ものづくり補助金は農業にも使える!採択事例つきで申請ポイントを解説!

ものづくり補助金は農業にも活用できる補助金です。農業者はもちろん、農業支援サービスを提供する事業者にも活用の可能性があります。本コラムでは、ものづくり補助金の概要や、農業の活用事例、申請ポイントを解説します。また、2025年度のものづくり補助金の動向や政府の農業支援の動向もまとめて紹介します!
梅沢 博香

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ものづくり補助金は農業にも使える?

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

ものづくり補助金は農業にも使える?

ものづくり補助金は農業にも利用できます。ただし、対象となるのは「生産性の向上」や「革新的な取り組み」を目的とした事業です。
例えば、新しい農業機械の導入やスマート農業技術を活用した効率化など、具体的な成果を示せる計画が必要です。

この補助金は、農業を営む事業者だけでなく、農業支援サービスを提供する事業者にも活用の可能性があります。
例えば、「機械や農業機具のリース・レンタル、シェアリングを通じて農業者の導入コストを抑えるサービスを始めたい事業者」は、後者に該当する可能性があります。
このような取り組みは、農業者の負担軽減と生産性向上に貢献するとして、補助金の支援対象として認められるからです。

ものづくり補助金とは?

中小企業・小規模事業者等が革新的サービス開発・試作品開発や生産プロセスの改善等を行うための設備投資に対する支援を受けられます。

対象者

ものづくり補助金は、中小企業などが次の3つの条件を満たす3~5年の事業計画を立てて、実行することが必要です。

  • 付加価値額(会社が生み出す利益の指標):1年ごとに3%以上増やすこと
  • 給与支給総額(従業員に支払う給料やボーナスの合計):1年ごとに1.5%以上増やすこと
  • 事業場内の最低賃金:地域別の最低賃金に30円以上上乗せすること

「付加価値額」とは、会社がどれだけの利益を生み出したかを表す数字で、営業利益、人件費、設備の減価償却費(機械や設備の価値の減少分)を合わせた金額です。
「給与支給総額」は、会社が従業員に支払った全ての給料やボーナスの合計です。役員報酬も含みますが、福利厚生費や退職金は含みません。

支援内容

補助上限額補助率
最大2,000 万円中小企業:1/2以内
小規模企業者・小規模事業者:2/3以内

採択率

ものづくり補助金の採択率は枠によって異なります。
18次までの全体の平均採択率は約50%です。
以下、採択率の推移になります。
ものづくり歴代採択率推移グラフ

最新のものづくり補助金の採択率はこちら!
ものづくり補助金、2025年も実施決定!スケジュールや変更点は?

ものづくり補助金を農業に活用するメリット

ものづくり補助金を農業に活用する最大のメリットは、コストダウンと効率化、生産性向上を同時に実現できる点です。
実費を抑えて最新の農業機械やIT技術を導入し、それによって作業負担を軽減しつつ収益性を高めることが可能です。

ただし、申請後は審査を経て採択される必要があり、設備投資を行った後に補助金が支給される点にご注意ください。そのため、初期費用をカバーする自己資金や融資の準備が重要です。

農業にものづくり補助金を活用した事例

農業にものづくり補助金を活用した事例を紹介します。

農業者の事例:廃菌床を活用した循環型農業の実現!

資本金従業員数事業内容事業計画名
300万円98名菌床しいたけ栽培・菌床ブロック生産・旅館経営脱水装置導入による廃菌床の燃料化

取り組みの背景

しいたけ栽培の生産量が増加する中、使用後の菌床ブロック(廃菌床)の処理が課題となっていました。
廃菌床はこれまで農家に肥料として供給していましたが、需要を超える量が発生し、処理が追いつかない状態でした。
さらに、廃菌床を野外に積み上げることで景観を損ねる問題や廃棄場所の確保が困難になるという課題も深刻化していました。
このような背景から、廃菌床をバイオマス燃料として再利用し、循環型農業を実現することを目指して取り組みを開始しました。

ものづくり補助金を活用した取り組み

ものづくり補助金を活用し、廃菌床脱水装置を導入しました。
この装置は食品残渣の水分除去に用いられていた機械を菌床ブロック用に改良したものです。栽培過程で70~80%もの水分を含む廃菌床を55~60%まで減少させることが可能となり、隣接する他社のバイオマスボイラーで燃料として利用できるようになりました。
燃焼実験の結果、廃菌床が問題なくエネルギー資源として活用できることが確認されました。

結果と成果

この取り組みにより、以下4つの成果が得られました。

  1. コスト削減:廃棄物処理費用の削減に成功。
  2. 景観の改善:使用後の菌床ブロック(廃菌床)を置く場所の確保が不要になり、地域の景観問題を解消。
  3. エネルギー資源化:廃菌床をエネルギー資源として再利用し、他社への販売で年間14万円の収益を確保。
  4. 循環型農業のモデル化:地域資源を最大限に活用し、持続可能な循環型農業の成功事例として注目される。

この事例は、ものづくり補助金を使って環境の問題を解決しながら、農業を続けやすくすることに成功した例です。
捨てていたものを資源として活用するこの取り組みは、地域の問題を解決しながら、環境に優しい農業を進める素晴らしいモデルとなっています。

農業支援サービスを提供する事業者の事例:ドローンを活用した農業支援サービスの効率化!

資本金従業員数事業内容事業計画名
500万円15名農業用ドローンの販売・リース、農作物生育データの解析サービスAIドローン活用による精密農業支援サービスの実現

取り組みの背景

農業現場では、高齢化や人手不足が深刻な課題となっており、効率的な農作業支援が求められていました。
このような状況で、ドローンを活用した農業支援サービスを提供してきましたが、従来のドローンでは収集データが限られており、農業者のニーズに十分応えることが難しいという課題を抱えていました。また、解析作業に多くの時間とコストがかかり、効率化が急務となっていました。

ものづくり補助金を活用した取り組み

ものづくり補助金を活用し、AIを搭載した最新型ドローンを導入しました。
このドローンは、農地全体の生育状況や病害虫被害をリアルタイムで解析できる機能を備えています。さらに、クラウドベースのデータ解析システムを開発し、収集データを即座に農業者に提供する仕組みを構築。これにより、従来は数日かかっていた解析作業が数時間で完了するようになりました。

結果と成果

この取り組みにより、以下4つの成果が得られました。

  1. 環境負荷の軽減:必要最小限の農薬使用により、環境に優しい農業を推進。
  2. サービスの効率化:解析作業の時間を大幅に短縮し、農業者への迅速なサポートが可能に。
  3. 農業者のコスト削減:病害虫被害を早期発見することで、農薬の使用量を削減し、生産コストを抑えることに成功。
  4. 農業支援サービスの拡大:高性能ドローンとクラウドシステムの導入により、利用可能な農地の規模を拡大。新たに大型農場との契約を獲得。

この事例は、ものづくり補助金を活用して農業支援サービスの効率化と拡大を実現した成功例です。AI技術を取り入れた次世代型サービスは、農業の現場に大きな変革をもたらし、地域農業の発展にも寄与しています。

ものづくり補助金の申請方法

1.補助金の対象になるか確認
まずは、「公募要領」というガイドを読んで、自分が対象かどうか、申請に必要な条件、使える経費、そして申請のスケジュールをチェックしましょう。
2.GビズIDを取得して申請を準備
補助金の申請には、「GビズID」というアカウントが必要です。これを使って電子申請を行います。
※GビズIDの取得には時間がかかることがあるので、早めの手続きをおすすめします!
3.補助金の交付が決定したら事業をスタート
交付候補者に選ばれた後、正式な交付申請と決定を経て、事業を開始します。
4.決められた期間内に事業を進め、報告書を提出
補助事業の期間内に設備投資などを完了し、「実績報告書」を提出します。
5.事業計画に基づいて進行し、定期的に状況を報告
3~5年の事業計画をもとに事業を進め、毎年「事業化状況報告」を提出します。
※事業の成果が計画に達しない場合、補助金を返還する必要があることもありますので注意しましょう。

ものづくり補助金に採択されるための申請ポイント

ものづくり補助金に採択されるための申請ポイントは以下の5つです。
  1. 明確な事業計画を作成する
  2. 第三者の視点を取り入れる
  3. 採点基準を意識した構成にする
  4. 加点項目を積極的に活用する
  5. 補助金の趣旨に合った内容を記載する

1.明確な事業計画を作成する

事業の目的や課題、解決策を具体的に記載し、収益の見通しや波及効果を数字を用いて明確に示しましょう。説得力のある計画書は審査通過の第一歩です。
【具体的なポイント】

  • 計画書には、事業を始める理由(課題)とその解決策を簡潔にまとめる。
  • 収益の見通しを示す際には、過去の実績データや市場調査の結果を活用する。
  • 波及効果には「地域経済への影響」「雇用の創出」など、具体的なメリットを数値で示す。

2.第三者の視点を取り入れる

外部の専門家に内容を確認してもらい、計画書のわかりやすさや説得力を高めるとよいでしょう。プロの意見を活用することで、計画の完成度が向上します。
【具体的なポイント】

  • 地元の商工会議所や中小企業診断士に相談すると、補助金申請に特化したアドバイスを得られる。
  • 専門家によるフィードバックをもとに、業界用語をわかりやすい言葉に置き換える。
  • 同じ内容でも図やグラフを使って視覚的に表現すると、審査員の理解が深まりやすい。


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3.採点基準を意識した構成にする

事業計画は、「革新性」「収益性」「事業化の可能性」「社会性」といった審査基準を意識して構成することが重要です。これにより評価を得やすくなります。
【具体的なポイント】
革新性
新しい技術やサービス、従来と異なる斬新な方法を提案することで、差別化を図りましょう。具体例として、デジタル技術の活用や効率化を目指す設備投資が評価されやすいです。
収益性
初年度だけでなく、3年後、5年後の収益見通しを具体的な数値で示してください。付加価値額の年平均成長率3%以上を目標とし、それを達成するための計画を明確に記載しましょう。
事業化の可能性
計画が実現可能であることを示すために、事業実施体制や具体的なスケジュール、必要な資金調達計画を記載します。また、補助金の目的に合致した取り組みであることを強調しましょう。
社会性
環境への配慮や地域社会への貢献といった要素を事例とともに盛り込みます。例えば、省エネルギー設備の導入や地域活性化に資する取り組みは加点対象となります。

4.加点項目を積極的に活用する

ものづくり補助金には、満たすと審査を有利にする加点項目が設定されています。加点項目は5種類に大別され、合計19項目ありますが、最大6項目まで申請可能です。
加点項目を満たすと採択の可能性が高まるので、ぜひ積極的に取得しましょう!

5.補助金の趣旨に合った内容を記載する

革新的な技術やサービスの開発、地域経済や社会への貢献を強調することが重要です。補助金の目的に沿った提案を意識してください。
【具体的なポイント】

  • 補助金の要項や審査基準を詳細に確認し、趣旨に沿った内容を反映させる。
  • 「この補助金を活用することで、どのように社会に貢献するのか」を簡潔に説明する。
  • 実現可能性をアピールするため、現時点での準備状況や実施スケジュールを明記する。

2025年度、ものづくり補助金の変更点は?

2025年度のものづくり補助金には3つの変更点があることが分かっています。

変更点1:最低賃金の引き上げに取り組む事業者は補助率引き上げ

低賃金の引き上げに取り組む事業者は、補助率を2/3に引き上げます。
最低賃金の引き上げに取り組む事業者とは、指定する一定期間において、3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の30%以上いる事業者のことを指します。
※小規模・再生事業者は除きます。

変更点2:製品・サービス高付加価値化枠の従業員区分の見直し

製品・サービス高付加価値化枠について、21人以上のの従業員区分を見直しが行われます。
【現行】※製品・サービス高付加価値化枠通常類型の場合
5人以下……750万円(850万円)
6~20人……1,000万円(1,250万円)
21人以上……1,250万円(2,250万円)

【2025年度】
5人以下……750万円(850万円)
6~20人……1,000万円(1,250万円)
21~50人……1,500万円(2,500万円)
51人以上……2,500万円(3,500万円)

変更点3:大幅賃上げで補助上限額引上げ

大幅な賃上げに取り組む事業者には、補助上限額を100~1,000万円上乗せします。
参考:ものづくり補助金パンフレット
参考:令和6年度補正予算案「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の概要

ものづくり補助金、2025年も実施決定!スケジュールや変更点は?

2025年度、スマート農業と地方支援がさらに充実!

2024年11月の内閣府の資料から、2025年度の国の農業支援の動向について解説します。
政府の農業に対する施策.参考:内閣府

日本の農業の現状と課題

  • 日本の農産物の輸出量は他の国と比べて少ない
  • 農業者の約8割が60歳以上で、若い人が少なくなっている。このままでは、20年後には農業者が今1/4になる恐れがある

課題に対する解決策

政府は最新技術の活用や輸出拡大を通じて、日本農業の競争力と持続可能性を高めることを目指しています。

  • 高品質な農産物を輸出して、農家の収入を増やす
  • ドローンやAIなどを活用したスマート農業を使って、農作業の効率化を図る
  • 円安を利用して外国で農作物を多く売れるようにし、2030年までに農産物の輸出額を5兆円にすることを目指す

農地拡大の取り組みやスマート農業への支援がさらに手厚くなる!

政府はスマート農業が労働力不足を補い、生産性と競争力を強化する重要な鍵であるとして重視しています。
2025年度は、農地を広くして効率的に活用する取り組みや、スマート農業への転換への積極的な支援が予想されます。

2025年度は農業を支援する地方独自の補助金がさらに充実

国のものづくり補助金に加え、地方自治体でも農業を支援する独自の補助金が数多く提供されています。
2025年度は、これら地方独自の補助金が2024年度以上に充実し、手厚い支援が期待されています。
特に、人口減少や高齢化が進む地域では、若者の移住促進を目的とした支援策が強化される見通しです。
さらに、後継者不足に対応するための事業承継支援も一層進展すると予測されています。
2025年度、農業に補助金を活用される方は、ぜひお住まいの自治体の補助金もチェックしましょう!

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厳しい審査をクリアする必要があり、ものづくり補助金の場合、申請者の半分しか通過できません。
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