建設業向け新事業進出補助金の活用法
本記事は、新事業進出補助金を活用して建設業の新たな事業展開を実現するための方法を解説。
補助金の概要、申請要件、成功事例を詳しく解説し、具体的な申請方法やポイントを紹介します。

この記事を監修した専門家

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。
慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
建設業において新事業進出補助金はおすすめ?
建設業にとって、新事業進出補助金はとても大切だといえます。
その理由は5つあります。
- 初期投資が大きい業種だから
- 技術革新への対応が求められるから
- 市場の変化に迅速に対応する必要があるから
- 人材確保・育成が急務だから
- 災害対策・環境対応が求められているから
1.初期投資が大きい業種だから
建設業は、事務所や倉庫、重機、工具など、事業運営に必要な初期投資額が他業種に比べて大きくなりがちですよね。
たとえば、太陽光発電の設置事業に進出する場合でも、土地整備、設備設置、作業員の配置まで多額の費用が必要です。
補助金を活用することで、この初期投資負担を大幅に軽減できます。
2.技術革新への対応が求められるから
建設業にもDX(デジタル・トランスフォーメーション)の波が押し寄せており、クラウド管理システムやドローン、BIM(建築情報モデリング)などの導入が加速しています。
しかし、こうした新技術を導入するには専門的な知識と設備投資が不可欠です。
補助金を活用すれば、最新技術を積極的に導入し、競争力を維持・強化することが可能です。
3.市場の変化に迅速に対応する必要があるから
近年では、建設需要が都市部から地方へ、あるいは国内から海外へと移行する傾向があります。
また、再生可能エネルギーやリノベーション、インフラ整備といった新たな市場が拡大する中、既存のビジネスモデルだけでは対応しきれない場面も増えています。
補助金はこうした市場変化に迅速かつ柔軟に対応するための資金源として有効です。
4.人材確保・育成が急務だから
建設業界は高齢化が進んでおり、若年層の人材確保が差し迫った課題です。
補助金を活用すれば、資格取得支援や研修費用、働きやすい職場環境の整備など、人材育成に必要な投資を積極的に行うことが可能です。
5.災害対策・環境対応が求められているから
日本は災害大国。建設業者は災害復旧や防災設備の設置において重要な役割を担います。
国や自治体もこうした対応に積極的で、関連する補助金制度を数多く用意しています。
また、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みも進んでおり、環境配慮型建築や省エネ設備への投資にも補助金が活用されています。
新事業進出補助金って何?
新事業進出補助金は、中小企業が持続的な成長を遂げるために、新規事業の立ち上げや異業種への参入、新市場開拓といったチャレンジを支援する目的で設けられました。
既存事業に依存し続けることなく、多角的な経営を可能にすることで、企業の競争力を高めることが狙いです。
参考:新事業進出補助金
新事業進出補助金の特徴とは
新事業進出補助金には下記のような特徴があります。

地域経済との連携を重視
新事業の計画において、地域資源やニーズとの親和性が重視されるため、地方自治体や地元の金融機関、支援機関との連携が奨励されます。
これにより、単なる事業の新設にとどまらず、地域との共存共栄が図られます。
建設業と補助金の親和性
建設業は、以下のような理由から補助金との親和性が高い業種といえます。
- 技術革新の導入にハードルがある
- 資本集約型であるため初期投資が大きい
- 人材育成や資格取得に時間とコストがかかる
- 長期的な設備活用が前提で投資回収期間が長い
- 地域密着型経営が多く、外部環境の影響を受けやすい
これらの課題を補助金によりカバーすることで、企業は成長のための新たな一歩を踏み出しやすくなるでしょう。
持続可能な成長のための投資支援になる
補助金制度は一時的な経営支援ではなく、将来に向けて自律的に成長する企業づくりをサポートする仕組みです。
新規事業への挑戦を通じて、収益構造の強化・人材育成・地域との連携などが進めば、企業は外的要因に左右されない強固な経営基盤を確立できます。
対象事業者は?
新事業進出補助金の対象事業者は、企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行う中小企業や個人事業主が対象です。
ただし、従業員がいない個人事業主は賃上げ要件を満たさないため、補助対象外となります。
参考:新事業進出補助金(公募要領pdf)
新事業進出補助金の補助対象経費
補助対象となる経費には、設備投資(機械導入や建物の改修)、広告費、研究開発費などが含まれます。
補助金の金額や対象経費は事業内容により異なりますが、以下のような費用が対象となります。
- 構築物費
- 建物費(新設・改修)
- 知的財産取得費、広告宣伝費
- 機械装置費・システム構築費
- 技術導入費、専門家経費、運搬費
- クラウドサービス利用料、外注費
建設業者にとっては、施工拠点や作業場の建設・改修費用が補助対象に含まれるのがポイントです。
従来の補助制度にはなかったメリットといえます。
建設業者にとっては、「建物費が比較的柔軟に補助対象になる」新事業進出補助金の方が実用的な場面が多いといえるでしょう。
参考:新事業進出補助金(はじめての方)
新事業進出補助金の補助金額は?
補助金額は従業員数に応じて以下のように設定されており、最大で9,000万円の補助が受けられます。
- 従業員数20人以下 最大2,500万円
- 従業員数21~50人 最大4,000万円
- 従業員数51~100人 最大5,500万円
- 従業員数101人以上 最大7,000万円
また、補助下限は750万円です。
たとえば、従業員数20人以下の企業は最大2,500万円の補助を受けることが可能です。
その目的は、中小企業が新たな製品やサービスを開発し、これまでに取り組んでこなかった市場へ進出することを支援すること。
これにより、企業規模の拡大や生産性の向上、賃上げの実現を目指しているのです。
参考:新事業進出補助金(はじめての方)
対象となる可能性のある事業例には何がある?
建設業が新事業進出補助金の対象となる事業例について、下記のような例があります。
- 海外進出に伴う事業拠点の開設や販路開拓
- 建築資材のリサイクルを行う環境ビジネス
- 建設現場のDX化を推進するアプリ・システム開発
- 建設技術を活かした再生可能エネルギー分野(太陽光設備の施工・保守など)
建設業と補助金は切っても切れない関係!
建設業は変化が激しい環境にあるからこそ、柔軟で戦略的な資金調達が必要です。
補助金はその手段のひとつとして効果的であり、事業拡大、新分野への挑戦、人材育成、環境対応など、さまざまな課題解決に役立ちます。
「補助金は面倒だから…」と敬遠していた方も、この機会にぜひ制度の内容を確認し、自社に合った活用方法を検討してみてください。
【無料】御社に合った補助金・助成金を診断! 経済環境の変化と中小企業の課題
近年、物価高や人手不足などの厳しい経営環境が中小企業に影響を与えています。
これに対処するため、政府は中小企業の稼ぐ力を強化するための政策を推進しています。具体的には、以下のような施策が考えられるでしょう。
補助金制度が充実する
新事業進出補助金のような制度を通じて、中小企業が新たな事業に挑戦する際の負担を軽減し、成長を促進します。
賃上げアップ
新事業進出補助金の要件には、賃上げを実現するための条件が含まれており、企業が持続的に成長するためのインセンティブを提供しています。
新事業進出補助金の公募スケジュール
新事業進出補助金の第1回公募は2025年6月17日に開始され、締切は7月10日(締切の延長により7月15日まで開催)でした。
また、第2回公募スケジュールについては、公募期間が2025年9月12日〜2025年12月19日となっています。
申請受付開始日は11月10日となっていますが、申請締切日は現在発表されていません。
今後締切日や追加情報が出る可能性が高いので、公式サイト等でチェックすることをおすすめします。
参考:新事業進出補助金(公募スケジュール)
新事業進出補助金の申請方法と必要なものについて
申請は電子申請システムを通じて行われ、事前にGビズIDプライムアカウントの取得が必要です。
また、事業計画の策定にあたっては、既存事業とは異なる市場への進出や高付加価値性の創出が求められます。
参考:新事業進出補助金(公募要領pdf)
申請受諾率を上げるためのポイント
申請が通るためには、専門家の支援を受けると良いでしょう。
補助金申請や事業計画の策定において、経験豊富な専門家の助言を受けることが推奨されており、申請の成功率を高めることができます。
おわりに
中小企業新事業進出補助金は、建設業者がこれまでの枠を超えて新たな領域に挑戦するための力強い支援策です。
- 収益納付不要
- 最大9,000万円の補助
- 建物費が補助対象(これは業界にとって大きなメリット)
これまでコストやリスクを理由に新事業への挑戦を躊躇していた方にとって、この補助金制度は大きな後押しになるでしょう。
中小企業新事業進出補助金は、建設業者が将来的に安定した経営基盤を築くための突破口となる制度です。
特に、建設業にとっては建物費が補助対象に含まれるという点で、他の補助金制度と比べて圧倒的なアドバンテージを持っています。
新たな市場や業種への挑戦は、企業にとっての大きな転機です。
このチャンスを逃さず、専門家のサポートを得ながら、ぜひ補助金の活用をご検討ください。
「まずは相談してみたい」という事業者は、ぜひ気軽に相談してみてください。
監修者からのワンポイントアドバイス
建設業の事業者の方にとっては建設機械や建物費は高額な投資になるケースが多く、補助金を是非とも検討して設備投資の負担を軽減したいところです。
本補助金以外にも活用できる補助金も多数あるので是非専門家にご相談下さい。