目次
- 時短給付金(育児時短就業給付金)とは?
- なぜ創設されたのか
- 育児との両立支援における役割
- キャリア中断の防止と早期復帰の促進
- 共育ての推進(男性の時短勤務取得のあと押し)
- モチベーションと企業生産性の向上
- 時短給付金の条件
- 雇用保険の加入条件
- 時短勤務を行っていること
- 育児対象となる子どもの年齢要件
- 賃金低下の条件
- 時短給付金の対象者
- 正社員の場合
- 契約社員・パートの場合
- 育児休業から復帰した場合
- 共働き世帯の場合
- 支給対象外となるケース(注意点)
- 時短給付金はいくらもらえる?
- 支給額の計算方法
- 支給率の考え方
- 支給額シミュレーション
- 時短給付金の申請方法
- 必要書類
- 会社が行う手続き
- 支給までの期間
- 時短給付金を受ける際の注意点
- 支給停止となるケース
- 転職した場合
- 育児休業給付金との違いは?
- 制度改正の最新情報
- 時短給付金の条件に関するQ&A
- Q1. 時短給付金の条件は何ですか?
- Q2. パートや契約社員でも時短給付金を受けられますか?
- Q3. 時短給付金はいくら支給されますか?
- Q4. 時短給付金は会社と本人のどちらが申請しますか?
- Q5. 育児休業給付金と時短給付金は併用できますか?
- Q6. 転職後も時短給付金は受給できますか?
- 関連コラム一覧
時短給付金(育児時短就業給付金)とは?

育児時短就業給付金(時短給付金)は、2歳未満の子を養育するために短時間勤務(時短勤務)を選択し、賃金が低下した労働者に対して支給される雇用保険の給付金です。

育児休業を終えて職場復帰した際などに時短勤務を選択すると、労働時間の短縮に伴って
賞与
基本給
が減少するのが一般的です。この制度では、原則として時短勤務を開始する前の賃金の10%に相当する額が給付金として支給され、手取り収入の減少を国が直接バックアップします。
なぜ創設されたのか

本制度が創設された背景には、日本の深刻な少子化問題と、それに伴う労働力不足があります。
これまでの少子化対策は、育児休業中(仕事を休んでいる期間)の経済的支援が中心でした。
しかし、多くの労働者が育休から復帰した後の、時短勤務による収入減少に直面し、
やむを得ずキャリアを中断(退職)する
経済的な不安から時短勤務の取得をためらう
などのケースが多くありました。
こうした復帰後の仕事と育児の両立の難しさという壁を解消し、収入の落ち込みを気にせず柔軟な働き方を選べるようにするために、新たな支援の枠組みとして創設されました。
育児との両立支援における役割
時短給付金は、これまでの「休業支援」から一歩進んだ、働きながら育てる(共働き・共育て)をシームレスに支える役割を担っています。
具体的には、以下のような効果と役割が期待されています。
キャリア中断の防止と早期復帰の促進
手取りの減少が一定程度カバーされるため、経済的な不安を抑えたまま、育休からのスムーズな
職場復帰
就業継続
が可能になります。特にキャリアの継続が難しかった層の離職を防ぎます。
共育ての推進(男性の時短勤務取得のあと押し)
これまで経済的理由からフルタイムを維持せざるを得なかった父親(男性労働者)にとっても、時短勤務を選択しやすい環境が整います。
夫婦で共に働き、共に育てる社会の実現に寄与します。

モチベーションと企業生産性の向上
育児期の労働者が無理なフルタイム勤務で疲弊するのを防ぎ、限られた時間で成果を出す持続可能な働き方を支援することで、従業員のエンゲージメントを高め、企業全体の生産性向上にもつながります。
時短給付金の条件

雇用保険の加入条件
育児時短就業給付金は雇用保険の制度から支給されるため、原則として雇用保険の被保険者であることが必須条件です。
具体的には、時短勤務を開始した日より前の2年間に、雇用保険の被保険者期間(みなし被保険者期間)が通算して12カ月以上あることが求められます。

この条件は、育児休業給付金(育休中の手当)を受給する際の基準とほぼ同様です。
そのため、正社員だけでなく、週の労働時間などの条件を満たして雇用保険に加入しているパートやアルバイトなどの有期雇用労働者も対象に含まれます。
時短勤務を行っていること
給付を受けるためには、当然ながら実際に育児を理由とした短時間勤務(時短勤務)を行っていることが必要です。
基本的には、勤務先の就業規則などに基づいて、正式に時短勤務の適用を受けている必要があります。
また、給付金の申請や計算は月単位(支給対象月)で行われるため、その月において適正に勤務時間が短縮されており、会社側から時短勤務の実績が証明できる状態(タイムカードや出勤簿、賃金台帳などの書類があること)が条件です。
育児対象となる子どもの年齢要件
本制度が対象とする子どもの年齢は、2歳未満と定められています。
具体的には、子どもが誕生した日から、2歳の誕生日の前日までの期間に行われた時短勤務が支給の対象です。

2歳を超えた期間の時短勤務については、法律(育児介護休業法)に基づく時短勤務制度そのものは利用できても、この給付金の支給対象からは外れることになるため注意が必要です。
賃金低下の条件
時短給付金は、時短勤務によって収入が減ったことに対する補填であるため、時短勤務開始前の賃金と比べて、実際の支払賃金が低下していることが条件です。

具体的には、時短勤務中の各月に支払われた賃金が、時短勤務を開始する前の賃金(原則として、育児休業給付金の算定基準となった賃金日額などベース)と比較して、あらかじめ定められた基準よりも下がっている必要があります。
原則として時短前の賃金の10%(※ただし、時短勤務中の賃金と給付金の合計額が、時短前の賃金の100%を超えない範囲)が給付金として支給されます。
みんなの補助金コンシェルジュでは、時短給付金をはじめとした雇用・育児関連制度の活用をサポートしています。
受給条件や申請方法に不安がある方はお気軽にご相談ください。
時短給付金の対象者

正社員の場合
原則として、雇用保険に加入している正社員であれば受給対象です。
ただし、名目だけの時短勤務ではなく、就業規則に基づいて実際に労働時間が短縮されており、それに伴って基本給等の賃金が低下していることが必要です。
なお、会社の制度として小学校入学まで時短可能となっていても、この給付金がもらえるのは子どもが2歳未満(2歳の誕生日の前日まで)の期間に限られます。
契約社員・パートの場合
正社員以外の有期契約社員、
パート
アルバイト
であっても対象です。条件は、時短勤務を開始した日より前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12ヶ月以上あることです。
週の所定労働時間が20時間以上で雇用保険に加入しており、育児のためにさらに労働時間を短縮し、賃金が低下していれば問題なく受給できます。
育児休業から復帰した場合
育児休業(育休)を終了し、そのまま引き続いて時短勤務で職場復帰するパターンは、本制度の最も典型的な対象ケースです。
この場合、時短勤務を開始する前の賃金基準には、原則として育児休業給付金を算出するときに会社で登録した休業開始時賃金月額がそのまま引き継がれます。
そのため、育休復帰後すぐにスムーズな給付手続きが可能です。
共働き世帯の場合
共働き世帯において、夫婦が同時に(または交代で)時短勤務を取得する場合、夫婦それぞれが個別に給付金を受け取ることが可能です。
どちらか片方しか使えないという制限はありません。
夫婦ともに雇用保険の要件を満たしている
2歳未満の子どものために時短勤務をして賃金が下がっている
といった状態であれば、世帯全体での共働きと共育ての一歩を国からバックアップしてもらえます。
支給対象外となるケース(注意点)
以下のいずれかに該当する場合は、上記の対象者であっても給付金が支給されません。
賃金が低下していない→時短勤務を開始したものの、手当の増額や昇給などによって、時短前の賃金と変わらない、または高くなっている場合。
他の休業手当等との重複→支給対象の月に対象の子について産前産後休業、育児休業、または介護休業を開始した場合は、その時点で時短給付金の対象外。
算出された支給額が下限未満→支払われた賃金等から計算した月ごとの給付額が、最低限度額(2,295円)以下となる場合(※金額は引き下げ・引き上げなどにより改定される場合がある)。
時短給付金はいくらもらえる?

支給額の計算方法
給付金の額は、時短勤務を開始する前の賃金(原則として育児休業給付金の算定基準となった賃金)の10%をベースに計算します。
基本の計算イメージは以下の通りです。
【支給額 = 時短前の賃金 × 10%】
※ただし、時短中の各月の賃金と給付金の合計額が、時短前の賃金(上限48万3,300円)を超えないよう調整されます。
支給率の考え方
給付金の額は一律ではなく、時短勤務によってどれくらい賃金が下がったかによって変動(逓減)します。
時短中の賃金が時短前の80%以下に下がった➡原則通り、時短前の賃金の10%がフルで支給される。
時短中の賃金が時短前の80%超〜100%未満➡給付金を足すことで時短前の収入を追い抜いてしまわないよう、80%を超えた分だけ給付額が徐々に減っていく調整(逓減)が適用される。
支給額シミュレーション
時短前の額面給与が30万円だった方を例に、実際の支給額をシミュレーションします。
パターン | 時短前の賃金 | 時短中の賃金(低下率) | 支給率 | 各月の支給額 |
A:1日6時間勤務に短縮 | 30万円 | 20万円 (66.6%に低下) | 10.0% | 20,000円 |
B:1日7時間勤務に短縮 | 30万円 | 25万円 (83.3%に低下) | 10.0% | 25,000円 |
C:軽微な短縮にとどまる | 30万円 | 28万円 (93.3%に低下) | 約6.43% (調整) | 18,004円 |
※パターンA・Bは、時短前の90%(27万円)以下に下がっているため、一律10%です。
パターンCは90%を超えているため、支給率が自動的に約6.43%に調整されます。
時短給付金の申請方法
申請の手続きは、雇用保険の他の給付金(育児休業給付金など)と同様に、原則として勤務している会社(事業主)を経由して、管轄のハローワークへ申請を行います。
受給者本人が直接ハローワークへ行く必要はありません。
労働者から会社へ→育児時短勤務の申し出を行う。
会社からハローワークへ→時短勤務開始後、初回の受給資格確認と支給申請をまとめて行う(初回以降は、原則として2ヶ月に1回、定期的に申請します)。
ハローワークから労働者へ→審査後、指定口座に直接給付金が振り込まれる。
必要書類
会社がハローワークへ提出する主な書類は以下の通りです。
労働者本人は、会社からの求めに応じて
確認印
必要情報
を提出します。
育児時短就業開始時賃金証明書(時短前の給与を証明するもの)
育児時短就業給付受給資格確認書・初回の育児時短就業給付支給申請書
参考:育児時短就業給付受給資格確認票・(初回)育児時短就業給付金支給申請書
◆添付確認書類
就業規則
賃金台帳
労働条件通知書
母子健康手帳の写しなど(子どもの年齢・親子関係が確認できるもの)
出勤簿など(時短勤務の実態、および支払われた賃金額が確認できるもの)
会社が行う手続き
会社の人事・労務担当者は、対象の従業員が時短勤務を開始した際、対象月に支払った確定賃金を賃金台帳などで確認した上で申請書を作成します。

月ごとの賃金が確定してからでなければ申請ができないため、各月の給与計算のサイクルに合わせて、遅滞なくハローワークへデータまたは書面を提出するタスクが発生します。
支給までの期間
初回の申請を行ってから、実際に労働者本人の指定口座に給付金が振り込まれるまでは、約1ヶ月〜2ヶ月程度かかります。
各月の給与が確定した後に会社がハローワークへ書類を送り、そこから行政の審査が入るというステップを踏むため、職場復帰(時短開始)後、最初の数ヶ月は給付金の入金までにタイムラグが発生することをあらかじめ想定しておく必要があります。

みんなの補助金コンシェルジュでは、事業者・従業員向けの給付金や補助金情報を無料でご案内しています。条件に合う制度を知りたい方はぜひご利用ください。
時短給付金を受ける際の注意点

支給停止となるケース
対象の子が2歳になった時点
時短勤務中の月給が時短前の9割を超えた時点
で支給は停止されます。 また、支給対象となっている月に、同じ子どもについて
育児休業
産前産後休業
を再度開始した場合も、その時点で時短給付金は自動的にストップします。
転職した場合
転職先でも条件を満たしていれば受給を継続できますが、転職直後は一時的にストップする可能性があります。
転職前の会社
転職後の会社
で、雇用保険の被保険者期間が途切れずに通算され、かつ転職先でも2歳未満の子のための時短勤務を行い、前職(時短前)より賃金が下がっていれば対象になります。
ただし、転職先で新たに時短前の賃金(みなし)を算定し直すなど、複雑な手続きが必要です。
育児休業給付金との違いは?
最大の違いは、仕事を完全に休んでいる期間(育休)か復帰して短時間働いている期間(時短)か、という点です。
育児休業給付金は、仕事を休んで無給になる期間の生活を支えるため、休業前の最大67%(または50%)を支給します。
一方、時短給付金は、復帰後に時短勤務で減ってしまった給与(実働分)に対し、原則10%を上乗せして手取りの減少を補填するものです。
制度改正の最新情報
この育児時短就業給付は、2025年(令和7年)春に成立した改正雇用保険法に基づき、2025年10月1日からスタートした新しい制度です。
これまでは育休から復帰した後の時短勤務に対する国の経済的サポートはありませんでしたが、近年の法改正により、仕事と育児の両立を応援する目的で正式に新設されました。
時短給付金の条件に関するQ&A
Q1. 時短給付金の条件は何ですか?
A. 雇用保険に1年以上加入しており、2歳未満の子の育児のために時短勤務をして、以前より賃金が下がっていることです。
過去2年間に雇用保険の加入期間が通算12ヶ月以上あることが土台です。
実際に短時間勤務を行い、復帰前の給与よりも支給月の給与が下がっている実績を会社が証明できれば受給できます。
Q2. パートや契約社員でも時短給付金を受けられますか?
A. はい、雇用保険の条件(過去2年間に通算12ヶ月以上の加入)を満たしていれば、雇用形態に関わらず受けられます。
正社員限定の制度ではありません。
週20時間以上勤務しており雇用保険に加入している
パート
契約社員
の方も、育児のために労働時間を短縮して賃金が下がっていれば対象です。
Q3. 時短給付金はいくら支給されますか?
A. 原則として、時短勤務を開始する前の額面賃金(休業開始時賃金月額など)の10%です。
ただし、時短勤務中の賃金が時短前の80%超〜100%未満であるなど、賃金があまり下がっていない場合は、給付額が徐々に引き下げられる調整(逓減)が入ります。
【補足】時短前の10%が支給されるため、調整が入る基準ラインは90%ではなく80%となります。
Q4. 時短給付金は会社と本人のどちらが申請しますか?
A. 会社(事業主)がハローワークへ申請します。
本人が直接ハローワークに行く必要はありません。
労働者本人は、会社から用意された申請書に確認印を押し、母子手帳のコピーなどの必要書類を社内の労務担当者に提出します。
その後、会社が毎月の賃金台帳や出勤簿を添えて手続きを行います。
Q5. 育児休業給付金と時短給付金は併用できますか?
A. いいえ、同じ月に両方を同時に受け取る(併用する)ことはできません。
育児休業給付金は仕事を休んでいる期間の手当であり、時短給付金は「復帰して働いている期間」の手当です。
そのため、育休を終わらせて職場復帰(時短開始)した時点で、育児休業給付金から時短給付金へと自動的に切り替わる形になります。
Q6. 転職後も時短給付金は受給できますか?
A. はい、転職先でも、2歳未満の子のための時短勤務などの条件を満たしていれば、引き続き受給可能です。
退職から次の就職までのブランクが短く、雇用保険の期間が途切れずに通算できれば権利は引き継がれます。ただし、転職先の会社で
新しい賃金ベースの登録手続き
再度ハローワークへの受給資格確認
を行う必要があります。
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監修者からのワンポイントアドバイス
育児休業からのスムーズな復帰を経済面から支える本給付金は、共働き世帯にとって極めて利便性の高い新制度です。受給にあたっては、雇用保険の加入実績や2歳未満の年齢要件に加え、復帰前と比べて実際に賃金が低下していることが条件となります。

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。 慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

