目次
- 骨髄バンクとドナー制度の概要
- ドナー制度の主な要件
- 2026年のトピック~登録プロセスの簡略化
- 骨髄ドナー助成金とは?
- 骨髄ドナー助成金の標準的な内容(2026年現在)
- ■【地域別】主要自治体の導入・支給事例
- 助成金の対象となる通院・入院の具体例と必要日数の目安
- 助成金制度が作られた背景
- ①善意だけでは超えられない経済的・時間的負担
- ②職場の理解とドナー休暇の不足
- ③若年層ドナーの減少と卒業への危機感
- 骨髄ドナー助成金を利用する流れ
- ①骨髄バンク登録
- ②適合通知
- ③提供・申請・受給まで
- 【スムーズに受給するために】申請時の必要書類チェックリスト
- ご注意
- 自分の自治体が助成金制度を導入しているか調べる方法
- 導入する企業が急増中!ドナー休暇制度とは?
- 骨髄ドナー助成金に関するよくある質問
- Q1. 誰でも申請できる?
- Q2. 会社員でも対象?
- Q3. 確定申告は必要?
- Q4. 過去に一度助成金をもらっていても、2回目の提供でまた申請できる?
- Q5. 企業向けの助成金は、企業にとってどんなメリットがある?
- 関連コラム一覧
骨髄バンクとドナー制度の概要
白血病
再生不良性貧血
などの血液疾患の治療には、
末梢血幹細胞移植
健康な造血幹細胞を移植する骨髄移植
が有効です。しかし、移植を行うには白血球の型(HLA型)が一致しなければならず、その確率は
兄弟姉妹で4分の1
血のつながりのない他人だと数百〜数万分の1
と非常に低確率です。
善意のドナー
移植を必要とする患者さん
を結びつける公的な仕組みが日本骨髄バンクです。

出典:骨髄バンクについて
ドナー制度の主な要件
登録できる年齢→18歳〜54歳(健康な方に限る)
提供回数の制限→ドナーの安全を守るため、生涯で最大2回まで
実際に提供できる年齢→ 20歳〜55歳(55歳の誕生日で自動的に登録取り消しとなる)
提供方法→全身麻酔をして骨盤の骨(腸骨)から骨髄液を採取する骨髄提供と、薬で造血幹細胞を血液中に増やして成分献血のように採取する末梢血幹細胞提供の2種類があり、最終的にはドナーの意思で選択・同意する。
2026年のトピック~登録プロセスの簡略化
従来の腕からの採血による登録に加え、綿棒で口の中の粘膜をこするだけのスワブ登録(トライアル)が本格化するなど、若い世代がより気軽にドナー登録できるような間口の拡大が進んでいます。
骨髄ドナー助成金とは?

骨髄ドナー助成金とは、骨髄バンクを通じて
骨髄
末梢血幹細胞(まっしょうけつかんさいぼう)
を提供したドナー(およびその勤務先)に対して、自治体から支給される公的な経済支援金のことです。
治療や手術にかかる医療費自体は患者側が負担するためドナーの自己負担はありませんが、提供にあたっては、事前の
入院
健康診断
などで合計7〜10日前後の仕事を休む必要が出てきます。その間の
交通費
収入減少
などの自己負担をカバーするために作られた制度です。
参考:ドナーをサポートするしくみ | 自治体・民間団体による助成制度
骨髄ドナー助成金の標準的な内容(2026年現在)
現在、全国の多くの市区町村で導入が進んでおり、標準的な支給額は以下のようになっています。
対象 | 支給額の目安 | 条件・上限 |
ドナー本人 | 1日あたり 20,000円 | 通院・入院の日数に応じて最大7日間(計14万円)まで |
勤務先(事業主) | 1日あたり 10,000円 | ドナーが休業した日数に応じて最大7日間(計7万円)まで |
※お住まいの自治体(一自治体のみ)へ、提供完了から原則1年以内に申請する必要があります。
※事業主への助成は、社員がドナー休暇を取得しやすい環境を作った企業への奨励金・補償という意味合いがあります。
■【地域別】主要自治体の導入・支給事例
骨髄ドナー助成金は自治体ごとに細かな条件が異なります。
ここでは、読者の多い首都圏や主要都市の具体的な支給例をご紹介します。
東京都新宿区→ドナー本人へ1日20,000円 / 企業へ1日10,000円(上限7日間・最大14万円)。全国の標準的なモデルケース。
大阪府大阪市→ドナー本人へ1日20,000円(上限7日間・最大14万円)。※大阪市は企業への支給はなく、ドナー本人への支給に特化。
愛知県名古屋市→ドナー本人へ1日20,000円 / 企業へ1日10,000円(上限7日間・最大14万円)。市内在住かつ市内事業所に勤務などの条件がある。
上記のように、ドナー本人への支給(1日2万円・最大7日間)は全国でほぼ共通していますが、勤務先の企業(事業主)にも助成金が出るかどうかは、自治体によって判断が分かれるポイントです。
千葉県
神奈川県
東京都内の各区(世田谷区、練馬区など)
などの主要都市でも同様の支援事業が広く実施されています。
助成金の対象となる通院・入院の具体例と必要日数の目安
1日あたり20,000円が支給される通院・入院ですが、ドナー制度の手続きならすべてが対象になるわけではありません。
一般的に、以下のステップにかかった日数がカウントされます。
採取後の健康診断→退院後、体調に問題がないか確認するための通院(1日程度)
採取のための入院→骨髄や末梢血幹細胞を実際に採取するための入院(3泊4日〜4泊5日程度)
自己血採血→骨髄採取の際、万が一の輸血に備えて自分の血をあらかじめ採血しておくための通院(1〜2日程度)
健康確認検査(コーディネート)→HLA型が一致した後、医師による面談や健康チェックを行うための平日の通院(1〜2日程度)
骨髄バンクの登録手続き(最初の採血やスワブ登録)にかかった日数は助成の対象外となるのが一般的です。
最終的に合計で7日〜10日前後の会社を休む日が発生しますが、多くの自治体では最大7日間(14万円)を上限として、これらの実日数をカバーする仕組みです。
助成金制度が作られた背景
この助成金制度が全国の自治体で次々と導入されるようになった背景には、骨髄バンクが長年抱えていたドナーの辞退(不成立)という深刻な課題があります。

①善意だけでは超えられない経済的・時間的負担
HLA型が一致してドナー候補に選ばれても、最終的な提供に至るまでには何度も平日に病院へ足を運んだり、4〜5日間の入院をしたりする必要があります。
有給休暇が足りない
欠勤すると給料が減ってしまう
パートや自営業なので休んだ分だけ収入が途絶える
といった経済的理由から、泣く泣く提供を断念せざるを得ないケースが多発していました。
②職場の理解とドナー休暇の不足
ドナー本人の意思があっても、職場に長期間の休みを言い出しにくい環境が障壁になっていました。
そこで、ドナー本人だけでなく雇用する企業側(事業主)にも助成金を出すことで、企業に対してドナー休暇制度の導入を促し、社会全体でドナーを支える空気を作ろうとしたのです。
③若年層ドナーの減少と卒業への危機感
骨髄バンクの登録者は現在約55万人前後ですが、ドナー制度は55歳で定年(卒業)を迎えます。
毎年数万人規模のベテラン登録者が年齢上限で引退していく一方、これからの主軸となる10代〜30代の若年層の登録が伸び悩んでいました。
若い世代ほど仕事を長期間休むリスクが大きいため、経済的な障壁を少しでも取り除き、若いドナーを確保・維持することが、この助成金制度の一番の狙いです。
参考:ドナー登録している方へ | ドナーをサポートするしくみ
みんなの補助金コンシェルジュでは、骨髄ドナー助成金をはじめ、自治体の支援制度や助成金情報をわかりやすくご案内しています。まずはお気軽にご相談ください。
骨髄ドナー助成金を利用する流れ

①骨髄バンク登録
すべての始まりは、骨髄バンクへの
登録
意思表示
です。
窓口へ行く→全国の献血ルーム、保健所、または一部の特設会場(ドナー登録会)へ足を運ぶ。
説明と同意→登録のしおりを読み、ドナー制度のリスクや内容について説明を受け、同意書を記入する。
採血(またはスワブ)→腕から約2mlの採血(近年は口の粘膜を綿棒でこするスワブ方式の導入も拡大中)を行い、白血球の型(HLA型)を調べる。
登録完了→データがコンピューターに登録され、ドナー登録確認書が届けば完了(適合する患者さんが現れるまで待機)。
②適合通知
登録者の中から、移植を待つ患者さんとHLA型が一致した際に連絡が入ります。
第一報(適合通知)→バンクから適合通知が届く(SMSや郵送など)。現在の健康状態や提供の意思を確認するアンケートに回答する。
確認検査(コーディネート)→専門のコーディネーターが立ち会い、医師による医学的な説明や健康チェック(採血・問診)を平日の日中に行う。
最終同意→ドナー本人、家族、コーディネーター、立会人の同席のもとで面談を行い、最終的な提供の意思を全員で確認し、最終同意書に署名する。
【注意】
最終同意の後は、患者さんが移植に向けて自分の造血幹細胞を消去する治療に入るため、ドナー側からの提供撤回は原則できなくなります。
③提供・申請・受給まで
ステップ | 手続き・内容 | 詳細 |
1. 事前準備と採取 | 骨髄提供 | 事前の自己血採血(通院)を経て、3泊4日程度の入院(全身麻酔)で採取。 |
末梢血幹細胞提供 | 白血球を増やす薬の連日注射(通院/入院)を経て、成分献血に近い形で採取。 | |
2. 証明書の受取 | 完了証明書の交付 | 提供完了後、日本骨髄バンクから通院・入院日数が記載された証明書が発行。 |
3. 自治体への申請 | 助成金の申請手続き | お住まいの市区町村窓口(保健所など)へ、証明書や住民票を添えて提出。 ※スマホなどからの電子申請が可能な自治体も増えています。 |
【スムーズに受給するために】申請時の必要書類チェックリスト
自治体の窓口へ行く前に、以下の書類がそろっているか確認しましょう。
不備があると再提出になり、受領が遅れる原因になります。
振込先口座が確認できるもの(通帳のコピーやキャッシュカードの控えなど)
ドナー本人の住民票の写し(お住まいの自治体に住民登録があることの確認用)
骨髄等移植ドナー支援事業助成金交付申請書(各自治体のホームページからダウンロード、または窓口で配布されている)
日本骨髄バンクが発行する骨髄等の提供を完了したことを証明する書類(通院・入院日数が明記されたもの)
【企業申請の場合】ドナー休暇を取得したことがわかる労務管理書類(タイムカードや休暇届の写し)、および雇用関係を証明する書類
※自治体によっては、市税の滞納がないことの証明書などが別途求められるケースもあります。
二度手間を防ぐため、事前に各自治体のホームページなどで確認しておくのがおすすめです。
■万が一、途中で提供が中止(不成立)になった場合は?
骨髄提供では、
患者さん側の体調悪化
ドナーの健康上の理由(直前の風邪など)
により、最終同意の後に急遽提供が中止となるケースが稀にあります。
この場合、ドナー側に非はないため、多くの自治体では最終同意後の辞退・中止であれば、それまでにかかった通院日数分の助成金を申請・受給することが可能です。
ただし、最終同意よりも前の段階でドナー自身の都合により辞退した場合は、原則として支給対象外です。
万が一途中で手続きがストップしてしまった場合は、どこまでの日数が申請対象になるか、速やかにお住まいの自治体窓口へ確認しましょう。
ご注意
申請期限にご注意ください→骨髄等の提供完了から1年以内など、各自治体で厳格な期限が設けられています。
最新情報の確認を→条件は変更されることがあるため、必ずお住まいの自治体の窓口や日本骨髄バンクの公式サイトで最新情報をご確認ください。
自治体により内容が異なります→本制度は各市区町村が独自に実施しているため、地域によっては制度がない場合や、支給金額・条件が異なる場合があります。
自分の自治体が助成金制度を導入しているか調べる方法
骨髄ドナー助成金は全国一律の制度ではなく、市区町村ごとに個別に条例を定めて実施しています。
そのため、まずは自分のお住まいの地域が対象かどうかを確認する必要があります。
最も確実で早い方法は、日本骨髄バンクの公式サイト内にある自治体・民間団体による助成制度一覧のページを確認することです。
都道府県ごとに導入済みの市区町村がリストアップされており、随時最新情報に更新されています。
もしリストに見当たらない場合で、詳細な要件(独自の必要書類など)を知りたい場合は、お住まいの市区町村の役所にある
保健所
健康推進課
へ直接電話で問い合わせてみましょう。
導入する企業が急増中!ドナー休暇制度とは?

骨髄ドナー助成金(事業者向け)の支給要件として、多くの自治体がドナー休暇制度(またはそれに準ずる特別休暇制度)の社内規定化を推奨、あるいは条件にしています。
■ドナー休暇制度の概要
従業員が骨髄・末梢血幹細胞の提供や、そのための通院・入院を行う際、年次有給休暇(通常の有給)とは別に、有給の特別休暇を与える制度です。
■企業が導入する3つのステップ
就業規則の改定→就業規則(賃金規程・特別休暇規程など)にドナー休暇の項目を追加。休業期間中の給料を有給とする旨を明記するのが一般的。
労働基準監督署への届け出→常時10人以上の従業員がいる企業は、就業規則変更届を労基署へ提出する。
社内への周知→従業員へ制度の新設をアナウンスし、取得しやすい環境を整える。
厚生労働省も治療と仕事の両立支援(CSV経営)の一環としてドナー休暇の導入を後押ししており、日本骨髄バンクの公式サイトでは、既に導入している先進企業の社名や就業規則の文面見本が公開されています。
従業員ファーストの姿勢をアピールするためにも、助成金申請とセットでの規程づくりがおすすめです。
骨髄ドナー助成金に関するよくある質問
Q1. 誰でも申請できる?
A. 基本的には、ドナー提供を完了し、制度を導入している自治体に住んでいる人であれば誰でも申請できます。
ただし、以下の点に当てはまる場合は対象外となるため注意が必要です。
自治体が制度を導入していない場合→全国の大半の市区町村で導入されているが、一部未導入の地域もある。
公務員の場合→国家公務員や地方公務員は職務専念義務の免除や公務としての特別休暇が認められており、給料が保障されるため、対象外となるのが一般的。
ドナー休暇(有給)を取得した場合→勤務先から給料が全額支払われる有給のドナー休暇を使った場合、実質的な減収がないとみなされ、ドナー本人への助成金は支給されない自治体が多い(※その代わり、勤務先の企業へ助成金が支払われる場合がある)。
Q2. 会社員でも対象?
A. 対象になります。パート・アルバイトや自営業、専業主婦(主夫)の方も同様に対象です。
会社員の方で、以下のようなケースであれば助成金の申請が可能です。
休暇取得によって欠勤扱い(無給)となり、給料が減額されてしまった場合
勤務先にドナー休暇がなく、自分の年次有給休暇(通常の有給)を消化して提供に充てた場合
また、会社員の方がドナーになった場合、条件を満たせば勤務先の企業(事業所)も企業向けの助成金(1日1万円など)を自治体に申請できるケースが多いです。
Q3. 確定申告は必要?
A. 基本的には確定申告は不要なケースがほとんどですが、一部例外があります。
この助成金は税法上、一時所得という扱いに分類されます。
一時所得には年間50万円の特別控除というルールがあるため、ドナー助成金(最大14万円)以外に、その年に他の一時所得(生命保険の満期返戻金や、競馬・競輪の払戻金など)がない場合は、課税対象にならないため確定申告は必要ありません。
ただし、他のイベントで高額な一時所得が重なり、年間の合計額が50万円を超えた場合は、会社員であっても確定申告(総合課税の対象)が必要になる場合があります。
Q4. 過去に一度助成金をもらっていても、2回目の提供でまた申請できる?
A. はい、申請できます。
骨髄ドナー制度では、安全性の観点から生涯の提供回数が最大2回までと決められています。
自治体の助成金制度も基本的には1回の提供につき最大○万円(または○日間)という規定になっているため、1回目とは別の提供(別の患者さんへの提供)であれば、2回目も同様に助成金を申請して受け取ることが可能です。
Q5. 企業向けの助成金は、企業にとってどんなメリットがある?
A. 単なる金銭的補償だけでなく、企業の
イメージアップ
サステナビリティ経営のPR
につながります。社員がドナーになった際、企業向け助成金(1日1万円など)を申請・受給した実績は、その企業が従業員の社会貢献活動や健康を応援するホワイト企業であるという公的な証明になります。
近年、多くの自治体ではドナー休暇制度を導入している企業を協力企業としてHPなどで名指しで表彰・紹介する取り組みを行っています。
求職者や取引先に対してSDGsやESG経営に積極的なクリーンな企業という姿勢をアピールできるため、
採用活動
企業ブランドの向上
において、支給額以上の大きなメリットをもたらします。
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みんなの補助金コンシェルジュでは、骨髄ドナー助成金をはじめ、自治体の支援制度や助成金情報をわかりやすくご案内しています。
使える補助金を専門家に相談したい方は、下記のフォームからお問い合わせください。

監修者からのワンポイントアドバイス
骨髄ドナー助成金は、尊い善意に伴う経済的・時間的負担を補完する大切な公的支援です。ドナー本人への日額2万円(最大14万円)の支給に加え、企業向けに日額1万円の助成を設ける自治体も多く、社内のドナー休暇制度構築は企業のサステナビリティ経営やイメージ向上にも直結します。提供完了から1年以内という厳格な申請期限に留意し、ぜひ本制度を活用して社会全体で命を救う取り組みを支えましょう。

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。 慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

