と安全確保(転倒リスク防止)につながった。空いた時間を他の専門的なケア業務に充てることが可能になった。

これらの事例のように、介護現場特有の「身体的負担」や「移動・清掃にかかる時間」を、機械や設備の力で解決することが生産性向上と認められ、助成の対象となります。

この他にも、「就労管理システム」による事務作業の自動化や、「コードレス清掃機器」による医療・福祉現場での作業効率化などの事例もあります。

事例4:就労管理システムの導入による事務作業の自動化

項目

内容

事業者

医療・福祉業

導入前の課題

職員の勤怠情報を手作業で入力しており、給与計算などの事務作業に多大な時間と人為的ミスのリスクがあった。

活用内容

業務改善助成金を活用して就労管理システムを導入し、勤怠情報の自動記録と給与計算の自動化を図った。

導入後の成果

事務職員の作業時間が1カ月あたり約2日短縮され、ミスも減少。労働能率の増進が図られた。

事例5:コードレス清掃機器による医療・福祉現場の効率化

項目

内容

事業者

医療福祉

導入前の課題

コードの差し替え作業が職員の負担となっていた。また、点滴台やモニターを使用する患者がいる現場では、コードが安全上の懸念となっていた。

活用内容

コードレスポリッシャー、コードレスウェットバキューム、コードレス送風ファンを導入し、ワイヤレスでの作業環境を整えた。

導入後の成果

コードの差し替え負担が解消され、患者の安全性も向上。3日間で1病棟分だった作業が2病棟分可能になるほど作業効率が上昇した。

事例6:WEB会議システムと自動検温器による業務の質向上

項目

内容

事業者

医療・福祉業

導入前の課題

来所者の検温に職員を配置する必要があり、負担が大きかった。また、関係者を個別に訪問して協議していたため、移動に多くの時間を費やしていた

活用内容

WEB会議システム非接触型自動検温器を導入し、コミュニケーションと検温業務をデジタル化した。

導入後の成果

移動時間が大幅に短縮され、録画機能で内容の事後確認も可能に。入口への職員配置も不要になり、空いた時間を他の重要な業務に充てられるようになった。

これらの事例に共通するのは、「これまで手作業や移動に費やしていた時間」をITや最新機器で削減し、その分を本来のケアや専門業務に振り向けている点です。

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よくある質問

介護施設が業務改善助成金を活用するとき助成対象となるものは?

介護施設(医療・福祉業)では、生産性向上につながる設備投資等が助成対象になります。

生産性向上につながらない、単なる老朽化による買い替えは対象外でなのでご注意ください。

一方で、通常のパソコンやタブレット、一般的な乗用車は原則対象外です。

ただし、原材料費高騰の影響を受けた特例事業者に該当する場合は、一定条件のもと対象となることがあります。

業務改善助成金の支給額はいくらですか?

業務改善助成金は、最大600万円まで受け取れる可能性があります。

ただし、この金額はすべての事業者が受け取れるわけではなく、賃金の引き上げ額や人数などの条件によって支給額が決まります。

業務改善助成金の支給額は、次の計算で決まります。

設備投資額 × 助成率
または
助成上限額

このうち、金額が低い方が実際の助成額になります。

助成率は、事業場内最低賃金によって異なります。

事業場内最低賃金

助成率

1,000円未満

4/5

1,000円以上

3/4

たとえば、設備投資額が200万円で助成率3/4の場合、理論上の助成額は150万円になります。

助成金には上限額があり、賃金の引き上げ額(50円〜90円)と人数によって決まります。

介護事業における業務改善とは具体的に何ですか?

介護事業における業務改善とは、設備やシステムの導入によって生産性を高め、職員の負担を軽減することを指します。

具体的には次のような改善です。

効果

事例

作業時間の短縮

・リフト付き車両で送迎時間を短縮・食洗機導入で手洗い作業を削減

人員配置の効率化

・電動ベッド導入により移乗介助を2人から1人へ・空いた人員を利用者ケアへ再配置

身体的負担の軽減

・自動床掃除機で広いフロア清掃を自動化・コードレス機器で転倒リスクを軽減

事務作業の自動化

・勤怠管理システムで給与計算ミスを削減・手入力時間を大幅短縮

移動コストの削減

・WEB会議活用で訪問回数を減少

これらの結果、空いた時間を本来のケア業務やサービス向上に充てられることが、業務改善助成金の目的です。

参考:業務改善助成金

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監修者

監修者からのワンポイントアドバイス

深刻な人手不足が続く介護現場で、賃上げと負担軽減を両立する本助成金は極めて有効です。リフト車やICT導入は時間削減効果を数値化しやすく、目に見える形となります。交付決定前の発注は厳禁です。現場のニーズに即した計画で、職場環境の改善と経営基盤の強化を同時に進めましょう。

井上 卓也
井上 卓也カミーユ行政書士事務所 代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。 慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。