電気柵に使える補助金は?国・自治体の制度を解説【2026年版】


補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。 慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。
ポイント
電気柵の購入・設置には、国や自治体の補助金が利用できる
国の補助金は「鳥獣被害防止総合対策交付金」が中心
自治体の補助金は「購入前申請」と「購入後申請」の2タイプがある
電気柵に使える補助金は?
電気柵の導入には、国と自治体の補助金が利用できます。
ただし、対象者や補助額が大きく異なるため、自分に合った制度を選ぶことが重要です。
国と自治体、どちらを選べばいい?
電気柵の補助金は、「設置の目的」「補助額」「申請する人」の3点で選ぶと分かりやすいです。
それぞれの違いを整理すると、次のとおりです。
比較項目 | 国(鳥獣被害防止総合対策交付金) | 自治体の補助金 |
設置の目的 | 地域ぐるみでの獣害対策 | 個人・農家単位の対策 |
補助額 | 比較的小さい(数千円〜) | 比較的大きい(2万円〜10万円程度、最大50万円の例もあり) |
申請する人 | 市町村・農業団体・地域協議会など | 個人・農家・自治会など |
個人で電気柵を導入する場合は自治体の補助金、地域でまとめて対策する場合は国の補助金を検討すると選びやすくなります。
国の電気柵補助金とは?
国の電気柵補助金としては、農林水産省が実施する「鳥獣被害防止総合対策交付金」があります。
「鳥獣被害防止総合対策交付金」は、イノシシやシカなどによる農作物被害を減らすための農林水産省の制度です。
地域ぐるみで獣害対策を行う場合に活用される制度で、地域が主体となって行う対策をまとめて支援します。
主な対象は次のとおりです。
電気柵や防獣フェンスの設置
オリやワナなどの捕獲機材の導入
捕獲技術の研修や人材育成
食肉処理施設の整備
このように、電気柵などの設備導入だけでなく、捕獲と組み合わせた総合対策が前提となっています。
鳥獣被害防止総合対策交付金を活用すれば、「電気柵を立てるための補助」「動物を捕まえた時の手当」両方をセットで受け取ること可能です。
農作物を守るための対策が、実質的な自己負担を大きく抑えながら実施できる手厚い制度です。
対象者
この制度は、個人が直接申請するものではありません。主な対象は次のとおりです。
市町村
JAなどの農林漁業団体
狩猟者団体
これらで構成される地域協議会
電気柵の設置については、市町村やJAなどが主体となって実施するケースが一般的です。
また、制度を利用するには、市町村が「被害防止計画」を作成している必要があります。
補助額・補助率
この補助金は、「電気柵の設置」と「捕獲活動」の2つに分かれて支援されます。
電気柵については、設置方法によって補助額が変わる点が特徴です。
設置方法ごとの違いは次のとおりです。
設置方法 | 補助内容 |
自分で設置(自力施工) | 資材費を定額補助(上限あり) |
業者に依頼 | 設置費用の1/2以内 |
電気柵の補助上限(1mあたり)は以下のとおりです。
設置パターン | 新設 | 修繕 |
自力施工 | 148円/m | 74円/m |
業者施工 | 391円/m | 317円/m |
※3段張りの場合は「単価×段数」で計算します(例:148円×3段=444円/m)
また、捕獲した獣種に応じて、以下の金額が支給されます。
イノシシ・シカ・クマ・サル・カモシカ:8,000円/頭
その他の獣類:1,000円/頭
鳥類:200円/羽
電気柵設置&捕獲でいくらもらえる?シミュレーション
例えば、業者に依頼して15万円の電気柵を設置し、その後イノシシが2頭捕まった場合、どれくらいのサポートが受けられるか見てみましょう。
電気柵の設置でもらえる補助(1/2補助の場合) 150,000円 ÷ 2 = 75,000円
イノシシを捕まえてもらえる手当(1頭につき8,000円) 8,000円 × 2頭 = 16,000円
合計で「91,000円」もの支援が受けられます。
結果として、15万円かかった設置費用が、実質的には「59,000円」の負担で済む計算になります。
この2つの支援を受けるためには、以下の点に注意します。
補助金で立てる柵は、単に囲うだけでなく、ワナを一緒に仕掛けるなど「効率的な捕獲にもつながる工夫」が必要
資材を買ったり業者に依頼したりする前に、市町村の窓口へ申請し、地域の計画に基づいた活動として認められる必要
利用の流れ
市町村の農政課などに相談する
地域協議会などを通じて申請する
審査・採択を受ける
採択後に電気柵を購入・設置する
実績報告を行い、補助金が交付される
※申請前に購入すると対象外になるため注意が必要です。
この制度を活用する際は、以下の点に注意しましょう。
電気柵は「申請後」に購入する必要がある
捕獲と組み合わせた対策が求められる
市町村の計画がない場合は利用できない
対象条件や補助内容は年度ごとに変わる場合があるため、必ず市町村の担当窓口で最新情報を確認してください。
自治体の電気柵補助金は?
自治体でも、電気柵の購入・設置に使える補助金が用意されています。
農作物を鳥獣害から守る目的で、多くの市町村が独自に実施しています。
主な特徴は次のとおりです。
農業者が対象となるケースが多い
住民登録があれば申請できる場合もある
家庭菜園でも対象になることがある
電気柵だけでなく、防獣フェンスやワイヤーメッシュ柵も対象になる場合がある
申請方法は2パターンある
自治体の補助金は、大きく次の2つのタイプに分かれます。
購入前に申請するタイプ(事前申請)
購入後に申請するタイプ(事後申請)
申請前に購入すると対象外になるケースもあるため、どちらのタイプに該当するのか必ず確認しましょう。
購入前に申請するタイプ(事前申請)
購入前に申請するタイプでは、交付決定を受けてから購入します。
電気柵の見積書を取得する
設置場所の図面を準備する
申請書を提出する(購入前)
審査後、交付決定を受ける電気柵を購入・設置する
領収書や写真を添えて実績報告を提出する
補助額が確定し、補助金が振り込まれる
購入後に申請するタイプ(事後申請)
購入後に申請できるタイプでは、先に設置してから申請します。
電気柵を購入・設置する
代金を支払い、領収書を保管する
設置後の写真や位置図を準備する
申請書を提出する(年度内)
審査後、交付決定を受ける
請求書を提出し、補助金が振り込まれる
利用前の注意点は以下のとおりです。
申請タイミング(購入前か購入後か)を必ず確認する
自治体によって補助額や条件が大きく異なる
予算上限に達すると受付終了になる場合がある
まずはお住まいの自治体の公式サイトを確認し、条件に合う制度があるかをチェックすることが重要です。
北海道松前町:松前町農畜産物等被害防止電気柵購入補助金
松前町では、エゾシカやヒグマなどによる被害を防ぐため、電気柵や関連機材の購入費の一部を補助しています。
農業者だけでなく、家庭菜園を行っている方も対象になるのが特徴です。
項目 | 内容 |
補助率 | 1/2以内 |
上限額 | 農地:10万円/家庭菜園:5万円 |
対象者 | 町内在住で農業または家庭菜園を行う人 |
北海道共和町:共和町鳥獣被害対策用電気柵整備支援助成金
共和町では、エゾシカなどによる農作物被害を防ぐため、電気柵の整備費用の一部を助成しています。
地域の農業被害を軽減することを目的とした制度です。
項目 | 内容 |
補助率 | 1/2以内 |
上限額 | 10万円程度(※条件により異なる) |
対象者 | 町内の農業者など |
長野県飯綱町:飯綱町鳥獣被害防止対策補助金制度
飯綱町では、イノシシやシカなどによる被害を防ぐため、電気柵や防獣ネットなどの購入費を補助しています。
購入後に申請できる「事後申請型」の制度で、個人でも利用しやすいのが特徴です。
項目 | 内容 |
補助率 | 2/3以内 |
上限額 | 5万円 |
対象者 | 町内で鳥獣被害を受けている個人または法人 |
長野県小布施町:小布施町有害獣防除対策事業補助金
小布施町では、イノシシやシカなどの有害獣による農作物被害を防ぐため、電気柵や防獣フェンスの設置費用の一部を補助しています。
農業者を中心に、地域の被害対策を支援する制度です。
項目 | 内容 |
補助率 | 1/2以内 |
上限額 | 10万円程度(※条件により異なる) |
対象者 | 町内の農業者など |
千葉県千葉市:「千葉市有害鳥獣対策事業(有害獣に対する防除装置設置)
千葉市では、イノシシなどの有害獣による農作物被害を防ぐため、電気柵や防獣ネットなどの防除装置の設置費用を補助しています。
農業者を対象に、継続的な被害対策を支援する制度です。
項目 | 内容 |
補助率 | 1/2以内 |
上限額 | 数万円〜(※設置内容により異なる) |
対象者 | 市内の農業者など |
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監修者からのワンポイントアドバイス
電気柵の補助金は、地域全体で取り組むなら国の交付金、個人・農家単位なら自治体の制度と使い分けるのが基本です。ただし、自治体の制度は「購入前に申請が必要」なケースと「事後申請」のケースが混在しているため、必ず購入前に窓口へ確認しましょう。
